7月も中旬となり、夏祭りに参加する機会も増えてきました。私を見かけた際は、ぜひお気軽にお声がけいただけますと幸いです。学生の皆様にとっては、これから夏休みが始まることも楽しみの一つでしょう。私も前職の頃、夏期休暇を取得した際は沖縄へ行くことが楽しみでした。
 その沖縄で、看過できない出来事が判明しました。発端は、米軍の兵士が16歳未満の少女をわいせつ目的で誘拐し、自宅で性的暴行を加えたとして起訴された事件でした。外務省は3月の起訴段階で駐日大使に綱紀粛正と再発防止の徹底を申し入れていましたが、 その後3か月にわたり沖縄県側に情報を提供していなかったのです。
 日米両政府は1997年に、公共の安全に影響を及ぼす可能性のある事件が起きた場合、米国側が日本政府や関係自治体に通報する経路を決めました。沖縄での事件の場合、米国側は中央レベルで在日米大使館を通じて外務省に、地元レベルで防衛省沖縄防衛局に伝え、防衛局が県や市町村に連絡する流れとなっています。しかし今回、県への連絡ルートは機能しませんでした。
 外務省や県警は「被害者のプライバシーを踏まえ判断した」と説明しています。勿論、被害者保護は当然必要なことですが、地域住民には犯罪の発生を知る権利もあるのではないでしょうか。再発防止策はすぐにでも講じるべきことだからです。そして対策を検討するとなれば、自治体との速やかな情報共有が不可欠だったはずです。5月には成人女性に暴行しようとしてけがを負わせたとして、別の米軍兵士が逮捕されています。情報が明らかとなっていれば防げた事件だった可能性があります。「被害者のプライバシー保護」が加害者側を利するためや、それ以外の事情に都合良く使われかねない状況があるのではと懸念します。
 6月16日に投開票された沖縄県議選や、翌週23日の沖縄慰霊の日が過ぎてから本件が明るみとなったのは、本当に偶然なのかと勘繰りたくもなります。政府は県への連絡もそうですが、それ以前に国民に対して本件を公表すべきだったはずです。日本国民の生命と財産を守ることが、政府の役割であるためです。
 また情報公開の遅れについて、米国への過剰な配慮があったとすればこれも不健全だと考えます。大前提として、日米同盟は、我が国の外交・安全保障の基軸であり、アジア太平洋地域のみならず、世界の安定と繁栄のために必要な公共財であることは共通認識として持つべきです。その上で、厳しいことも言い合えるような、令和の時代にふさわしい同盟関係に深化、発展させていく姿勢が求められているのだと理解しています。
 沖縄の県土面積は日本全体の0.6%です。しかし日本にある米軍基地のうち、その面積の約70%が沖縄に集中しています。心理的にも物理的にも、沖縄に集中する負担を軽減していくということを、日本国全体で一層真剣に考えていくことが重要です。