俺は今、猛烈に緊張している。
額からは滝のような冷汗が流れ、両腕は痙攣し、一分おきに落雷のような腹痛に襲われ、結果、トイレの中でこの文章をタイピングしている。
ついにこの日が来たか。
お前たちに愛也流「寸止め」理論を授ける日が――。
正直、この日本で俺以上に「寸止められ」てきた男はいないだろう。
大学時代に憧れの先輩とキスをするところまでこぎつけたが、3日後に会ったとき「この前のこと忘れてくれる?」と鶏クラスの忘却力を要求されたことがある。また、初デートで温泉旅館に泊まるというG難度の技を決めたのだが、布団の中で身体を触ろうとするとどこからともなく手が伸びてきて、それはもうアメリカ女子サッカーのホープ・ソロばりの守護神ぶりで、午前0時から4時までの間ペナルティエリアに入ることすらできなかたこともある。
まさに、俺の恋愛は「寸止められてきた歴史」であった。
そして、それゆえに、どういう寸止めが男を燃え上がらせるのかを完璧に把握することができたのだ。お前たちは今から俺が教える理論を使うことで、近日中、確実に男を落とすことになるだろう。
では、まず両目を閉じよ。
年齢も峠を越え、肌の張りも失い、貧乳の、黒乳首の、女としての魅力が皆無であるお前みたいなものに落とされてしまう男たちのことを偲んで、まずはこの場で黙祷せよ。
――さて、それでは寸止め理論の具体的内容について明らかにしていくが、ここで改めて「寸止め」という概念を確認しておく。
「寸止め」とは、身体を求めてきた男に対してギリギリのところで「おあずけ」を食らわせることで男を燃え上がらせる技術であり、その最大の効用は、遊びでお前を求めてきた男を「本気」にすることができる。つまり、寸止めの技術を磨けば磨くほどお前たちは本命の彼女になれる可能性が高まるというわけである。
だが、しかし。
もはや女向け恋愛業界の常識となった「寸止め」であるが、どの本を開いてみても「男は寸止めで落ちる」とは書いてあるが、実際どのような寸止めが正しいのかについては深く言及されていない。そして問題は、多くの女が「正しい寸止め」を知らないゆえに、むしろこの「寸止め」を通して男から嫌われているという事実である。
その中でも特に最悪なのが、男の部屋でそういう流れになったときの
「私、つき合ってない人とはHしないの」
である。
「私、つき合ってない人とはHしないの」
※勝間さんには一切の許可を頂いていませんので、訴えられたら完全に敗訴するので、そのあたり考えて頂ける方はこちらをクリックお願いします→「断る力」http://amzn.to/QrLkqs
これを言われた男としては、
「商談ですか?」
となり、
夜景の綺麗な高層階のフレンチで料理のフルコースを頼んだ男が店員に
「ワイン、安くならない?」
と値切り出すくらいの野暮さである。
しかし多くの女はHを前にすると、自分を高く売りつけたいという欲望が先行し「この契約書にサインいただければ、搬入OKですけど」と契約書を差し出してしまうのだ。
この行為が、男を猛烈に冷めさせるのである。
だが、野暮を恐れるあまり、「もってけドロボウ!」と江戸っ子的開脚をしてしまうと、それはそれで「ハウスワインの女」に成り下がってしまう。
そこで、体を許さず、しかし男を冷めさせない寸止めが必要となってくるのだが、まず基本中の基本として押さえなければならないのが
笑顔
である。
いざHをしようとしているとき不安なのはお前たちだけではない。
男もまた不安なのだ。
「こんなことしたら嫌われるかもしれない」
そんな不安におびえながら、清水の舞台を飛び降りる覚悟でもってお前たちの体を求めている男もいるだろう。
ゆえに、笑顔である。笑顔でいることで男の不安を取り除くことができ、男はお前を楽しく求め続けることができるのである。
笑顔 + ヤラせない
この公式を知っておくだけで、すでにお前はかなりのスンドメニストとなることができるだろう。
これは、裏を返せば、お前たちが寸止めする際に冒してしまいがちなミスは
言わなくてもいいことを言う
なのだ。
たとえば体を求めてきた男に対してついこんなことを口に出してしまう
「すぐHすると後悔するから」
すると男は(じゃあ昔すぐHして後悔したことあるってことかい!)となる
「こういうことする人嫌い」→(じゃあなんで家まで来てんだ!?)
「私、体に自信ないし」→(冷めるわ!)
