TSUTAYAの貸しマンガコーナーで、ある女性漫画家の本を見つけて

(昔良く読んだなぁ)とパラパラとめくっていたのですが、

ふと、その人の書く漫画から遠のいた原因を思い出しました。

それは、その漫画家が結婚相手の男との馴れ初めを書いた漫画を読んだのですが、その内容がこんな↓感じだったのです。



その女性漫画家がみんなで鍋パーティをしていたとき、男たちが悪ノリして風俗に行った話をし始めた。

それを聞いていて女性漫画家は「下品な話で嫌だなぁ」と思っていたところ、一人の男が「そういう話やめようぜ」と言って話題を止めた。

場はシラケた空気になったがそういうのを勇気を持って言えるのを見て

「なんて素敵な人だ」と思った。

そして女性漫画家はその男に惚れて交際し始め、結婚することになった。




そして、これを読んだときの僕の感想としては、




はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?




もしこれを読んでいる女の人がね「え?なんで水野はこれにはぁぁ?ってなってんの。この男の人全然良い人じゃん」


ってなってたとしたら、お前含めて、はぁぁぁ!? ですよ。



僕が声を大にして言いたいのは


「どんだけ自分のこと棚にあげてんの?」


ってことなんですよね。

ほら、女性って良く飲み会とかで「男よりも女友達を大事にする」みたいなこと言うじゃないですか。

「女友達のことを無視して男に媚びる女とか最低」って良く言うじゃないですか。

そして、この男って、完全にそれの男バージョンなんですよ。

周囲の男の顔、完全に潰してるんですよね。


たしか、そのエッセイ漫画読んだの、僕が高校のときだったと思うんですけど、結構好きな漫画家だったのでショックでしたよね。

今だに覚えているっていうのは相当なものだったと思うんです。

それで、まあ、今になって20年以上前の話ほじくり返すのもアレなんですけど、

この鍋パーティでの男の発言の正解は何だったのかっていうのを、女性の漫画家視点で考えてみたいと思いました。




みんなで家で鍋パーティをしていたとき、男たちが悪ノリして風俗に行った話をし始めた。

そのとき私は「下品な話で嫌だなぁ」と思っていたが、

突然、男の一人がこんなことを叫んだのだ。



「さっきからみなさん、オゲレツ、オゲレツゥ!」



さらに、男は続けて言った。



「どうも、初めまして。私がオゲレツ・オゲ太郎です。(箸を鍋に入れて)それでは、まずはキノコの方から頂いてみたいと、ほほう、これはたいそう立派な……。それでは、私のサイズより明らかに大きいキノコを頂きたいと思います(口の中にキノコを入れ)オゲレツゥ!」


この瞬間、私は思った。




「結婚するならこの人しかいない」と。




解説しよう。

まず、男が風俗の話で悪ノリしたとき女としては耳を塞ぎたくなるものである。

しかし、そういう男に対して「下品な話はやめようぜ」などと自分を聖人君主のポジションに置き、上から目線で言う男がいたとしたら、とんだゲス野郎である。

だいたい男なんて生き物は人生で一度は風俗に行ったことがあるはずで、それを棚に上げて何が「やめようぜ」だと。気取ってんじゃねえよこの偽善野郎がと。もっと友達に気を遣えよボケがと。


しかし、この人は違った。


風俗の話を聞きたくない女の気持ちを察知してツッコミを入れつつ、しかし男の面子をつぶさないために、あえて


「オゲレツ」


という死語を使ったのだ。


「オゲレツ」。久々に聞いた。しかし、この死語に私は感動したのだ。


たとえば、太った人に、「デブ」というのと「子ブタちゃん」というのではニュアンスがまったく違うように、


下品な男たちを「オゲレツ」と表現することで、オブラートに包みながら彼らの立場を守ったのだ。


正直、この時点で、私の股間は、そこで鍋ができるんじゃないかっていうくらいの大洪水だったけど


さらに衝撃的だったのは、この人が


「オゲレツ・オゲ太郎」として食レポを開始した


ということだった。


「いや、ちょっと待って、オゲレツだったのは他の男であり、あなたじゃないじゃない!」


思わずそう叫びそうになった。でも彼は止めなかった。自らオゲレツを名乗り、キノコを男性器に見立てた奇想天外の食レポを開始したのだ。

また、キノコというのが絶妙だった。

風俗のトークをレッドカードとするなら、完全なグリーンカード。そのままアメリカにも住めちゃうよっていうレベルの下ネタ。それが、キノコ。

そう。

女子は三度の飯より下ネタが好きな生き物。ガールズトークの9割は「私の乳輪大きすぎてこのマカロンでも隠れないんだけど(爆)」みたいな感じ。


でも、大事なのはその下ネタは女子が楽しめるものなのかどうかってこと。その点に関して、彼は完璧だった。だから、風俗トークをいったん中断して

食レポ→キノコという女子でも登れる高尾山的な、下ネタのステップを用意してくれたんだ。

こうした彼の見事な下ネタトークによって、その日の男女は全員カップルになった。


そして私はもちろん、その日のうちに彼と結ばれた。彼のモノは、全然、鍋の中のエリンギより立派だった。


それから私は、毎日のように彼のエリンギを貪った。私のアワビを震わせながら。


3か月後私たちの結婚式が開かれた。


式場はもちろん、熱海の秘法館。


祭壇の上で、見届け人の秘法館の館長(ネームプレートは「浣腸」と書かれてあった)と旦那に前から後ろから攻められながら、薄れゆく意識の中で私は思ったの。


「そうか……私が本当に書きたかった漫画は、こういうマン……」





――こうして彼女がレディースコミックの旗手として活躍し始めたのなら、20年後の今も間違いなく最前列のファンであったことは間違いなかったのですが、、、数ページ読んだ彼女のコミックをそっと元の棚に戻したのでした。







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