新しい出会いが多く訪れる季節となりました。新年度のご多幸を祈念しています。日本全体も前途が明るければ良いのですが、イラン情勢によって困難な事態に直面しています。まずは皆様が日常を平穏に過ごせるよう、政治が最大限努力すべきです。
日本はナフサの6割を輸入しており、その7割を中東が占めています。3割以上は国産ですが、大半は輸入されている原油を原料としているため、全体として中東依存度が高いのが特徴です。サプライチェーンにとって重要な資源であるにもかかわらず、ナフサ不足への備えが十分ではなく、ホルムズ海峡での混乱に対して極めて脆弱です。事実イラン危機以降、日本のナフサ価格は65%上昇しました。また複数の石油化学 メーカーは、プラスチック原料の生産削減を相次いで発表しています。
先日、石油化学工業協会の会長は「4月までは石油化学製品の製造を続けられる」との見通しを示しました。なお、石油化学製品全体では国内需要量の2カ月程度の在庫があるとされています。内容を要すれば「最悪のケースでは、夏には石油化学製品の供給が困難となる」可能性を示唆しています。この現状に対し、政府は強い危機感を持つべきです。なぜなら供給不足は「命にも関わる事態」だからです。医療分野ではナフサ由来のプラスチック製品が数多く使われています。注射器に点滴バッグ、手袋、さらには人工透析機器の一部にも使われているため、医療材料の優先確保策を早期に整えることが求められています。
原油備蓄はあるがナフサ不足に直面する理由の1つに、精製段階でガソリンなどの燃料生産が優先される点があります。優先順位があることは理解しますが、日本から原油そのものが減少している状況ですので、例えば「マイカーではなく公共交通での移動を一時的にお願いする」等の省エネ政策を、本来は政府として打ち出すべきです。しかしながら政府が実行しているのは、税金を投入した真逆のガソリン価格抑制です。一般的に考えれば、給油コストが上がらないのであれば、車の利用を控えようとは思わないはずです。平時なら有効ですが、有事の今は石油消費の促進を招きかねない危険な行為です。いつイラン情勢が落ち着くか分からないのであれば、最善を祈りつつ最悪のケースに備え、限られた原油の需要を抑制することこそが真の危機管理なのではないでしょうか。
