今回のスパルタ婚活塾は「デート」である。

 しかし「デート」まで持ちこんでいるのに男を落とせない女というのは、せっかく釣り上げた魚をクーラーボックスに入れておいたら猫に獲られた、くらいのしょうもなさである。

 そもそもデートに誘ってきたということは、その男はお前に気があるということだ。もっと言えば「Hがしたい」ということだ。ピンコ立ちであるということだ。あとはそのピンコ立ちの股間をピンピンに育てていった上で、愛也流恋愛術奥義『寸止め理論』を使い、ピンピンの男をピン(1人)で家に帰せば間違いなく男は落ちるのである(『寸止め理論』に関しては今後の講義で詳しく解説する)。

 しかし、それでも「デート」が苦手なお前たちに、今日はデート中における最強の恋愛理論を授けよう。
 これさえ守っていれば、男を彼氏にできるどころか、「結婚したい」と思わせることができるので必ずマスターすること。

 ちなみに巷の恋愛本には、デート中の振る舞いとして「女は3話して7聞く」とか「待ち合わせには少し遅れていく」とか「行先は男に決めさせる」などと書いてあるのだが、そういうことを意識しすぎることによって会話がぎこちなくなることは往々にしてある。

 そんなことよりも、お前たちがまず何よりしなければならないのは


 デートを楽しむ


 ことである。
 これは当然と言えば当然で、デートというのは共同作業である以上、盛り上がっているときは2人とも楽しいし、盛り下がっていれば2人ともつまらない。もしお前が「めちゃくちゃ楽しかった!」と言っているのに男が「クソつまらんかった」という状況が起こり得るのは、デート場所は雀荘で「男の捨て牌で国士無双をアガった」くらいなものだ。

 つまり、お前がデートを心から楽しめていれば、ほとんどの場合そのデートは成功ということになる。

 では、「楽しめないデート」とは一体どういうものであろうか。

 これは、大きく分けると2つのケースがある。

 一つは「目的に執着して」いるケース。どうしても目の前の男を彼氏にしたい。結婚したい。そういう目的に執着すると、テンパって全然楽しめない。もちろん、男もテンパっている女と一緒にいても楽しくない。
 この状況を防ぐには、ここで改めて「仮氏理論」である。リメンバー・カリシである。常に何人もの男から声をかけられたりする状態を持っておくことで執着を分散し、会話に余裕を生むのである。
 ただ、ここで注意したいのが、デート中に自分の価値を高めるために「今、自分は男に口説かれている」「自分の周囲には男がたくさんいる」「男友達が多い」など、男の存在を匂わす発言をする女がおり、これは恋愛本などでは推奨されている行為であるが、極めて危険な行為である。
 男は、他の男の存在をちらつかせられると、「口説かれている男と実はすでに肉体関係にあるのではないか」とか「男友達の中に元彼がまざっているんじゃないか」などと「体の関係」を想像してしまうことで

 「この女、やめとこ」

 と心が折れるケースが多い。
 逆に、男が「他の女に口説かれている」「女友達が多い」というとき、女はむしろその男のことが気になり始めるので想像がつきにくいのかもしれない。
 デート中、男の匂いはニンニク以上のケアが必要なのである。

 さて。
 それではデートが楽しめないもう一つのケースを説明しよう。

 そしてこれこそが、現代社会で多くのアラサー女性が結婚できない最大の理由であるが

 「値踏み」

 である。
 年齢を重ねるごとに男を「値踏み」する癖がついてしまい、デート中、ありとあらゆるシーンで男を値踏みしてしまうのでどんどんデートが楽しくなくなっていく。
 たとえば、最初のデートで


 デートの待ち合わせ場所 が「駅の改札」 -15点
 男がスーツ姿なのに「リュックサック」  -30点
 ハンカチを取り出して「汗を拭いた」   -15点
 チョイスした映画が「ヘルタースケルター」-50点


 このように男を値踏みしていくことで、まだデートが始まって1時間にも関わらず、お前のテンションはダダ下がっているのである。
 そして、この時点でお前はこの日のデートを女子会の話のネタにしようと考え始めている。

 (数日後)

「聞いてよ! 待ち合わせ場所が新宿駅の南口改札って時点で危ないとは思ってたんだけど、やっぱり期待を裏切らなかったわ。リュックサックで登場だよ。行先、高尾山かっつーの!(爆)で、しかも「暑いね~」とか言ってハンカチ取り出して汗拭き始めたのよ。思わず『今日は外回りですか?』って聞きそうになったわ! それから5秒に1回は「どうする?」って聞いてきて、もうしょうがないからとりあえず映画行こうって私が言ったんだけど、『あ、見たい映画がある!』って言うからタイトル聞いたら『ヘルタースケルター』て、いやいや私も見たいっちゃ見たいけど、最初のデートで一緒に沢尻の裸見てどうやって盛り上がれっつーの!で、結局観たんだけど、また沢尻の乳首が綺麗なわけ!」

 女友達「マジで!?」

 (以下、男の存在は忘れ去られ、沢尻の乳首の色で小1時間盛り上がる)



 確かに、こういうガールズトークで男をバカにするのは楽しいのであるが、
「何かを得るには何かを捨てなければならない」という世界の真理に基づき、この女は
「自分のプライドが保てる」ことと引き換えに、大事なものを捨てることになる。

