今から5年ほど前に、


「そうだ、人を育ててみよう!」


と思い立ち、原宿の事務所に作家志望者を6人集め、丸2年間、半同棲生活をしながら彼らの本を編集・チェックしていた時期があったのですが、彼らは本当に個性的で


「隣の席が気になるので全ての席にパーテーションを導入してください」


と言われその通りにしたところ、

パーテーションが届いたその日に「辞めます」と言い出したIくんや、

「君のは文章の才能がある。文章の才能っていうのはね……」と毎晩深夜まで文章論を語り続けていたものの、途中から文章を書かなくなり、最終的には弟子ではなく僕がカラオケで歌を歌っているときタンバリンを叩きながら「ワンツーイヤホイ!」という合いの手を入れるという役割のみを担うことになったSくん

結局のところ、自分の教育者としての能力が足らず、一人、また一人と脱落していったのですが、

今、事務所に残って一緒に本の仕事をしている、唯一といっていい生き残り作家志望者がOくんです。

そもそも彼の出会いは、恋愛体育教師・水野愛也のDVDの付録の小冊子のための撮影で、ネットで呼びかけたときに遡ります。

宮益坂1


この写真を撮るために集まってもらった人の中にOくんがいたのですが

宮益坂3


ほとんど映ってませんね。


撮影のあとみんなでファミレスで食事をしたのですが、そのとき彼は本を出したいと言っていたのでちょくちょく原稿を見るようになり、

彼にはすごく光るものを感じたのですが大企業の社員だったで、

「Oくん、今は苦しいかもしれないが、本が売れたらすべてが報われるんだよ」

と言って、毎週土日とゴールデンウィークや祝日もすべて、事務所に来て執筆にあててもらうことにしました。

ちなみに、当時僕が考えていた、本づくりで最も重要なポイントは「課題を見つけること」であり、

作品において正しい課題を見つけることができれば、文章は他のジャンルと違って何度でも書き直せるので、「課題させ見つかればあとは直すだけ。簡単でしょ?」という方針でやっておりましたので

Oくんの文章を読んで「こことこことこことここが課題だね」ということをひたすらやっていたのですが

結果、


Oくんは1冊も本が出せないまま5年の月日が経過してました。


ちなみに、僕はOくんと一緒に2010年と2014年のワールドカップを見たのですが、


Oくんは2014年のワールドカップを渋谷で見た帰り道、



「僕、あと何回ワールドカップ見たら、本出せるんですか」



と涙目で言っていたのが印象的です。


あと、全然関係ない話ですが、僕とOくんはワールドカップを渋谷駅前のスポーツバーで一緒に見ていたのですが、


そのスポーツバーにあるテレビの前には人があふれかえり、結局テレビが見れないので、スポーツバーの外で、携帯電話のワンセグで見ていたのですが


ワンセグの電波がテレビの電波より2秒ほど遅れてくるので


たとえばフリーキックでワンセグの画面で本田がボールに向かって走り出した瞬間、スポーツバーのテレビで「決まったー!」と歓声が上がるので興ざめもいいところでした。


さて、そんなOくんですが、1年ほど前に、ちょうど事務所にいたところ山本社長が突然「Oくんを会社に入れよう」と言い出したので一緒に説得し、

彼が勤めていた会社は超一流企業でしたので周囲の誰が聞いても「蛮勇」としか言えない行動なのですが、Oくんは「会社辞めます」と言い出して

今は文響社の編集兼著者として毎日事務所で一緒に仕事してます。(昨日も一緒に醤油ラーメンを食べました。「新橋に煮干しダシのラーメンの名店があることが分かったから行こう」と誘ったら、「行きます」と言ったときのトーンが「会社辞めます」のときとまったく一緒でした)


さて、そんなこんなで、Oくんが会社に入ってからも時間を見つけながら本の執筆を続けていたのですが、、、


ついに!


企画を立ち上げてから6年の月日を経て!


先日、Oくんの本が発売になりましたよ!






SURVIVAL WEDDING(サバイバル・ウェディング)

Oくんの本が出るという感動を共有できるのは、原宿事務所時代に毎日放送していたユーストリーム「アトリエご飯」を欠かさず見てくれていた40人くらいだと思いますが、ついに、ついに、ついに! Oくんの本が出版されました!

しかも、何が素晴らしいかって売れてるんですよ!

数字的にもかなり好調のスタートですし、この前、Oくんと「発売記念だ」ってことで恵比寿の書店で置かれてる本眺めてたら普通に女の人たちが本を手に取ってレジ持っていってましたからね。書店での雰囲気や手に取られている感じで売れるかどうかってかなり分かるんですが、Oくんの本は素晴らしいオーラを放っていました。

それで、本の内容なんですけど、まあ、6年もかけて作ってますからね、練りに練られてるんですけど、

ざっくり話しますと

出版社に勤めるOLの黒木さやかが寿退社した日に彼氏に浮気されて婚約破棄することになり、職場復帰しようとしたらもう席がなくて、

唯一、仕事をもらえたのが女性誌の編集長・宇佐美のいる部署だったのですが、宇佐美から出された条件が

「半年以内に結婚してそれを記事にすること。できなかったらクビだ」

というジェットコースター的ラブコメなんですけど、この宇佐美のキャラクターが本当に素晴らしいんです!

というわけで、

ほぼ同日発売した僕の本「ウケる日記」のことはもう完全に忘れてもらっていいんで、


原宿事務所時代からの最後のサバイバーOくんの書いた



SURVIVAL WEDDING(サバイバル・ウェディング)

ぜひぜひよろしくお願いします!