小雨の降るニューヨークのハーレムで、黒人の人がこんな傘を売っていました。






水野敬也オフィシャルブログ「ウケる日記」Powered by Ameba-傘1






「やっぱりニューヨーカーは発想が違うなぁ」

とかなり気に入って2本買ったのですが、


先日、映画の打ち合わせがあったので


この傘をかぶって現れることにしたんです。


今、仕事をしている映画のプロデューサーは僕が日本で最も尊敬するクリエーターの一人でもあるのですが、


その人と話すのは、いつも仕事の話ばかりなんですよね。


で、このブログを読んでくださってる方ならお気づきになられてると思うのですが


水野といえば「お茶目」


じゃないですか。

言わずと知れた



お茶メン


じゃないですか。


どんなイケメンも僕の「お茶目」を前にしたら裸足で逃げ出すわけじゃないですか。


でも、まだそういう僕の「お茶メン」ぶりが、プロデューサーには全く伝わってなかったので


旅帰りっていう、ちょうどいいタイミングだと思ったので


この傘を頭に装着して打ち合わせに向かったんですよ。


いやあドキドキしましたね。


別に普通の相手だったら全然大丈夫なんですけど、


言うても僕が今一番気を遣ってる人ですからね、


一番楽しんでもらいたい、「水野って可愛いな」って思ってもらいたい、その人に対して


大胆な勝負を仕掛けるわけですからね。


ただ、水野もね、ただのお茶メンじゃないですから。


いくつもの戦場をくぐり抜けてきた、傷だらけのお茶メンですから。煎茶ならぬ、戦茶ですから。


ここで勝負せんかったらいつ勝負するのってことなんで


頭の上のパラソルをもう一度整えて、意を決して会議室のドアを開けました。



すると、プロデューサーは、僕のこの姿を見て言いました。




「ああ、それ海外で黒人が売ってるやつだね」




さらにプロデューサーは続けました。





「黒人は、それ、世界中のどこでも売ってるね」






ぴくりとも笑わないプロデューサーを見て、僕は頭が真っ白になり―――



その後の打ち合わせの2時間の間、何のアイデアも思い浮かぶことはなく―――



デビュー以来10年間、途切れることなく降り注ぎ続けた「発想」の雨は、この頭に装着したパラソルによって完全に遮断されることになりました。