いまじなりぃ*ふぁーむ

何が育つか、何が収穫できるか分からない架空の畑。
種は画像、鍬は筆です。
いろんな作物が穫れればいいなあと思いながら。
想像の畑を耕します。えっさ。ほいさ。

特にこれを書くと決めているわけではなく。
なにげなく撮った画像をもとに、ある時は思うがままに、ある時は妄想大爆発で。
架空の畑に育つ、カラフルな作物のようなものを思い浮かべて。
いろんなことを書き置いて行こうと思います。

エッセイ、詩、短歌、俳句、ショートショート、小説、ギャグ。
渾然一体のみくすちゅあ。なんでもありです。
日記というものとはとことんかけ離れていますが、どうぞ気軽に覗いていってください。
読者申請もお気軽にどうぞ。
(^^)/

あ、別館(長編小説『ぐりーんふぃんがーずくらぶ日誌』)も始めました。
よろしければ、そちらも覗いてみてください。
上の赤い『
別館』のところをクリックすると、そちらに移動します。

ぽちボタンを設置しました。
おひねりを下さる奇特な方は、左サイドのバナーをぽちっとお願いいたします。(^m^)

これまで書いた小説には、以下の目次から辿れます。
カクヨムにも移植しましたので、読みやすい方でご覧になってください。

  渡し守  《短編  大河に面して並んで座る渡し守と女の子》
  楊周と小虎子  《中編  スーパーじいちゃんと大食い娘っこの中国風放浪ファンタジー》
  六季  《長編  とある島を舞台にした不思議なお話》
  ハイキングに行こう  《中編  三人の女性がハイキングで出会ったのは……》
  しっぽのいたずら  《長編  女子高生が拾ったしっぽのストラップから始まるどたばた》
  配達されなかった七通の手紙  《短編  おじいさんと古いポストと手紙》
  まい_すぺーす  《長編  でんでんと暑い夏を駆け抜けよう!》
  ベンチ  《短編  公園の片隅の古い木のベンチで》
  月と鉄塔  《中編  取れぬ月を望んで塔を立てるのは愚かか》
  たね  《短編  中坊三人が受け取ったたねは……》
  みどり  《長編  たった一つの選択で分かれる運命》
  めぇめぇ戦記  《長編  リケジョようちゃんの奮闘記》
  クリスマスカード  《中編  二枚のクリスマスカードがもたらすものは》
  プレゼント  《長編  プレゼントはなんでしょう?》
  十年キャンドル  《短編  一本のクリスマスキャンドルを囲む三姉妹》
  レンタル屋の天使  《長編  私をレンタルするなんて、あなたも物好きですね》
  半月  《長編  人は誰でも半月なの……》
  魔術師ゾディアス・リブレウスの言問い  《短編集  私は気に入った依頼しか請けませぬ》
  へっぽこ探偵中村操の手帳  《連載中 長編  ちらしチェッカーみさちゃんの事件簿》

シリーズ 一葉館春秋  《連載中 長編  古い木造アパートを舞台にしたトシとたみの物語》
  カンバセーション・ピース     梅に鶯    夜の桜    目に青葉    梅雨寒

ショートショートの方も、えとわ(絵と話)として50編刻みで目次を整理しました。
第一集(1~50)   第二集(51~100)   第三集(101~150)
第四集(151~200)   第五集(201~250)   第六集(251~300)
第七集(301~350)   第八集(351~400)   第九集(401~450)
第十集(451~500)   第十一集(501~550)   第十二集(551~600)
第十三集(601~650)   第十四集(651~700)   第十五集(701~750)
第十六集 (751~800)   第十七集(801~850)   第十八集(851~900)
NEW !
テーマ:
$いまじなりぃ*ふぁーむ-tle




第三部 第一話 新装オープン


(4)



フレディたちが去って十分もしないうちに、アポを取ってい
た客が到着した。
それも一人ではない。一家四人プラスワン。五人の大所帯だ。

彼らがさっきのフレディたちのように賑やかに来たのであれ
ば、俺も諸手を挙げて歓迎するんだが。逆だ。
これから葬式が始まるんじゃないかってくらい、全員沈み
切っている。

ちなみに、彼らは依頼人ではない。
なので、俺には一銭の儲けももたらさない。
依頼がないならとっとと帰れと言って追い返せないところ
に、俺の究極の弱みがある。とほほ……。

「お疲れ様です。どうぞお上りください」

俺は、彼らがドアを開ける前に引き戸を全開にして入室を促
した。
旧事務所では開け閉めの度に錆びた引き戸の滑車が大仰にわ
めき立て、やかましいことこの上なかったんだが、静かすぎ
るっていうのもこういう時には考えものだね。

