さて、スパルタ婚活塾、第6講を始めていきたいと思うわけだが今日のテーマは――
「ちょっと失礼しますよ」
「だ、誰だ貴様は!授業中だぞ!」
「――お久しぶりです愛也さん」
「お、お前は――」
伝説の8期生・YOSHIKI
現在、水野愛也のLOVEゼミナールは27期を迎えているわけだが、過去に「伝説の8期生」と呼ばれる恋愛モンスター集団が存在した。現在、六本木、西麻布、歌舞伎町の恋愛業界はほぼすべて伝説の8期生が牛耳っていると言われている。そしてその伝説の8期生の中でもとりわけ異色の存在だったのがこのYOSHIKIであった。東京大学医学部を卒業後LOVEゼミナールに参加したが、「日本女性を健康にするには、医学では足りない」とLOVEゼミナールを離れ単身渡米。ハーバード大学に存在すると言われる幻のセックスの授業を受講する。
「YOSHIKI! お前、日本に帰っていたのか!」
「ええ。さっき成田にランディングしたとこです。愛也さん、『スパルタ婚活塾』、ライズってる(盛り上がってる)みたいですね。ANAのCAたちもフライト中は一切仕事をせずスパルタ婚活塾の話オンリーでしたよ」
「まあそうなるだろうな。――恋愛を真剣に学ぼうとするのは男ではなくむしろ女。今後は『婚活』の講義によって日本を変えていこうと考えている」
「さすが愛也さんだ、相変わらず目のつけどころはバッドじゃない。確かにウーマンのマリッジ(結婚)に対するディザイア(望み)はカットフルーツ(切実)だからね。でもね、愛也さん、あなた、婚活を教えるならまず最初に教えなければならないこと、忘れてるんじゃないのかい?」
「な、何だと!? 俺のスパルタ婚活塾に何か問題があるとでもいうのか!?」
「これですよ」
「そ、それは――」
「婚姻届です」
「婚姻届――」
「達成したい目標があるのなら、ゴールを明確にする。ハーバードの連中の間では常識です。でも、愛也さん『スパルタ婚活塾』を受けている生徒は、まだ婚姻届を見たことすらないのでは?」
「ぬっ……ぐぐっ……」
「婚活を教えるなら、まず最初にやるべきことは『婚姻届を取りに行くこと』だ。それを教えずに、あんた一体今まで何を教えてきたんだい!? GTA(グレイトティーチャーアイヤ)さんよお!」
「き、貴様ぁ!!!」(殴りかかろうとする愛也)
「おっと愛也さん、バイオレンスは勘弁してくださいよ。柔道5段、空手8段、グリーンベレーの特殊訓練で慣らし、FBIから朝、昼、晩と毎日3回のスカウトが来ているあんたとやりあってもかなわないからね。だいたい俺が今日来たのはあんたとケンカするためじゃない。この『婚姻届をゲットする』という行動を、ぜひジャパンの独女たちに実践してもらいたいんです」
「ほう……」
「区役所に行って、婚姻届をもらおうとすると、まず最初になんて言われるか知ってますか?」
「何と言われるんだ?」
「『日本人同士の結婚ですか?』です」
「!?」
「婚活にいそしむ独女たちは結婚に焦り、視野が狭くなってしまう。すると『外国人と結婚する』という選択肢を忘れてしまっているんですよ!」
「!!」
「さらに、↓を見てください。これは夫妻の職業をチェックする欄ですが――」
「なぜか『農業』だけに特別枠が設けられているんです!」
「な、なぜだ!? なぜ農業だけが特別なんだ?」
「その答えは――」
「分かりません」
「ただ、俺に言わせたら、この『分からない』ことが重要なのです。『どうして農業だけが特別なの!?』そう考えているうちに『農家の人たちには税金の控除的なものがあるんじゃないかしら?』と気になり夜も眠れなくなり、最終的には『すべては農家に嫁げばすべては分かること!』と農家の嫁になる決心をする女性も現れるでしょう」
「――!!」
