今週、事務所の引っ越しをしまして

新橋と虎ノ門と神谷町の間くらいの西新橋という場所にやってきたのですが

夜、事務所で作業していたところ眠くなってきたので

ファミレスに行って作業しようと思って

近所のファミレスを検索して

神谷町の近くにあるということで行ってみたところ

↓こういう状態になっていたわけです。




$ウケる日記




道路を挟んでロイヤルホストとジョナサンが向かいあっていたわけですが

通常の人であれば、


「どっちのファミレスに行けばいいんだ?」


と頭を抱える場面でしょうけど


過去にファミレスマスターとして活躍していた僕としては


瞬時に結論を出すことができるわけです。



ここでの正解は



言うまでもなく「ジョナサン」ですね。



いや、もちろんロイヤルホストにもファミレスとして優れている点は数多くありますし、僕自身もロイヤルホストは大好きですし、最近は水野ロイ也としてファミレスマスター育成の教鞭を取ることもあるくらいなのですが


ロイヤルホストは


● ドリンクバーがない

● 閉店時間が2:00~3:00で24時間営業でない場合が多い



という2点で深夜の作業には向かないのです。


そこで僕は迷わずジョナサンに行ったのですが、



あり得ないものを見ました。



なんと「ジョナサン」の看板に「営業時間7:00~24:00」と書かれてあったのです。


僕のファミレスの歴史の中でも24:00で終了するジョナサンは過去一度も見たことがありませんでした。



(こ、これは新種のジョナサンか――)



衝撃を受けるのと同時に、僕の心を大きな不安が覆い始めました。


これは僕がこの街に引っ越してきて初めての外での作業なわけです。


そこで一番近くにあるジョナサンの終業時間が24:00。


つまり、深夜眠くなって眠気を覚ますために外で作業をしたくなった場合


ホームグランドとするファミレスが近所にないかもしれないのです。


つまりは、僕の作品を心待ちにしている、


・少数の日本人読者


・10億弱存在すると言われるアジア圏の水野ファン


・そして、今後電子書籍時代になると「分かりやすく、楽しい」と評判の水野作品は
世界中で愛されると言われているので、未来の世界中の読者


・さらには、人類が滅亡以降、地球上に現れる第二の知的生命体「イスル」
(「イスル」はマイクロチップに記録された「人類の軌跡」というタイトルのテキスト文書から、人類の歴史で言う21世紀に、日本という小さな島国に現れた「MIZUNO」という作家の作品に大きな影響を受け、彼の作品を元にして新たな文明を築きあげるのであった――)




そして、近所のジョナサンの営業時間が24:00で終わるというのは



彼らの期待を裏切ることを意味するのです。




が、しかし。



あきらめかけて肩を落としたとき


こんな文字が視界に飛び込んできたのでした。





ロイヤルホスト 24時間営業





「そんなバカな――」




なんと、この場所にあったのもまた、新種のロイヤルホストなのでした。


(こ、この町では一体何が起きているんだ……)



しかし、冷静に考えてみると、これはむしろ当然の帰結。


なぜなら、


神の谷と書いて、神谷町。


ここに24時間営業のロイヤルホストを登場させたということは


つまりは、神は僕に向かってこう言っているのでした。




「書け、書くのだMIZUNOよ。人類のために、いや、人類以降も永く続いてゆく地球のために――」




こうして僕は、


「エム! アイ! ゼット! ユー! エヌ! オー!(MIZUNO)」


「エム! アイ! ゼット! ユー! エヌ! オー!(MIZUNO)」



「水野」のアルファベットを一文字づつ叫びながら(心の中で)、意気揚々と横断歩道を渡り対面のロイヤルホストへと向かったのでした。


すると、


ロイヤルホストの扉の前に


衝撃的な貼り紙があったのです。





本日11月23日は

店内清掃のため

23:00閉店(ラストオーダー22:30)

