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2017-09-29 23:04:50

店の名は。

テーマ:ブログ

先日、財布を落としてしまいまして。


僕は普段、「小銭入れ」と「折り畳みの財布」の2つを使っているのですが、

朝、事務所に行こうとして鞄に財布を入れようとしたら、折り畳みの財布の方が見つからないんです。

そして、落としたときというのは不思議と予感があるもので、部屋の中を探しながらも

(たぶん、昨日のアレだな)

と震え上がることになりました。

深夜に近所の24時間営業のスーパーに行ったのですが、着替えるのが面倒だったのでスウェットのまま外に出たのですが、スウェットの浅いポケットに携帯と小銭入れと折り畳み財布とキーケース全部ぶち込んでいたんです。

会計のときは財布を持っていたので、帰り道でポケットから落ちてしまったのでしょう。

部屋じゅう探しても見つからなかったので、スーパーまでの道のりを調べ、スーパーの店員さんにも落し物がなかったか聞いたのですが見つかっていないと言われました。

この時点で、100%落としたことが確定したわけですが、

――ちなみに、この状況において凡百の人間であればオロオロして

 

「なんで昨日家出るときスウェットを着替えなかったんだ!」

 

などと頭をかきむしることになると思うんですけど、

僕は、ほら、「夢をかなえるゾウ」や「人生はニャンとかなる!」でも分かるとおり日本一、偉人伝を知っている男じゃないですか。

ゆえに、こうした思いがけない逆境においても脳内コンピューターが即座に次の名言を叩き出してきましたよね。



「最悪を想定して行動せよ」



こうして、「もう少し待ったら財布が出てくるかもしれない」だとか、とりあえず警察に届いていないか確認してから考えようなどとはせず、すぐさまカード会社と銀行に電話をしました。


「なんで昨日家出るときスウェットを着替えなかったんだ!」と頭をかきむしりながら、です。


――自分、偉人伝知ってるだけで、偉人じゃないんで。メンタルは凡百なんで。偉人の皮をかぶった凡百なんで。その意味ではむしろ普通の凡百よりたち悪いんで。

というわけで、「せめて落とすなら小銭入れの方だろーが!」と愚痴りながら、電話口に出た銀行員に「急いでるんで!」とか若干イライラをぶつける小者感も出しながら、財布に入っていたクレジットカードとキャッシュカード全部止め、がっくりと肩を落とし、とぼとぼと歩いて近くの警察署に行き、紛失届を出したのでした。


ちなみに、僕、半年前に小銭入れの方も落としてるんですよね。


ただ、そのときは100%出てくると思っていたんですよ。


その理由は、ここで改めて言うまでもなく、皆さんもご存知だと思うんですけど、僕、日ごろの行いが良すぎるじゃないですか。


徳(とく)の積み方がすごいことになってるじゃないですか。


もう、完全に僕の中で、徳のキャリーオーバーが発生してたんですよね。


小銭入れが出てきたとて、ですから。出てきたとて、積み上がった徳からしたらATMの手数料分くらいの徳の引き出しでしかないわけですから、これは出てくるだろうと、出てきてしかるべきだろうと思って悠々と構えていたところ、


あれから半年間、音沙汰ない状態が続いてますからね。


どうやら「徳」ってそういうシステムじゃないらしいですね。


この前なんて、家に戻ったら鞄にでっかいカミキリムシみたいなやつがひっついてて、(徳、徳……)と思いながらテッシュにくるんで1階に降りて近くの緑の多い場所まで連れていったんですけど、あいつに関しては、全然ベランダから放り投げる形で良かったみたいですね。