である。
ベッドを前にした寸止めの攻防戦は、地雷フレーズのエレクトリカルパレードとなると心得よ。
だが、かといってずっと無言のまま男の攻撃をかわし続けるのも難しいだろう。
そこで、今から男の攻撃をかわす際、最も有効となるセリフを授ける。
この方法は、たとえば今後どれだけゲゲゲの鬼太郎が進化しようが、父親が「目玉」であることが変わらないように、寸止め業界においても、永遠に変わらぬ王道の台詞だと言えるので頭に叩き込んでおくように。
その方法は至ってシンプル。
部屋で男がガバっと来たときに、
「まつ毛、長いんだね」
と男をホメ、ドキッとさせたすきに、サッと身をかわすというものである。
男が体を求めてくる瞬間というのは、その男と出会ってから最も物理的距離が接近する瞬間であり、この物理的特性を利用して「近づいたことで、思わぬチャームポイントを発見してしまった」という体(てい)男をホメて隙を作るのである。
これが愛也の提唱する
寸止ボメ理論
である。
そしてこの寸止ボメ理論の優れているのは「男から逃げるための言いわけをしている」という状況ゆえに、かなり際どいホメ言葉を投げても全く気持ち悪くならないという点である。
たとえば、
「顔、小さいね」
「唇厚い人好きなんだけど」
「目、すごく綺麗だね」
「鎖骨のくぼみ方いいね」
「ホクロの位置がオリオン座になってるね」
繰り返すが、寸止めのときはいらんことは言うな。とにかく「付き合う付き合わない」などの「直接的な台詞」ではなく、寸止ボメ理論に代表される「間接的な台詞」を使うことで男に「どうして逃げるんだ!?」と考える余地を与えること。イメージすべきは村上春樹の小説である。ストーリーに明確なオチを作らないことで「え? これってもしかしてあれがこうなってるってことなん!?」とあれこれ想像をかき立てさせるのである。まさに村上春樹とは日本が世界に誇る「寸止め小説」なのであるが、それと同様の手法を使うことで、男はお前のことばかりを考えるようになりお前という世界にどっぷり浸かっていくことになるだろう。
さて、ここまでマスターすればライバルたちには圧倒的な差をつけることができるが、
冒頭で俺はお前たちに約束したはずだ。
「この理論によってお前たちに確実に男を落とさせる」と。
そこで、今から、「寸止め界に愛也あり」と言われ、寸止め業界で不動の地位を築くことになった最強の寸止め理論を授ける。
この理論は今日をきっかけに日本列島を駆け抜け、一ヵ月もすれば日本全国6000万人以上の女たちにとっての「周知の事実」となるので、読み終えたらただちに行動に移すこと。インターネット回線につながるすべての女がお前のライバルである。
それではこの理論の具体的な説明に移るが、
男がお前の体を求める際、大きく分けて次の三点に触れようとしてくるはずである。
口
胸
股間
だがこの点に関しては、世の中のほぼすべての女が勘違いしているのであるが、
男たちは「口」「胸」「股間」という3つのものに対して、なんとなく、全体的に狙っている、ということを考えている。
そんなはずがない。
男は、
口には口への、
胸には胸への、
股間には股間への、
特有の事情と思いを抱きながら攻めている。
そして、お前たちは、なぜ男が女の体を求める際に、最初に「唇」を奪おうとするのか考えたことはあるだろうか?
男が最初に女の唇を狙う理由。
それは
そうしないと、「変態」だと思われるからである。
世の中では、A→B→Cという常識的流れが存在しており、その流れをすっとばしていきなり先に進もうとすることは、たとえば映画を観終わっているのにポップコーンを大量購入したり、東京観光に来て真っ先に向かうのが「鶯谷」だったりするのと同様、「変な人」になってしまう。
だからこそ男は「口」を狙っていくのであるが、
そして、ここからが重要なのだが、
女とする最初のキスを「気持ちいい」と思える男は少数派である。
なぜなら、口というのは、他人の「体内」であり、そして、動物である以上、他人の体内に忍び込もうとする行為には「リスク」があり、意識的にも無意識的にも、男は身構えてしまう。具体的に言えば「臭くないか(嗅覚)」や「へんな味しないか(味覚)」、「舌の動きが早すぎないか(触覚)」に敏感に反応し、キスをきっかけに「この女やめとこ」となってしまうケースすら存在するのである。
また「股間」も同様である。
お前たちからしたら「ああ、男? あの股間まっしぐらで有名なクリーチャーでしょ」くらいに思っていると思うが、女の股間に触りたくてしょうがないと思っている男はむしろ少数派である。他人の体内である股間に対して気持ち悪いと思っている男もいるくらいだ。
だが、しかし。
先ほど挙げた3点の中で
唯一胸のみが、
体内ではなく、外に突き出している。
(あと尻であるが、尻というのは痴漢を強く連想させるので狙ってくる男は少ないし、のっけから尻を狙ってくる男とは連絡を絶った方が良いだろう)
さて、「体内」ではなく外側に出ているということはどういうことか?