とさせていただきます







この日、11月23日は勤労感謝の日であり、


通常時の営業と違って閉店時間が早まっていたのです。


僕はあまりのショックで呆然となり、しばらくその場を動けませんでした。



あれは一体何だったんだ――


あれは神の声ではなかったのか――。



しかし、僕は自分に言い聞かせました。


ここは、神の住む町、神谷町。


神がこの僕を騙すようなことをするはずがない。


となれば、これもやはり「啓示」。


神からのメッセージに違いありません。


ただ、そのメッセージをどこまで読みとることができるのか、


それを読み取ることができるのがMIZUNOのMIZUNOたるゆえんであり、裏を返せば、もしメッセージが読み取れなければ、それはMIZUNOではないのです。


そして結論を言うと――僕は、MIZUNOでした。


啓示に込められたメッセージ、それは



「ロイヤルホストには、まだMIZUNOを受け入れる準備が整っていない」



つまりどういうことか。


もちろん、ロイヤルホストではいつもどおり従業員が働いています。


ただ、大事なのは、今日、初めてこの場所にMIZUNOがやってきたということ。


そして、そのMIZUNOを、神も、当然、もてなそうとしているわけですよ。


いわゆる、新入生歓迎会的なことですよね。


つまりは、ロイヤルホストで神の見えざる手が働いた場合、たとえば以下のようなことが起きるわけです。





ロイヤルホストのテーブルに座り、仕事をしていると突然、隣に座っていた中年の男性が僕に話しかけてきた。


「あれ、もしかして水野先生ですか」


「は、はい。そうですが」


「実は私、この近くで不動産会社を経営している者です」


それから軽く談話をして「最近、この近くに引っ越してきた」ということを男性に告げる。すると


「何かお困りのことはありませんか」


と聞かれ、僕は答える。


「実は、今の事務所の入っているビルに駐輪場が無くて自転車を毎回エレベーターに乗せて部屋の前まで持って来なければならないんですよね」(実話)



「ああ、それだったらウチの土地使ってくださいよ」



「え、いいんですか?」


「もちろんですよ。水野先生がエレベーターに自転車を乗せている間に一文字でも多くの文章が書けるわけじゃないですか。私は、水野先生には頑張ってもらいたいんですよ。水野先生の作品を待っている日本の読者と、カンボジアの子どもたち、そして何より、イスルのために」



「どうしてそれを――」



「申し遅れました、私、イスルの長、パティオ・パティーナと申します。人類が存続していたら迎えていたであろう29世紀の地球からやってまいりました。このタイムマシーンに乗って(店員を呼ぶインターホンを指差しながら)」



「そ、そうだったのですか――」



「今から8年後の2020年。水野先生は『光と闇と私 ~そして、私~』を出版致します。これは初めて『MIZUNO』名義で出される作品ですが我々イスルはこの作品に影響を受け文明を形成することになるのです」
 


「MIZUNO……」



「しかしご存じのとおり、歴史は流動的に動き続けています。そして我々イスルの存在を疎ましいと考えている連中もこの宇宙には存在するのです。――あなたはおかしいと思いませんでしたか? あなたの引っ越し先のビルに駐輪場が存在していないことを」



「そ、それは……」


「あなたは多くの日本人を希望で照らす作品を作ってきた。にも関わらず、毎回自転車に乗るときに小さなエレベーターに自分の自転車を入れなければならず、さらに人が乗り込んできたときなどは顔を真っ赤にしながら『す、すみません』と言いながら必死に自転車を横に寄せる、場合によっては垂直に立てる。どうしてそんなことをしなければならないのだと思います?」



「……それは、山本くんが物件を選ぶときに駐輪場の存在を忘れていたから……」



「違います。ズールの陰謀です」



「ズール!?」



「しっ!(人指を唇にあてて)(以下、小声で)ズールは火星に現れた新たな知的生命体です。
そして彼らは我々イスルが知的に成長することを阻止しようと……つまりは我々の知的成長の源であるところの『MIZUNO』の作品を妨害しようとして、今からさらに遡ること20年前の日本の西新橋にやってきて、あなたの事務所が入っているビルの駐輪場を――設計図から取り払ったのです」



「で、でもそれはいくらなんでも、妨害工作として、細かすぎないですか」



「そういう連中なんですよ、やつらは(ホットコーヒーに口をつけながら)」


「な、なるほど……」


「(コーヒーカップをゆっくりと受け皿に置いて)でもご安心ください。そのために私がやってきたのです。今日からはあなたのマンションの目の前にある駐車場、あれを駐輪場としてご自由にお使いください」



