「真壁のおかげで人生が変わるきっかけになった」
「真壁がウザい。早く真壁から解放してほしい」
などなど、様々な反響をいただいた企画「なぜ真壁は変われないのか?」は前回で最終回を迎えましたが、

先週事務所に一通の手紙が送られてきまして、

この手紙がぜひ紹介したい内容だったので、「おまけ」として掲載させていただきます。

Kさんという方からの手紙です。

(Kさんへ。本文はそのまま抜粋していますがプライバシーに関する内容は伏せていますのでご安心ください)





初めまして、まず大変お忙しい中手紙を手に取って頂き本当にありがとうございます。

水野先生の書籍やブログなどいつも楽しく拝見しております。

私事ではありますが、このような形で著名な方への手紙を書く経験は初めてですので、
失礼があれば申し訳ないです。

そして、今回、手紙を書いてみようと思ったのには理由があり、結論から申し上げれば

真壁さんに関するブログを読んだことがきっかけです。


真壁さんの羊の群れ発言に、自分は何を成し遂げたわけでもないくせに、何を上から目線で他人様にアドバイスしているのだ……と気づかされました。大変勇気のいる発言ありがとうございます。





大変勇気のいる発言て


Kさんあなたどんだけ真壁に甘いんですか


最初は、真壁の発言にキレられるのかと思ったので、あまりのポジティブさに衝撃を受けました。

さらに、Kさんの手紙の内容はこう続きます。





要は、自分も、真壁さんと同じように、行動を起こせない人間だと思います。


(中略――Kさんは挑戦することには「代償」が必要だと考えているようです)


挑戦するということに「びびっている」自分がいるのです。代償を払うのが怖いのです。

代償を払うことに二の足を踏んでいる私のような凡人に水野先生はどのように考え、答えられるのだろうか……。

もし機会があれば、ブログの中で触れていただいても大変うれしく思います。





僕としましてもぜひKさんの質問に答えてみたいと思いましたが、

せっかくなので

真壁にもKさんに対してアドバイスをするように言いましたので、

僕と真壁、両方のアドバイスをご覧ください。




Kさん初めまして、真壁です。

この質問から察するに、Kさんはかなりの羊ですね。毛を刈るのではなく、刈られる側、眠れないときに数えられる側の存在といったところでしょうか。
ただ、羊に食われてる草側の僕に言わせてもらったら、そもそも払える代償があるってこと自体すごいことなんですよ。今の僕には払う代償すらありませんから。僕に払える代償って言ったら、「魂」くらいですからね。悪魔と契約するときに払うあれです。あれくらいしか差し出すものがありませんから。マジ悪魔来てくんねーかなって感じですよね。悪魔待ちの毎日ですね。
というわけなんで、僕が言いたいのは、Kさんあんたすごいよってことです。代償が怖いっていまってますけど、ミスチルもHEROの中で「愛する人の存在が自分を臆病にした」的なこと歌ってますからね。臆病でいいんですよ。あと全然関係ないですけど、ウチの母親ミスチルの大ファンなんですよ。その意味では本当にミスチルには感謝してます。僕の分まで親孝行してもらってるわけですから。
というわけで、Kさんは無理に代償払う必要ないんじゃないかって思うんですけど、ただ、こうやってわざわざ水野さんに手紙を書いて送ってくるくらいですから、現状に満足できてないんでしょうね。
その意味で、僕が言いたいのは、挑戦しないことにもまた「代償」はつきまとうよってことです。たとえば、「時間」ですよね。迷っているうちに時間が失われていきます。そしたら、何年か前にやっておけばよかった、っていう後悔がさらに積み重なっていきますから。つまり「挑戦しないことの代償」も踏まえて考えてみたらいいんじゃないですか。まあでも、僕が最後にKさんに言いたいのは、ミスチル的に言えば「抱きしめたい」ですよね。






水野です。

真壁の非礼をお許しいただく意味でも、真剣にお答えしていきたいと思いますが、まず、「挑戦に代償がつきまとう」ことを実感していることは素晴らしいと思います。というのも、多くの人がそのことが受け入れられず「代償を払わずに結果を出したい」と考えてしまうので、結果を出すことができません。 
具体的に言うと、たとえば「いつか起業したい」と思いながら会社で働いている人で「今は将来の起業のために会社で修行している」ということを言う人がいます。ただ、実はその人の中では「会社を辞めて起業するのが怖い」という感情が先行していたりします。企業が怖い、でも、自分が怖いことを認めたくないので「今の会社で修行している」という風に「納得」します。もちろん、やみくもに会社を辞めるのが良い結果を生むわけではありませんが、しかし、一番危険なのは、

「正しい因果関係を『恐怖』によって歪めてしまうこと」

です。さらにそのことを本人が気づいていないケースが多いです。本当に多くの人が、この罠に陥っています。この罠にはまると、延々と、悶々としながら人生を過ごしていくことになります。しかし、Kさんはまず、「代償が必要である」ことを理解している。そして、自分に恐怖が存在することを認めている。それはすごく大事なことだと思うんです。

それで、ではどうしたらいいか、ということですが、




Kさんは、代償を恐れず、挑戦すべきだと思います。



今、↑の言葉を読んだとき、どんな気分でしたか?

もしワクワクしたなら、本音で挑戦したいと思っているので、挑戦してください。そうではなく嫌~な気分になったのなら、実は挑戦したいと思っていないので止めた方がいいでしょう。
人は、結局のところ、自分の中に方位磁針を持っていると思います。その方位磁針にウソをつくことが一番のリスクだと思います。
Kさんが今、何に対して挑戦したいと思っているかはわかりませんが、「挑戦」は幸せになる必要条件ではありません。幸せは本当に色々な形があります。
また、挑戦する場合は、Kさんは過去に挑戦して色々つらい経験をしたということですが、結果を出すには、まず一度自分の考えをすべて捨てて、モデルやベンチマークの考え方を100%正しいと思って受け入れる、という行為が大事です。何事でも結果を出すプロセスは極めてシンプルです。むしろ自分の固定概念や感情が霧のように広がって正解を見えにくくしている、というのが実際のところです。
Kさんが「挑戦には代償が必要だ」という因果関係から目をそらしていないように、挑戦する物事に対しても因果関係をきちんと見つめて行動すれば、世の中のほとんどのことには結果を出すことができるので、ぜひぜひ頑張ってみてください。





今回で真壁企画は、本当の本当に終了です。

今まで長い間お付き合いいただいてありがとうございました。

次回からは通常の日記に戻ります。

※ 「ウケる日記」は来週火曜日更新です。


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