「ニューヨーク大学のガブリエル・オッティンゲン教授が『恋をしているがまだ付き合っていない』学生を対象に調査をしました。その結果『付き合ったら楽しそう』と夢想するだけの学生は、具体的な目標を立てて冷静に付き合えるかを計算している学生に比べて、恋を成就させることができていなかったのです。つまり、結婚相手をいかに具体的にイメージできるか。そして結婚というゴールに立ち、冷静に逆算できるか。それが婚活が成功するかどうかの分かれ道となるのです。これがYOSHIKI流――『すべての婚活は市役所から始まり市役所に終わるセオリー』です」
「さ、さすがYOSHIKIだ――(愛也の額から一筋の汗が滴り落ちる)」
「(微笑みを浮かべながら)でもね、愛也さん、俺が日本に戻ってきたのはこの理論を披露するためだけじゃありません。実は、もっと大きな理由があるんです」
「大きな理由?」
「――愛也さん、俺と、バトル形式の『恋愛講義』を開きませんか?」
「バトル形式だと!?」
「はい。もしこの興行が成功したら、愛也さんのマニフェストである『義務教育に恋愛を!』はほとんど実現したも同然ですよ。そして、その興行の名は――『ラブ・ファイトクラス』」
「ラ、ラブ・ファイトクラス――」
(つづく)
第6講 まとめ
■すべての婚活は市役所から始まり市役所に終わるセオリー(by YOSHIKI)
「婚活」に焦るあまり視野が狭くなり、様々な可能性を見落としている女は多い。まずは市役所に行き婚姻届をもらってくることで、結婚という目的を明確にイメージせよ。すると結婚というゴールにたどりつくための道は一つではないことが分かるはずだ。
それでは、また来週火曜日。この場所で会おう。
■「スパルタ婚活塾」が本になりました!
スパルタ婚活塾
「男からプロポーズを引き出す方法」など書籍版オリジナル理論も多数追加されています。よろしくお願いします!
「ちょっと失礼しますよ」
「だ、誰だ貴様は!授業中だぞ!」
「――お久しぶりです愛也さん」
「お、お前は――」
伝説の8期生・YOSHIKI
現在、水野愛也のLOVEゼミナールは27期を迎えているわけだが、過去に「伝説の8期生」と呼ばれる恋愛モンスター集団が存在した。現在、六本木、西麻布、歌舞伎町の恋愛業界はほぼすべて伝説の8期生が牛耳っていると言われている。そしてその伝説の8期生の中でもとりわけ異色の存在だったのがこのYOSHIKIであった。東京大学医学部を卒業後LOVEゼミナールに参加したが、「日本女性を健康にするには、医学では足りない」とLOVEゼミナールを離れ単身渡米。ハーバード大学に存在すると言われる幻のセックスの授業を受講する。
「YOSHIKI! お前、日本に帰っていたのか!」
「ええ。さっき成田にランディングしたとこです。愛也さん、『スパルタ婚活塾』、ライズってる(盛り上がってる)みたいですね。ANAのCAたちもフライト中は一切仕事をせずスパルタ婚活塾の話オンリーでしたよ」
「まあそうなるだろうな。――恋愛を真剣に学ぼうとするのは男ではなくむしろ女。今後は『婚活』の講義によって日本を変えていこうと考えている」
「さすが愛也さんだ、相変わらず目のつけどころはバッドじゃない。確かにウーマンのマリッジ(結婚)に対するディザイア(望み)はカットフルーツ(切実)だからね。でもね、愛也さん、あなた、婚活を教えるならまず最初に教えなければならないこと、忘れてるんじゃないのかい?」
「な、何だと!? 俺のスパルタ婚活塾に何か問題があるとでもいうのか!?」
「これですよ」
「そ、それは――」
「婚姻届です」
「婚姻届――」