それは何も隠れていないということであり、そこにはリスクが存在しないということであり、スーパーマリオでいうなら、「口」や「股間」は「土管入る」くらいの不安があるとすれば、「胸」に関しては「1UPキノコ」くらいの安心感があるのである。
さて、結論が出たようだ。
男たちはお前たちの体を求めて来る際、最初に口を狙ってくる。
その口を防ぎながら、同時に、相手の体に胸をこすりつけよ。
結果、かなり矛盾した行動になるが、これが正解である。
また、男が胸を狙ってきた場合は、少し触らせてやれ。
ちなみに、この手法は貧乳のお前でも使えるから安心せよ。そもそも男が最初に女の身体を求めるときはじっくり触わる余裕もないので、胸というより「ブラメイン」の状況になるだろう。このとき男にとって重要なのは大きさではなく「胸に触れている」という感覚なのだ。
また繰り返すがこのとき絶対に「私、胸小さいから」とかコンプレックスを吐露するな。あくまで、お前は「お宝」に触らせてやっているという感覚を持つことで男を確実に燃え上がらせることができる。
野球においてバスターエンドランという技がある。送りバントすると見せかけて突然バットを持ちかえてフルスイングして内野手の裏をかく(バスター)。さらにその間にランナーに走らせる戦術だが、まさに、お前たちは自分の「バスト」によって相手を急襲することで、相手との関係性を一塁から二塁、三塁へと進ませるのである。
夏も終わりに近づき、もうすぐ人恋しくなる季節――秋がやって来る。それが過ぎれば、いよいよクリスマスだ。
そんな大事な時期に、婚活というバッターボックスに立つお前に対して、ベンチにいる監督・水野愛也が出すサインは、ただ一つ。
「バスターエンドラン」である。
■第13講 まとめ
「寸止め」の際にいきなり「商談」を始めてはいけない。寸止めする理由ははっきりと言わず、笑顔で楽しそうに男の攻撃をかわすのである。
「寸止ボメ理論」
男が体を求めてきたときに、肉体が急接近したことを利用して男の顔や体の一部をホメ、男に隙ができたところで攻撃をかわしていく。
「バスターエンドラン理論」
男が女の身体を求める際、「口」「胸」「股間」の中で「胸」のみを許し、それ以外はガードする。
それでは、また来週火曜日、この場所で会おう。
■「スパルタ婚活塾」が本になりました!
スパルタ婚活塾
「男からプロポーズを引き出す方法」など書籍版オリジナル理論も多数追加されています。よろしくお願いします!
