現代における「論語と算盤」とは、「教育と経済」を意味すると私は理解しています。先週は教育についてでしたので、今週は経済についてお伝えします。
 私は「将来不安の解消」こそが、最大の経済対策だと考えています。みんな将来が漠然と不安だから貯金をし、娯楽は極力無料で済ませて、消費は必要最小限に抑えている・・・。一般企業で働く平成生まれ会社員の素直な実感として、そのように感じていました。
 日本の課題として挙げられる少子化と低生産性は、どちらも将来不安に起因していると考えます。少子化=将来不安で結婚や子供をあきらめる。低生産性=賃金が上がらないので将来不安から残業代で稼ぐ。という流れです。
 政府はこの30年間で数百兆円の赤字を積んで対策を打ってきましたが、GDPは横ばいでした。日銀が金利をゼロにすることによって、本来は設備投資が増え、生産性が上がり、賃金が上がるはずでしたが、そうはなりませんでした。
 だからこそ、今度は内部環境に手を加え、従業員に対して政策を打ち出し将来不安を解消することが求められています。
 具体的には、「賃金の引き上げ」と「望まない離職の防止」です。
 「賃金の引き上げ」は自明であるため、「望まない離職の防止」についてお伝えします。ここでも子どもがテーマとなります。
 今や共働きが当たり前になりました。ですので子育てをするなら、キャリアを積み重ねて、出産後スムーズに復職したいと考える方が多くなりました。しかしマミートラックと呼ばれるように、思い描いたキャリアを歩みにくいと感じさせてしまう実態も存在しています。
 出産後の復職が可能な環境でも、保育所が見つからなければ働くこともできず、民間の保育所だと保育料が高額で、月収と変わらないほどかかることもあります。「なんのために働いているのかわからない」と話した友人の顔が忘れられません。
 それら全てを乗り越えたとしても、小1の壁があります。これは、子どもの小学校入学を機に、仕事と育児の両立が難しくなることを指す言葉です。女性の4人に1人が、この「小1の壁」によって、退職や転職をせざるを得なくなっているといわれています。
 「小1の壁」によってなぜ退職や転職をせざるを得なくなるのかというと、保育所から学童保育へと預け先が変わり、子どもを預けられる時間が短くなるためです。夏休みなどの長期休暇中も個別対応が発生します。加えて勤務先企業での時短勤務の適用が外れるタイミングと重なることが多く、送迎付き民間保育サービスを利用するとなると、高額の費用が発生します。
 以上のように様々なタイミングで多くの障壁がありますが、希望はあります。例えば市川市では、認可保育施設に通う2歳以下の第2子保育料を10月から無償にすると発表しました。
 このような施策を全国に波及させることによって将来不安を一つずつ払拭し、貯蓄から消費へとマインドを変え、分厚い中間層を取り戻したいと考えています