「達成したい目標があるのなら、ゴールを明確にする。ハーバードの連中の間では常識です。でも、愛也さん『スパルタ婚活塾』を受けている生徒は、まだ婚姻届を見たことすらないのでは?」
「ぬっ……ぐぐっ……」
「婚活を教えるなら、まず最初にやるべきことは『婚姻届を取りに行くこと』だ。それを教えずに、あんた一体今まで何を教えてきたんだい!? GTA(グレイトティーチャーアイヤ)さんよお!」
「き、貴様ぁ!!!」(殴りかかろうとする愛也)
「おっと愛也さん、バイオレンスは勘弁してくださいよ。柔道5段、空手8段、グリーンベレーの特殊訓練で慣らし、FBIから朝、昼、晩と毎日3回のスカウトが来ているあんたとやりあってもかなわないからね。だいたい俺が今日来たのはあんたとケンカするためじゃない。この『婚姻届をゲットする』という行動を、ぜひジャパンの独女たちに実践してもらいたいんです」
「ほう……」
「区役所に行って、婚姻届をもらおうとすると、まず最初になんて言われるか知ってますか?」
「何と言われるんだ?」
「『日本人同士の結婚ですか?』です」
「!?」
「婚活にいそしむ独女たちは結婚に焦り、視野が狭くなってしまう。すると『外国人と結婚する』という選択肢を忘れてしまっているんですよ!」
「!!」
「さらに、↓を見てください。これは夫妻の職業をチェックする欄ですが――」
「なぜか『農業』だけに特別枠が設けられているんです!」
「な、なぜだ!? なぜ農業だけが特別なんだ?」
「その答えは――」
「分かりません」
「ただ、俺に言わせたら、この『分からない』ことが重要なのです。『どうして農業だけが特別なの!?』そう考えているうちに『農家の人たちには税金の控除的なものがあるんじゃないかしら?』と気になり夜も眠れなくなり、最終的には『すべては農家に嫁げばすべては分かること!』と農家の嫁になる決心をする女性も現れるでしょう」
「――!!」
「ニューヨーク大学のガブリエル・オッティンゲン教授が『恋をしているがまだ付き合っていない』学生を対象に調査をしました。その結果『付き合ったら楽しそう』と夢想するだけの学生は、具体的な目標を立てて冷静に付き合えるかを計算している学生に比べて、恋を成就させることができていなかったのです。つまり、結婚相手をいかに具体的にイメージできるか。そして結婚というゴールに立ち、冷静に逆算できるか。それが婚活が成功するかどうかの分かれ道となるのです。これがYOSHIKI流――『すべての婚活は市役所から始まり市役所に終わるセオリー』です」
「さ、さすがYOSHIKIだ――(愛也の額から一筋の汗が滴り落ちる)」
「(微笑みを浮かべながら)でもね、愛也さん、俺が日本に戻ってきたのはこの理論を披露するためだけじゃありません。実は、もっと大きな理由があるんです」
「大きな理由?」
「――愛也さん、俺と、バトル形式の『恋愛講義』を開きませんか?」
「バトル形式だと!?」
「はい。もしこの興行が成功したら、愛也さんのマニフェストである『義務教育に恋愛を!』はほとんど実現したも同然ですよ。そして、その興行の名は――『ラブ・ファイトクラス』」
「ラ、ラブ・ファイトクラス――」
(つづく)
第6講 まとめ
■すべての婚活は市役所から始まり市役所に終わるセオリー(by YOSHIKI)
「婚活」に焦るあまり視野が狭くなり、様々な可能性を見落としている女は多い。まずは市役所に行き婚姻届をもらってくることで、結婚という目的を明確にイメージせよ。すると結婚というゴールにたどりつくための道は一つではないことが分かるはずだ。
それでは、また来週火曜日。この場所で会おう。
■「スパルタ婚活塾」が本になりました!
スパルタ婚活塾
「男からプロポーズを引き出す方法」など書籍版オリジナル理論も多数追加されています。よろしくお願いします!