最近、このブログを読んでくれている人から


「実は僕も『ホスピタリ也』なんです」


という台詞を聞きました。

これがたとえば「僕、回転寿司好きなんです」とかであれば「ああ、カウンターの寿司屋って緊張しますよね。やっぱ寿司は回すに限りますよね」などとほがらかな笑顔で返したんだと思うんですけど

ホスピタリティに関しては僕にとっての唯一の地雷というか完全に頭のネジが飛んじゃうというか

もう般若のような形相で

「で? 君はどれくらいホスピタリ也なの?」

と聞いてみたんですけどそれがもう全然ホスピタリ也じゃないんですよ。

そのレベルだったらホスピタリ也じゃなくてホスピタリティなんですよね。『也』じゃなくて『ティ』側の人間なんですよ。


そこで僕は


「あのね……」


と足を組み直しながら言いました。


「一つ―――話をしようか。俺が自分に対して『ああ、俺ってホスピタリ也なんだ』って自覚したときの話をね」


そして僕は訥々と語り始めたのでした。



「その日、俺は山手線に乗ってたんだ。そしたらね、ちょうど俺の隣の席に赤ちゃんを抱えた母親が座ったんだよ。そしたらその赤ちゃんが俺に微笑みかけてきて、俺の肩に手を置いたんだ。

一般人だったら――ここで赤ちゃんに対して『可愛い~ん!』となってテンション上がっちゃうところだ。

 ただ、俺は違った。

 俺が、真っ先に考えたのは


 俺が赤ちゃんに対して『可愛い~ん!』ってなったら母親が疲れるんじゃないか


 ってことなんだよね。 


 世の中の大人たちは子供を見たらすぐ『可愛い~ん』だ。しかし、母親からしたら毎日毎日『可愛い~ん』『可愛い~ん』でもはや彼女にとっては『可愛い~ん』は『可愛い~ん』じゃなくなってる上に、社会からの『可愛い~ん』にも対応しなければならないんだよ。

 そんな母親のことをまず第一に考える――それがホスピタリティじゃないのかな」


そして僕は顔を上げ目の前の男を見ました。



「でもね、赤ん坊は俺に微笑みかけてきてるわけよ。もう右手が俺の肩の上に乗っちゃってるわけ。この赤ちゃんを無視するのもまた同時に、ホスピタリティじゃないわけよ」




「じゃ、じゃあ水野さん――いや、ホスピタリ也さんは、どうしたんですか」




そして僕は言いました。



「母親にバレないように、肩を上下させる動きだけで赤ん坊をあやし続けた。




 恵比寿駅から新橋駅までの15分間、ずっとだ






「ホ、ホスピタリ也さん――」




彼は口をあんぐりとあけて呆然とすることになったわけですが


これを読んでいる人も


ホスピタリティで僕に挑戦するのだけは止めといた方がいいと思います。


ほんとみなさんのためにならないんで。


自信喪失するだけだと思うんで。







■編集者の方と座談会を開きたいと思います
  
すみません、突然ですが、書籍、漫画などの編集者の方とお会いして作品づくりの話などをざっくばらんにする会を開きたいなと思いました。

というのも、文響社という会社を作ってから、一般の編集者の方とお会いする機会がほとんどなくなってしまったので、情報交換する機会が無くなってしまったのです。

もし僕の作品づくりに興味のある人はぜひご参加ください。

ただ、あまりにも希望者が多かったら恐縮ですが、選考的なことをさせていただくかもしれません。(すみません)

座談会参加希望の方は

履歴書的なものと、過去に出版した本とその部数を
(過去に書籍、漫画を担当したこと無い人はすみませんが参加をお断りさせていただきます)

↓のアドレスにメールしてください。

project2011@mizunooffice.com

よろしくお願いします~!


※ 「ウケる日記」は来週火曜日更新です。


水野敬也関連作品





電子書籍(iOS)