35年前のクリスマスイブの日、昭和63年12月24日、福祉の充実などを目的とした日本初の大型間接税「消費税法案」が成立しました。税率は3%でした。翌年の平成元年4月、消費税が実施されました。当時は、竹下内閣でした。同年7月、自民党は参院選で敗北します。
 平成9年4月、橋本内閣の時に、税率5%への引き上げが実施されます。翌年7月の参院選で自民党の改選議席は大幅減、橋本内閣は総辞職しました。消費税導入や税率の引き上げは、その後の選挙結果に大きな影響を与え、時には政権が倒れることもありました。
 平成24年8月、野田内閣がこれらの消費税の呪縛を解くべく、「社会保障と税の一体改革」関連法を民主・自民・公明の3党合意の下で成立させました。「次の選挙」よりも「次の世代」のことを考え同年12月の総選挙に臨みましたが、民主党は敗れました。当時私は大学3年生。野田事務所のインターン生として戦った初めての総選挙でした。投票日の翌日、津田沼駅北口にて、朝6時から9時までひたすら通勤する方々に向けて、御礼と謝罪で頭を下げ続けたことを鮮明に覚えています。その時私は「野田さんのように、財源論から逃げない・将来世代に顔向けできる人間になろう」と誓いました。11年経った今でもその想いは微塵も揺らぎません。
 年号は令和となり5年が経過しました。この時代で「消費税のトラウマ」を乗り越えなければなりません。消費税は低所得者よりも高所得者が多く支払いますが、世帯所得に対する割合は低所得世帯の方が高くなります。これを逆進性と言います。例えば所得200~300万円層の負担率は6.8 %ですが、所得900~1000万円層の負担率は3.4%です。 上記のような逆進性を解消する方法として立憲民主党が今年6月に国会提出したのが「給付付き税額控除(消費税還付法案)」です。中低所得層の消費税を基準税率10%の半額5%まで実質的に還付する同法案では、たとえば200~300万円層の負担率は6.8%の半分である3.4%程度となり、逆進性が大きく解消されます。また「給付付き税額控除」を採用し複数税率を改めることになれば、現行の煩雑なインボイス制度を廃止することにも繋がってきます。
 かつて「ムダを削れば、財源は出てくる」と言って失敗したのが民主党政権でした。「ムダを削る」ことは勿論大切ですが、国家公務員給与(約5兆円)をゼロにしても、防衛費(約7兆円)をゼロにしても、年間の社会保障給付費の130兆円超に比べると全く足りません。負担と給付のバランスが悪化しているので、「ムダを削って財源ねん出」だけでは現実的ではありません。医療、介護、障がい者福祉、子育て支援や教育無償化には、どうしても財源が必要です。安心できる社会保障制度と再チャレンジ可能な社会を構築するには、見たくない現実を直視することが大切です。
 最後となりますが、今年の5月より活動を始め、7か月が経過しました。この間Nextageをご愛読いただき、誠に有難うございました。深く感謝申し上げます。良いお年をお迎え下さい。