アポロンの火矢は
あまりに強すぎた
万物は
陽光の恩恵を受けきれず
逆に熱を持て余して焼け焦げた
だから私は陰が欲しかったのだ
火矢を遮ることのできる
陰を
だが
ようやく得られた陰さえも
黒く焼け焦げていた
陰の中でさえ
逃げ込んだ者たちが
容赦無く炙られた
私には
何処にも逃げ込めるところがなかった
陰という名の
もう一つの炎獄に閉じ込められ
膝を抱いて
ひたすら耐え忍ぶしかなかった
オクトベロンを目前にして
アポロンの御す金色の戦車は
遠ざかりつつある
私が潜んでいた陰も
本来の翳りと闇を取り戻し始めた
脳裏に籠っていた熱を
静かに吐き出して
陰に置き去り
そろそろと歩み出る
炎暑が過ぎてしまえば
陰に潜む必要などもうない
逆に
陽光を恋慕うようになるのだ
二度と戻らない恋人を
追憶するかのように
形影の揺れて再び風絶へる
Chasing Shadows by Alex Warren
《 ぽ ち 》
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