僕、道路の縁石に座ってぼーっとするのがめっちゃ好きなんですよ。

 

これ、たぶん、大学1年のときの渋谷が原因じゃないかと思うんですけど。

分からない人も多いかもしれませんが、渋谷の西武デパートの前にある座れる段差みたいなのあるじゃないですか。

東急ハンズに行く途中の道にあるやつですね。

大学1年のとき、よくあそこに座ってたんですよ。あと、宮益坂の街路樹の下の縁石にもよく座ってました。

何で座ってたかというと、単純に、疲れてたんですね。

片田舎のゲームオタクにとって渋谷みたいなイケてる街は、そこにいるだけで体力が消耗していくんです。

でも、僕、上京前から詳細な大学デビューの計画練ってきてるんで、大学時代めっちゃ渋谷にいたんですよ。

渋谷にいたというより、いなければならなかったんです。

でも心はめっちゃ疲れるんで、結果的に、渋谷の縁石に腰かけて人生について考えていました。

渋谷の縁石に腰かけて本を読んでて顔上げたらあたりが真っ暗になってたこともありました。

ただ、人生について考えると言っても

 

「どうしたら彼女できるんかなぁ」

 

ということがメインテーマでしたし、当時読んでいた本も

 

恋愛マニュアル → 恋愛マニュアル → ニーチェ → 恋愛マニュアル

 

みたいな感じでしたし、ニーチェを読んだのも「ニーチェは女にフラれたのが苦し過ぎて本を書いた」のに共感したからでしたけど。

少し話がそれましたが、そういうわけで、縁石に対して妙な安心感があるというか、座るのが好きになったんだと思います。


それで先日も

新橋の道路に良い縁石見つけて座ってたんですよ。


そしたら60歳くらいの、灰色の髪をしたスーツ姿のおじさんが僕に近寄ってきたんです。


最初は怒られるんじゃないかなと思いました。


「こんなとこに座るな」


とか言われるんじゃないかと思ったんです。


それで立とうとしたら


「いや、座って座って」


みたいなジェスチャーをするんですよ。

それでまじで緊張したんですけど、そのおじさんが↓こう言ってきたんです(実話です)。

 

 

「若いって素晴らしいねぇ!」 

 

 

 

コイツ何言い出すんだって思いました。

 

でも、おじさんは笑いながら大声で続けました。

 

 

「いやあ、私は君みたいな若者がうらやましいんだよ! いやあ! うらやましい!」


 

いや、先日、40歳になったんですけどね。

 

 

まあ、確かにキャップをかぶってパーカー着て縁石に座ってたから若く見えたのかもしれないですが、

あと、そのおじさんは顔が少し赤かったから酔っぱらってたんだと思います。


ただ、その千鳥足のおじさんの背中見ながら思ったのは


「あのおじさん、めっちゃ幸せそうじゃねえか」


ってことなんですよね。


それで、これ、前から思ってたことなんですけど


僕、家も事務所の新橋近辺にあるんでよく新橋に行くんですけど


新橋にいるおじさん、みんなめっちゃ笑ってるんですよ。


お店の中にいる人見ても


路上歩いている人見ても


みんなめっちゃ笑ってます。


みんなめっちゃ幸せそうなんです。

 

 

「普通の大人になりたくない」「少年の心を持ち続けたい」

 

 

そういう言葉を散々聞かされてきて

 

自分もそうありたいと思って生きてきましたが

 

40歳になった僕は、自分が正しかったのかどうか分からなくなりました。

 

 

おじさんに声をかけられたとき縁石に座っていた僕は、

 

 

やっぱり、人生について悩んでいたんです。