「え!? でもあの駐車場は昨日電話して『毎月3000円くらい払いますんで自転車置かせてもらえませんか?』と交渉したときに『いやいや(失笑)。バイクで1万円取ってますけど、やっぱり1万以上ないと厳しいですわ』『いやでも自転車1台で1万は……』『じゃあ厳しいですね』と無下に断られた駐車場ですよ」


「問題ありません。あの駐車場の脇の、誰の土地とも言えないような場所に、そっと自転車を置くのです」



「そっと……ですか?」


「ええ、そっと、です」


「た、確かにあそこはギリいけるんじゃないかとは思ってはいたんですけど……でも、大丈夫なんですか。撤去されたりしないですかね」


「(突然、テーブルをバン!と叩いて)撤去された時は、撤去された時だ! そんなことより、自転車をエレベーターに乗せるのが面倒になって、あなたが深夜にファミリーレストランに来なくなることの方がよっぽど問題なのです。それは人類だけの問題じゃない。もはや宇宙の問題なのですよ!」


「わ、分かりました、やってみます!」


「その意気です、MIZUNO! 
エム! アイ! ゼット! ユー! エヌ! オー! エム! アイ! ゼット! ユー! エヌ! オー!(全身の動きでアルファベットを形態模写しながら)」

 






これに近い出来事が、今後僕の周りで起きていくことになると思うんですけど


まだ神様的な事情で準備が整っていなかったので


ロイヤルホストは営業時間を短くしていたのだと考えられます。


だったら、しょうがない、今日のところは24時まで営業しているジョナサンで我慢しとこう


ちょうどジョナサンのドリンクバーのだったんそば茶も飲みたかったし


そう自分に言い聞かせながら再び横断歩道を渡り、ジョナサンの前に行き、自転車を止めてジョナサンに入ろうとしたら


扉の前にこんな貼り紙があったのです。







本日11月23日は

店内清掃のため

22:00閉店

とさせていただきます








これ、何――。




これは一体何のメッセージなんですか――。




しばし呆然としたままその貼り紙を見つめていましたが、


ここまで来るともう答えは一つしか見当たりませんでした。



それは



「ロイホの準備整いました」



ついさっきは準備が整っていなかったけど、


ジョナサンに来る途中に神様的に水野の受け入れ態勢が整たので



「やっぱロイホ来なよ」



ということだと思います。そうとしか考えられないわけです。というか、そう考えないとやってられないわけです。


残り時間は少ないけれど


これからロイホで作業をすれば

とんでもない出会いがあったり

神懸かりてきな文章が書けちゃったり

そういうことが起きますよというメッセージだと解釈して


改めてロイヤルホストに向かいました。



そして



「神様は一体どんな幸運を僕の身に起こしてくれるんだろう」


と考えながら、


「ていうか、これで何も起きなかったら俺は何のために何度も横断歩道を往復してきたんだ……」



と思いながら、ドキドキしながらテーブルに座っていたのですが




なんと、




22:30頃、突然店員が僕のテーブルの前に来てこう言ったんです。




「ラストオーダーになりますけど、何かご注文はよろしいですか?」



僕は


「大丈夫です」


と答えました。



そして、それから30分後、店員が来てこう言いました。




「閉店のお時間になりましたのでよろしくお願いします」



そして深々と頭を下げられたので


いよいよ店を出なければならなくなったのですが



「なんか帰りたくねえなー」



って思ったら交差点の向こうにTSUTAYAの看板が見えたんでエロDVD借りて帰ったら





これがめちゃめちゃ当たりだったんですよね。




このとき僕の中ですべての点と点がつながりました。




そう――この日は「勤労感謝の日」。



神はきっと僕にこう言いたかったのでしょう。



「水野くん、君はいつも仕事を頑張っている。だから今日くらい『書く』のはやめて『かき』なさいよ(マスを)」と。





――神の住む町、神谷町。




この場所でなら、僕は人類の歴史に残る伝説の作品を書くことができそうです―――。