額からは滝のような冷汗が流れ、両腕は痙攣し、一分おきに落雷のような腹痛に襲われ、結果、トイレの中でこの文章をタイピングしている。
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お前たちに愛也流「寸止め」理論を授ける日が――。
正直、この日本で俺以上に「寸止められ」てきた男はいないだろう。
大学時代に憧れの先輩とキスをするところまでこぎつけたが、3日後に会ったとき「この前のこと忘れてくれる?」と鶏クラスの忘却力を要求されたことがある。また、初デートで温泉旅館に泊まるというG難度の技を決めたのだが、布団の中で身体を触ろうとするとどこからともなく手が伸びてきて、それはもうアメリカ女子サッカーのホープ・ソロばりの守護神ぶりで、午前0時から4時までの間ペナルティエリアに入ることすらできなかたこともある。
まさに、俺の恋愛は「寸止められてきた歴史」であった。
そして、それゆえに、どういう寸止めが男を燃え上がらせるのかを完璧に把握することができたのだ。お前たちは今から俺が教える理論を使うことで、近日中、確実に男を落とすことになるだろう。
では、まず両目を閉じよ。
年齢も峠を越え、肌の張りも失い、貧乳の、黒乳首の、女としての魅力が皆無であるお前みたいなものに落とされてしまう男たちのことを偲んで、まずはこの場で黙祷せよ。
――さて、それでは寸止め理論の具体的内容について明らかにしていくが、ここで改めて「寸止め」という概念を確認しておく。
「寸止め」とは、身体を求めてきた男に対してギリギリのところで「おあずけ」を食らわせることで男を燃え上がらせる技術であり、その最大の効用は、遊びでお前を求めてきた男を「本気」にすることができる。つまり、寸止めの技術を磨けば磨くほどお前たちは本命の彼女になれる可能性が高まるというわけである。
だが、しかし。
もはや女向け恋愛業界の常識となった「寸止め」であるが、どの本を開いてみても「男は寸止めで落ちる」とは書いてあるが、実際どのような寸止めが正しいのかについては深く言及されていない。そして問題は、多くの女が「正しい寸止め」を知らないゆえに、むしろこの「寸止め」を通して男から嫌われているという事実である。
その中でも特に最悪なのが、男の部屋でそういう流れになったときの
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「商談ですか?」
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しかし多くの女はHを前にすると、自分を高く売りつけたいという欲望が先行し「この契約書にサインいただければ、搬入OKですけど」と契約書を差し出してしまうのだ。
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そこで、体を許さず、しかし男を冷めさせない寸止めが必要となってくるのだが、まず基本中の基本として押さえなければならないのが
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である。
いざHをしようとしているとき不安なのはお前たちだけではない。
男もまた不安なのだ。
「こんなことしたら嫌われるかもしれない」
そんな不安におびえながら、清水の舞台を飛び降りる覚悟でもってお前たちの体を求めている男もいるだろう。
ゆえに、笑顔である。笑顔でいることで男の不安を取り除くことができ、男はお前を楽しく求め続けることができるのである。
笑顔 + ヤラせない
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これは、裏を返せば、お前たちが寸止めする際に冒してしまいがちなミスは
言わなくてもいいことを言う
なのだ。
たとえば体を求めてきた男に対してついこんなことを口に出してしまう
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である。
ベッドを前にした寸止めの攻防戦は、地雷フレーズのエレクトリカルパレードとなると心得よ。
だが、かといってずっと無言のまま男の攻撃をかわし続けるのも難しいだろう。
そこで、今から男の攻撃をかわす際、最も有効となるセリフを授ける。
この方法は、たとえば今後どれだけゲゲゲの鬼太郎が進化しようが、父親が「目玉」であることが変わらないように、寸止め業界においても、永遠に変わらぬ王道の台詞だと言えるので頭に叩き込んでおくように。
その方法は至ってシンプル。
部屋で男がガバっと来たときに、
「まつ毛、長いんだね」
と男をホメ、ドキッとさせたすきに、サッと身をかわすというものである。
男が体を求めてくる瞬間というのは、その男と出会ってから最も物理的距離が接近する瞬間であり、この物理的特性を利用して「近づいたことで、思わぬチャームポイントを発見してしまった」という体(てい)男をホメて隙を作るのである。
これが愛也の提唱する
寸止ボメ理論
である。
そしてこの寸止ボメ理論の優れているのは「男から逃げるための言いわけをしている」という状況ゆえに、かなり際どいホメ言葉を投げても全く気持ち悪くならないという点である。
たとえば、
「顔、小さいね」
「唇厚い人好きなんだけど」
「目、すごく綺麗だね」
「鎖骨のくぼみ方いいね」
「ホクロの位置がオリオン座になってるね」
繰り返すが、寸止めのときはいらんことは言うな。とにかく「付き合う付き合わない」などの「直接的な台詞」ではなく、寸止ボメ理論に代表される「間接的な台詞」を使うことで男に「どうして逃げるんだ!?」と考える余地を与えること。イメージすべきは村上春樹の小説である。ストーリーに明確なオチを作らないことで「え? これってもしかしてあれがこうなってるってことなん!?」とあれこれ想像をかき立てさせるのである。まさに村上春樹とは日本が世界に誇る「寸止め小説」なのであるが、それと同様の手法を使うことで、男はお前のことばかりを考えるようになりお前という世界にどっぷり浸かっていくことになるだろう。
さて、ここまでマスターすればライバルたちには圧倒的な差をつけることができるが、
冒頭で俺はお前たちに約束したはずだ。
「この理論によってお前たちに確実に男を落とさせる」と。
そこで、今から、「寸止め界に愛也あり」と言われ、寸止め業界で不動の地位を築くことになった最強の寸止め理論を授ける。
この理論は今日をきっかけに日本列島を駆け抜け、一ヵ月もすれば日本全国6000万人以上の女たちにとっての「周知の事実」となるので、読み終えたらただちに行動に移すこと。インターネット回線につながるすべての女がお前のライバルである。
それではこの理論の具体的な説明に移るが、
男がお前の体を求める際、大きく分けて次の三点に触れようとしてくるはずである。
口
胸
股間
だがこの点に関しては、世の中のほぼすべての女が勘違いしているのであるが、
男たちは「口」「胸」「股間」という3つのものに対して、なんとなく、全体的に狙っている、ということを考えている。
そんなはずがない。
男は、
口には口への、
胸には胸への、
股間には股間への、
特有の事情と思いを抱きながら攻めている。
そして、お前たちは、なぜ男が女の体を求める際に、最初に「唇」を奪おうとするのか考えたことはあるだろうか?