そういえば、ちょっと話は逸れますが、この前、事務所にいる漫画家の坂野と歩いていて、

僕が手に持っていたゴミを坂野が「捨てておきます」とさっと持っていったのに対して


「お前、今、徳、積んだな」


と言ったのですが、その瞬間、僕も猛烈に徳を積みたくなり、坂野が持っていったゴミを奪い返し


「そうは言っても、自分のゴミは自分で処理することを大事にする、そこに上下関係はない、ということを実践するという意味でこれは徳を積んだことになる」

すると坂野が

「――という水野さんの負担を減らしたいので」

とさらに僕のゴミを奪い、


こうして一つのゴミを互いに奪い合うことで無限に徳を積み続けるという


スーパーマリオの無限1UPみたいな徳の積み方を発見しました。


この方法に関しては徳界で特許申請中なので結果は追ってご報告していきたいと思いますが、


少し話がそれましたが、とにかく小銭入れですら出てきていない状況なわけですから、今回は入っているお金も多い折り畳み財布であり、


しかも、落とした時間が深夜2時ごろですからね。丑三つ時に財布拾う人間は魑魅魍魎の類ですから。

もう、間違いなく出てこないだろうと思い、ただ、かなり気に入っていた財布なんでまた同じの買わなきゃいけないなーと考えて相当ヘコンでたんですけど、



出てきたんです。



落としたあくる日、警察の人から電話がありまして。届いていますと。

そしてこのとき分かったのですが、人間、本当にうれしいことがあると、謙虚になるものですね。

このときは自分がこれまで積んできた徳のことは一切考えず、ただただ「有難い」と感謝することになりました。

しかも、警察署で財布を受け取ったところ、入っていたお金がまったく減っていなくて、完全に落とした状態そのままで届けられていたんです。

それでますます感動しまして、拾ってくれた人の電話番号にすぐさま電話をしたのですが(警察署で教えてもらえます)、拾ってくれた男性の人が電話口でこう言ったんです。


「すみません、届けるの少し遅れてしまって」


もう、どんだけ聖人なんだと。

これまで「徳、徳」言ってた自分が恥ずかしいと。あんたのが本当の「徳」なら、俺は「お徳用パック」だと。

そういうわけで、ぜひ直接聖人にお会いしてお礼をさせていただきたいということで後日お会いすることになりました。


そして約束の当日。菓子折りを持って緊張しながら待ち合わせ場所に向かいました。

このとき僕が考えていたのは、


(一体どんな方なんだろう)


ということでした。

電話口では丁寧な口調で話されていたのですが、拾った時間は深夜から明け方にかけてだと思われ、そんな時間に財布を拾う人が一体どんな人物なのか想像もつかなかったからです。

待ち合わせ場所に先に到着していたその男性は、50代くらいの優しい雰囲気の方でした。

僕はまずお礼を言い、菓子折りをお渡しし、財布に入っていたお金の半分を謝礼としてお渡ししたいと言いました。

その方は「そんなにもらえません」とおっしゃったのですが、僕としては財布が出てくることはあきらめていたから本当に感動したということと、届けてくれたことにお金をお渡しできるのはうれしいことだと言い、受け取ってもらいました。

もう、ここは、徳と徳のせめぎ合いでしたよね。徳界の宮本武蔵と佐々木小次郎の徳の剣先が触れ合って火花を散らしておりました。

というわけで、財布も出てきたし、拾っていただいたその方にも感謝できたし本当に素晴らしいことずくめだったのですが、ふと、その方が普段何をしているのか聞いてみたところ、

西新橋でカウンターバーの店主をされているということでした。

 

それで僕が財布を落としたスーパーが家の帰り道であり、拾ってくれたそうなのです。

それを聞いて「なるほど」と合点がいきました。

深夜にどんな人が拾ってくれたのだろうと疑問に思っていたのですが、バーの店主であれば財布を拾って届けてくれる人柄も大いにあり得るでしょう。


そして、僕も西新橋にかなり長く住んでいるので「そのバーはどの場所にあるんですか?」と聞いて「あ、あそこの路地ですね!」などと盛り上がり、「今度行きますのでお店の名前教えてください」と聞いたところその人は言いました。







「カオスです。」






は?

聞き間違いと思い、「すみません、もう一度教えてもらっていいですか?」と聞いたところ、その人は言いました。






「カオスです。」


 

 

 

 

 

 

いやいやいやいや、その店名はないだろ!


深夜に財布を拾って一円もネコババせずに届けてくれるような人がやってるバーの名前なんだから、



オネスティ(正直さ)とか


アクア(水)とか


とまり木とか、


平和や愛を連想させるお店の名前であってしかるべきなのに、



カオスて




それ、バーっていうより




ハプニングバーの名前じゃねえか。



ちなみに、俺の財布に入ってた金額10万3千円だからね。


警察署の人も驚いてたからね。「結構入ってたねー。出てきて良かったねー」って。


その財布に一切手をつけず、しかも「届けるのが遅れてすみません」って謝ってくる人のバーの名前が



カオスて



もはやこの状況がカオスですわ。



というわけで、僕は呆然としながら、「これから出勤なので」と去っていくカオスの店主の後姿を見送ることになったのですが――



もしあなたが西新橋で「カオス」という名前のバーを見かけたらぜひ入ってみてください。


店名こそ「カオス」ですが、店長の「カインドネス」は、間違いなくあなたを癒してくれると思いますので。


 



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