先日、何年かぶりに吉祥寺に行ったのですが、商店街を歩いていたところ外国人の4人家族に声をかけられました。

こういうこと、よくあるんですよね。

僕ってほら、ビジュアルが親切な日本人っていうか、歩く「令和」みたいなとこあるじゃないですか。

それで、今回も「また来たか」くらいに思って「May I help you?」的な笑顔を向けたところ

予想だにしなかったことを聞かれたんです。

僕は英語が得意じゃないので相手の言葉を完璧に聞き取れたわけではないのですが、

会話の端々に出てくる単語で判断したところ、次のことを聞いてきたのは間違いありませんでした。



私たちは、寿司が食べたい。


私たちは、寿司を食べたことがない。


お店を紹介してほしい。




このリクエスト難しすぎるだろ。



しかも、ここ、築地じゃないよ? 吉祥寺だよ。


三鷹の森ジブリ美術館帰りだか知らんけど、その足で寿司までカバーしようってどんだけ省エネで日本満喫しようとしてんだよと。

ただ、まあ、みなさんもご存知のとおり、僕って存在が令和っていうか、日本人としてのおもてなしが見事に咲き誇ってるわけじゃないですか。

だから、

「OK」

と言って次の行動を取りましたよね。






こんなアバウトなGooglemap検索したの初めてですわ。

ただ、さすがはGooglemapですよね。瞬殺でした。

こういうところなんですよ、テクノロジーの可愛さは。

これ、人間だったらすぐ出てこないですよ。

「え? 場所じゃなくて? 料理名で? せめてそこは『寿司店』でしょ!」ってなりますからね。

それを、Googlemapは「へい、お待ち!」って感じで秒で寿司店表示してきますからね。


言うたら、ちょっとバカじゃないですか。


そして、そこが可愛いんですよね。そして、その可愛さゆえに、今後、人間がAIに圧倒されていくわけなんですけど、そういう話は専門家に任せておくことにして、僕の専門の話に戻りたいんですけど、


見知らぬ外国人家族に、Googlemapで表示されたどの寿司店をすすめればいいかってことなんですけど、寿司を食べるのはファーストトライ言うてましたし、予約をせずに4人で行くわけですよね。

そこで、僕は色々な可能性を考えて、


「海鮮三崎港」


が良いんじゃないかと思いました。

僕はこの店入ったことがないんですけど、街でよく見かけますし、おそらく値段もそれほど高くないでしょう。

それで、僕は、海鮮三崎港吉祥寺ダイヤ街店の場所を「ゴー、ストレート」だ「ターン、ライト」だとつたない英語で伝えたんですけど、

これ「英語がしゃべれない人あるある」だと思うんですけど、

語彙が少ないゆえに、知ってる単語を何回も使っちゃうじゃないですか。

それで、僕は外国人家族に向かって



「I recomend you kaisen-misakiko.」 (私はあなたに海鮮三崎港をおすすめします)



って5回くらい言っちゃったんですよね。「リコメンド」って動詞しか思い浮かばなかったんでね。


これ外国人の家族からしたら



「あんたたち、吉祥寺来たなら海鮮三崎港行かないと、モグリだぜ!?」


くらいに聞こえてると思うんですよ。

それで、その外国人家族は「サンキュー、サンキュー」言いながら去っていき

僕もそのまま違う道を歩いて帰り始めたんですけど、

どんどん不安になってきまして。

先ほどから歩く令和やら、存在が令和やら、おもてなしが咲き誇ってるとか散々言ってきましたけど、


僕って、平たく言うと神経症者じゃないですか。強迫神経症者じゃないですか。


――話が少しそれますけど、こういうこと書くと、「不謹慎なことを言うな。神経症で苦しんでいる人の気持ちを考えろ」とか言ってくるやつがいるんですけど、マジで黙って。何で俺がお前より苦しんでないテイで話進めてきちゃってんの? ていうか俺はお前よりも確実にたくさんの心療内科回ってるし、毎回医者と議論してきてるし、今、開業したら間違いなく心療内科界のブラックジャックになるからね。実力のありすぎる無免許医になるからね。



で、話を戻しますと、

「あの家族に勧めるべきは、海鮮三崎港が正解だったのだろうか?」

という疑問が頭の中を延々ぐるぐるしてきて、不安が収まらないんですよ。

もう考えても意味ないんですよ? あの家族、食べ終わってるからね。

ただ、外国人家族に海鮮三崎港を教えてから10時間経過しても、20時間経過しても、1日経っても、2日経っても、

「I recomend you kaisen-misakiko.」

が呪文のように頭の中でこだまするんです。

それで、このままの状態では何も手につかないので、

行くことにしました。


kaisen-misakiko


へ。



とりあえず、事務所から一番近い三崎港に寄港したのですが、扉を開けるところから、すごかったですよ、僕の観察眼が。

本社から抜き打ちで調査しに来た人より、見てたんじゃないかな。

外国人4人家族が来た場合、どういう流れになり得るのかシミュレーションをしながら目を光らせていたんですけど、

ほとんど時間を費やすことなく


「海鮮三崎港が正解だったわ」


と確信できるものを発見しました。



なんと、



海鮮三崎港は、




注文した寿司が、





電車で運ばれてくるタイプの回転寿司だったのです!!!





※このブログを書こうと思ったのが帰って来てからだったので写真を撮っておらず、ネット検索をして食べログのChandler先生の写真を勝手に使わせていただきました。本当に申し訳ありません。







間違いなくウケた。


あの外国人家族、この電車見て間違いなくウケたわ。



英語力の乏しい俺でも、あの家族がこの電車に対してどんな英語を使って表現したか、手に取るように分かるから。



Amazing


だよね。


これはもう、アメイジング以外に表現しようがないもの。


それでこの電車でお寿司が運ばれてくるのを見て、目を輝かせている外国人家族の子どもたちを想像してたら、


大げさな話じゃなくて、目頭が熱くなってきまして。



Thank you so much kaisen-misakiko……


Thank you so much kaisen-misakiko……



って何度もつぶやきましたからね。


それで、少しでも海鮮三崎港に恩返ししたくて、


あえて、電車を使わず、回転してるやつだけ取って食べました。


回転寿司と言いながら、みんな回転してるやつ取らないからね、本当の意味での回転寿司を食すことで海鮮三崎港に貢献させていただきました。


そして、味もめっちゃ美味しかったのでめっちゃたくさん食べて会計を済ませ、




「色々あったけど、あの外国人家族に出会えて本当によかったなぁ」



そんなことを考えながら心とお腹を満足させてお店を出たのですが、



自宅に向かっている間に、ふと、あることが気になってきたのです。



海鮮三崎港では、注文をデンモクで行い、注文した品が電車で運ばれてくるのですが、



あのデンモク、外国語対応になってたか?



この不安が強迫観念として発動した僕の頭の中では


I must go back kaisen-misakiko……


I must go back kaisen-misakiko……


呪いの言葉が再びこだまし始めたのでした。