男が最初に女の唇を狙う理由。
それは
そうしないと、「変態」だと思われるからである。
世の中では、A→B→Cという常識的流れが存在しており、その流れをすっとばしていきなり先に進もうとすることは、たとえば映画を観終わっているのにポップコーンを大量購入したり、東京観光に来て真っ先に向かうのが「鶯谷」だったりするのと同様、「変な人」になってしまう。
だからこそ男は「口」を狙っていくのであるが、
そして、ここからが重要なのだが、
女とする最初のキスを「気持ちいい」と思える男は少数派である。
なぜなら、口というのは、他人の「体内」であり、そして、動物である以上、他人の体内に忍び込もうとする行為には「リスク」があり、意識的にも無意識的にも、男は身構えてしまう。具体的に言えば「臭くないか(嗅覚)」や「へんな味しないか(味覚)」、「舌の動きが早すぎないか(触覚)」に敏感に反応し、キスをきっかけに「この女やめとこ」となってしまうケースすら存在するのである。
また「股間」も同様である。
お前たちからしたら「ああ、男? あの股間まっしぐらで有名なクリーチャーでしょ」くらいに思っていると思うが、女の股間に触りたくてしょうがないと思っている男はむしろ少数派である。他人の体内である股間に対して気持ち悪いと思っている男もいるくらいだ。
だが、しかし。
先ほど挙げた3点の中で
唯一胸のみが、
体内ではなく、外に突き出している。
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さて、「体内」ではなく外側に出ているということはどういうことか?
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さて、結論が出たようだ。
男たちはお前たちの体を求めて来る際、最初に口を狙ってくる。
その口を防ぎながら、同時に、相手の体に胸をこすりつけよ。
結果、かなり矛盾した行動になるが、これが正解である。
また、男が胸を狙ってきた場合は、少し触らせてやれ。
ちなみに、この手法は貧乳のお前でも使えるから安心せよ。そもそも男が最初に女の身体を求めるときはじっくり触わる余裕もないので、胸というより「ブラメイン」の状況になるだろう。このとき男にとって重要なのは大きさではなく「胸に触れている」という感覚なのだ。
また繰り返すがこのとき絶対に「私、胸小さいから」とかコンプレックスを吐露するな。あくまで、お前は「お宝」に触らせてやっているという感覚を持つことで男を確実に燃え上がらせることができる。
野球においてバスターエンドランという技がある。送りバントすると見せかけて突然バットを持ちかえてフルスイングして内野手の裏をかく(バスター)。さらにその間にランナーに走らせる戦術だが、まさに、お前たちは自分の「バスト」によって相手を急襲することで、相手との関係性を一塁から二塁、三塁へと進ませるのである。
夏も終わりに近づき、もうすぐ人恋しくなる季節――秋がやって来る。それが過ぎれば、いよいよクリスマスだ。
そんな大事な時期に、婚活というバッターボックスに立つお前に対して、ベンチにいる監督・水野愛也が出すサインは、ただ一つ。
「バスターエンドラン」である。
■第13講 まとめ
「寸止め」の際にいきなり「商談」を始めてはいけない。寸止めする理由ははっきりと言わず、笑顔で楽しそうに男の攻撃をかわすのである。
「寸止ボメ理論」
男が体を求めてきたときに、肉体が急接近したことを利用して男の顔や体の一部をホメ、男に隙ができたところで攻撃をかわしていく。
「バスターエンドラン理論」
男が女の身体を求める際、「口」「胸」「股間」の中で「胸」のみを許し、それ以外はガードする。
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