 それは「この男の魅力の可能性」である。
 
 もしかしたら、この男は貯金が3000万円くらいあるかもしれない。そして好きになった人には惜しみもなくプレゼントするタイプかもしれない。浮気しないタイプかもしれない。また、すごく優しい一面があったり、頼りになったりするかもしれない。実は福山雅治の友達かもしれないし、福山雅治の親族かもしれないし、よくよく見たら福山雅治に見える奇跡の角度があるかもしれない。

しかし、「値踏み」によってテンションを下げたお前はもうこの男のそういう部分に触れることはないし、さらにこの思考回路がパターン化されることで、他の男に対しても同様の振る舞いをすることになるだろう。

 だが、「値踏み」をすることが間違っているのだとしても、男の変な格好や行動、店のチョイスに対して我慢すればいいかというと問題はそう簡単ではない。

 そもそも「我慢」という行為は人間は一番「楽しくない」のである。
 
 そして、繰り返すが、デートで最も優先すべきは「楽しむ」ことである。
 
「我慢をしない」
「デートを楽しむ」
この一見矛盾するこの問題を解決するのはどうしたらいいだろうか?
 

 実は、この問題はたった一言の魔法の言葉よって解消される。

 さらに、この言葉は、デート中にお前を魅力的な女にするだけでなく、男にとってお前を「結婚対象」として強く認識させる効果がある。
なぜなら、この魔法の言葉を使う女こそが、多くの男にとっての「理想の結婚相手」なのである。そして、もしお前が理想の男と結ばれ子供が生まれたら、「ママ」や「パパ」という言葉より先にこの言葉を教えてやってほしい。天井に吊るしてクルクル回るタイプのおもちゃに、この言葉を書いた半紙をぶら下げていてほしい。この言葉を教え込んだインコを200羽程度街に放してほしい。それくらい、人生そのものを支配する「一言」なのである。

 では、発表しよう。

 お前を「理想の結婚相手」にしてしまう魔法の一言とは――




 逆に、楽しい




 である。

 デート中、何が起きても「逆に、楽しい」と言っておけ。

 男が行先を全然決めなくても、店の予約ができていなくても、しょうもない店に連れていっても、なんなら食事中にウンコをもらしても「逆に、楽しい!」と思え。何なら口に出して言え。ウンコまみれのまま「逆に、超楽しい!!」である。

 このことを聞いて、お前たちは「いやいや全然楽しくねーし」と思っているだろう。
 しかし、ここで改めて思い出すべき世界の真理は、


 すべての出来事には「プラス面」と「マイナス面」がある


 たとえば、就職活動で一流企業に就職する。これは一見「プラス」に見えるが、もしかしたら本当にやりたいことが見つかったとき手に入れた「一流企業」という看板が足かせになって自由を奪われるかもしれない。
 朝昼晩の食事と昼寝付きの最高の環境を提供してくれる。これは「プラス」に見えるが、そのうち最高級のA5ランクの肉にされてしまう、そんな「牛」もいるかもしれない。
 誰もが振り返るような美人に変貌を遂げるという「プラス」の裏側で、整形手術の後遺症に苦しむ、そんな「沢尻」もいるかもしれない。
 また、なかなか彼氏が見つからないという「マイナス」の状況も、もっと男の人の魅力を見つけようとか、自分を魅力的に成長させようと考えるきっかけになるのは「プラス」だと言える。

 ようするに、物事の「表を見るか裏を見るか」ということなのであるが、人間は、物事に対して一方的な見方をすることに慣れてしまっているので、そのことに気づかない。

 そこで、「逆に楽しい」という言葉は物事に隠された意味を見つける呼び水になるのだ。

 とりあえず、全然楽しい出来事でなくても「逆に楽しい!」と思ってみる。
 すると脳みそが

 「え? これ楽しいんでっか?」

 と混乱する。そして混乱した脳みそは納得しようと、楽しいことを見つけ出そうする。そして最終的には
「ご主人様が『逆に楽しい』と言われはったのはこのことかいな?」と思って、何かを見つけてくるのである。
 待ち合わせ場所が駅の改札であるなら、たくさんの人をじっくり観察できて逆に楽しいし、男がリュックを背負ってきたなら、そのことを聞いてみれば意外な答えが返ってくるかもしれないし、ヘルタースケルターは、初デートで濡れ場を見ることは吊り橋を渡る以上に心を動揺させられ、恋愛マニュアル史上最も語り継がれている「吊り橋理論」は、2012年をもって「ヘルタースケルター理論」にバージョンアップするかもしれない。そしてお前がその「ヘルスケ理論」を文章化し世に広めれば、新たなるラヴ伝道者となり、世の迷える女性たちから「ヘルスケ師匠」さらに略して「ヘルス師匠」と崇められることになるかもしれない。

 結婚とは、今後人生を一緒に過ごしていくパートナーを決める行為である。
 そして、長い人生の中では、健康を悪くしたり、収入を失ったり、トラブルに巻き込まれたり、様々な問題が起きる。

 そんなとき「逆に楽しい」と思える女子を男はパートナーとして求めている。



■第12講

デートで最優先すべきは「楽しむ」こと。
そのためには、男を値踏みしてしまう思考回路を遮断せよ。もしデート中、男に対して「これはないわ」と思ったら、すぐさま「逆に楽しい」と考え、楽しい面に目を向けること。
この新しい思考回路を持つことで、男にとっての「理想の結婚相手」になることができる。


それでは、また来週火曜日、この場所で会おう。





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