モルやモル濃度は大学生でも、

      とても苦手な人が多いです

わたし生物系の研究をしていますが

論文や特許を取るときに実験には 

正確なモル濃度の溶液をつくることはとても重要です。

 

 

モルって何だっけ?モル濃度って知らないぞという人は

先に   ↓ を読んでください

 

モルとモル濃度~可視化して理解してください

 

さて ここでは以下の問題を解きながらモル濃度について考えましょう

(これ私が作問した 実際の入試で使われた過去問です)

 

1 (1)~(4)の行程で気をつけることを書きなさい

2 1で作製した溶液のモル濃度を求めよ。ただし途中の式も書くこと。

3   1の水溶液 120mLと濃度のわからない塩化カルシウム水溶液250ml

  とを混ぜて混合液を作った。

この溶液を加熱し、全ての水を蒸発によって取りのぞいた。

残った塩化カルシウムの質量は0.88gであった。

後で加えた塩化カルシウム水溶液のモル濃度を求めよ。ただし途中の式も書くこと。

 

1の解答例

(1)  塩化カルシウム5.5 グラムをビーカーに測り取る。

  ビーカーに水を入れて混ぜる。

 

 測り方:ビーカーを使う前は 使用前に純水で洗い良く乾かしておく。

    塩化カルシウムを計る前に ビーカーだけの重さを量る。

    薬包紙や秤量瓶などを使って計る場合は、同様に薬包紙だけを乗せて

    計る(0に合わせる)。(塩化カルシウムはのせない)

    その後、塩化カルシウムを測って入れる。薬包紙を使った場合は

    薬包紙に塩化カルシウムが残っていることも忘れないように。

 

    水で溶かす:この場合は最終的に1Lに合わせるため、

    途中で1Lを超えない事が大事。(300~500mL)

    水を入れる時や混ぜる時はこぼさないようにする。

 

 洗浄:ガラス棒や薬包紙(秤量瓶)に塩化カルシウムが残っているため、

    純水で洗い流すようにビーカーに入れる

    (せっかく計り取った塩化カルシウムをこぼさない、

     他の器具に残らないように)

 

 温度:塩化カルシウムの場合は温度は考える必要はないが、

    反応熱で加熱するものは穏やかに混ぜる。

    (加熱して変化するものは注意が必要)

    また、溶解度が温度によって違う場合は溶かす時だけ温度を変える。

 

(2) メスフラスコ(正確に容量を計る道具)に入れる。 

 入れ方:こぼさないことが第一なので、ロートを使用。

     場合によってはガラス棒を使う。

 残さない:ビーカー、ロート、ガラス棒などに溶液が残ると

      正確な濃度が測れない。のこった試薬は純水でビーカーを洗浄し

      メスフラスコに流し込む。

     (事の時も液量が1Lを超えないように注意)(3) 正確に1Lにする。

 

    

(3) 正確に1Lにする。

  液面と水平のところから標線とメニスカスに合わせる。

  液面は水平にはならず。

  上の図Aの様に凹型になる場合とBの様に凸となる場合がある。

  上の図ABの点線で表す液面の部分をメニスカスという。

  このメニスカスが標線と一致するように合わせる。

  この時には水を加え過ぎないようにする必要があり、

  駒込ピペットなどを使い一滴ずつ入れる。

  メニスカスのライン上(水平上)に目をおいて標線に合わす。

 

  その他注意事項

   メスフラスコの大きさやクラスによっても誤差は違うため有効数字も異なる。   

   クラスAの1Lの場合に誤差は0.4mL以下、250mLの場合0.1mL 以下

   なので有効数字は4桁として計算する事が多い。

   ガラス製品の誤差はそれくらいあるので、メニスカスの誤差が数十μLでる

   としても誤差範囲であることが分かる。また、容量が大きいほど全体から

   比べた誤差(の比率)は小さいため、溶液は大容量を作ったあとに小分け

   する方が濃度の正確性が高いといえる。

   メスフラスコは液体の容量を量る道具である。

   液体自体は温度によって大きな変化はないがガラス容器は温度によって

   大きさが変わるためメスフラスコは加熱してはいけない。

 

(4) 混合

 (3)の操作では液量を合わせる作業をしたが、液が不均一で上と下で

  濃度が異なる。(カルピスに水を入れたような状態)

  したがって混合する必要がある。ここでの注意点は蓋を抑えて

  混合する点にある。溶液をこぼさないことは危険な薬品の場合は注意が

  必要だが、ここでは濃度に重点をおいているので、混合する前に液が

  こぼれてしまうと濃度が変わるため、こぼさない。

  混合した後は液は均一なので、保存の瓶に移すときには液量が変わっても濃度が  

  変わることはことはない。したがってメスフラスコ内に残っても構わない。

  間違っても水で洗って入れてはいけな い(濃度が変わる)。

  その他の注意 正確な作業が必要な場合はうつす瓶を少量の溶液で洗って、

  その液は廃棄する(とも洗い)。通常は純水で洗浄して乾燥することで十分。

  瓶は液が蒸発しないように密封すること。

 (実際の実験室では栓が開かなくなることがある。その多くの原因は瓶の外側に

  液がつき乾燥して試薬が析出することが原因。

  使用するときに溶液をこぼしても濃度は変わらないが、衛生的にも安全上の

  問題からも、こぼさない様に注意する。瓶のふたをしめたあとに洗浄する

  のは問題ないが、この時も純水を使う。)

 

2 1で作製した溶液のモル濃度を求めよ。ただし途中の式も書くこと。

 

 塩化カルシウムは CaCl2 と表されるようにカルシウム1つに対して

  塩素が2つ存在する。カルシウムの原子量を 40、塩素の原子量を 35

 とすると 1モルの CaCl2 質量、つまり式量は110となる(1.1×102)。

 従って塩化カルシウム5.5gのモル数は

 

    0.050でもOK

 

3   1の水溶液 120mLと濃度のわからない塩化カルシウム水溶液250mlを加えて混合液

 を作った。この溶液を加熱し、全ての水を蒸発によって取りのぞいた。残った塩化カルシウム

 の質量は0.88gであった。後で加えた塩化カルシウム水溶液のモル濃度を求めよ。

 

 

 

 やり方はいろいろあると思います

      この問題は 0.88gのモル数が  0.008なので

 間違ったやり方でも 0.0080 という値が出てくる

穴埋め問題や答えしか書かない問題の場合には 

正解と間違う場合があります。採点の時や出題の時には注意して下さい

 

間違いや +αした方がよいことがあったらどんどんコメント下さい よろしくおねがいたします

 

 ①全体何グラム中に ある物質は何グラムありますか?  → 重量パーセント

 ②全体何リットル中に ある物質は何グラムありますか?  → 重量体積パーセント

 ③全体何リットル中に ある物質は何モルありますか?  →モル濃度

 

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