新古品と言っても、什器や家具は見かけ上ほぼ新品だ。お客
さんは、全員やや遠慮がちにぴかぴかのソファーに腰を下ろ
し、不安そうに室内を見回している。

俺はその間にお湯を沸かし、人数分のカップを並べて紅茶を
淹れた。今度はシンクがあるからこういう作業がやりやすく
なった。トレイにカップを並べ、それをガラステーブルの上
に置いて、それぞれに配膳する。

「どうぞ」
「済みません。ごちそうになります」

五人の中では一番年かさの実直そうな中年男性が、俺に向
かって深々を頭を下げた。

さて、と。
俺は事務机の上に乗せてあった名刺入れから数枚の名刺を引
き抜き、全員に手渡した。
まだインクの匂いがかすかに漂う名刺を手に、それぞれが名
刺を凝視している。

「今日はわざわざ当所にご足労いただき、ありがとうござい
ます。小林さんのご一家と、立会人としてJDA所員の岸野
さんにお越しいただきました。岸野さん、お手数をおかけし
て誠に申しわけありません」

「いえいえ」

俺が深々と頭を下げたことにかえって恐縮したように、岸野
さんがぱたぱたと手を振った。

「ご面倒かとは思いますが、後ほどジョンソン所長に今回の
件の報告を上げていただければ」

「承知いたしました」

表情を引き締めた岸野さんが、改めて丁寧なお辞儀をした。
俺と岸野さんとは、初顔合わせではない。三年くらい前、俺
がとある事件に絡んだことで知り合いになっている。
だが岸野さんと俺とお間には直接の利害関係がない。
岸野さんの息子とはいろいろあったけどね。

俺は小林さんご一家の対面に着座し、改めて全員の顔をゆっ
くり見回す。

ご主人は、見るからに気が強そうだ。
岸野さんの話を聞く限り、俺が俺がと前に出るタイプではな
いようだが、持論を簡単に取り下げない頑固オヤジだろう。

奥さんはかなりの美人だが、ひどくやつれている。
心労だろうなあ……。
夫のごつさに楯突けるようなガッツは微塵もない、典型的な
支え妻。俺にはそう見える。

パワーバランスが偏って見える組み合わせだが、夫婦仲はと
てもいいと聞いている。
夫が堅実な常識人であれば、奥さんとしてはそれに文句を言
う筋合いはないんだろう。

二人の子供のうち、下の男の子は高二。
中高とバスケをやっていて、スポーツマンらしいはつらつと
した雰囲気と礼儀正しさを兼ね備えている。
当然のこと、お父さんの覚えはいいだろう。問題は……。

「ええと。小林愛美(まなみ)さん、ですね。所長の中村操
です。よろしく」

「……」

返事が返ってこない。じっと俯いたままだ。
俺は、ふうっと一息吐いてから、首を何度か横に振った。

「まだ腐ってるって……ことか」

それを俺の心の中で言うのではなく、本人の前で直接言わな
ければならないこと。
そこに、彼女が抱えている大きな闇と問題がある。







ms04
(カランコエ)







Open Door by Lisa Ekdahl



AD
いいね!した人  |  コメント(1)  |  リブログ(0)
NEW !
テーマ:
$いまじなりぃ*ふぁーむ-tle




第三部 第一話 新装オープン


(3)



「みさちゃん、おめでとう!」
「フレディ! 花、ありがとなー」

アポを取っていた客が来る前に、フレディと姉貴が子供連れ
で新事務所を覗きに来た。

ケチな沖竹所長は、開所祝いの花どころかおめでとうの電話
一つ寄越しやがらない。まあ、それが所長だからな。
その点、フレディは本当に気配りが行き届いている。花だけ
でなく、ご祝儀まで包んで持って来てくれた。
俺をバイトで使い続けてくれたことだけでも感謝してもし足
りないんだが、本当にありがたいことだ。

「またプレハブか」

「カネがないからね。軌道に乗るまでは忍の一字さ」

「ふうむ」

「俺が最初に勤めていた沖竹もそうだよ。所長は、俺のレベ
ルをはるかに凌駕する猛烈ドケチだからな」

「そうなのか?」

「社員数が俺のいた頃の十倍になってるのに、未だにおんぼ
ろ貸しビルに入ったままなんだぜ?」

「ははははは! そこらへんはマネージメントポリシーの違
いだな」

「ああ。所長はいつも実を取る。それが恐ろしいほど徹底し
てるんだよ」

「なるほどな」

「ロマンなんざこれっぽっちも飯のネタにならんと、つらっ
と言い放つ人だからさ。俺は、あそこまでは乾き切れん」

「はっはっはっは!」

巨体を揺すって、フレディが賑やかに笑った。
フレディが抱いていた絵美ちゃんが、その振動で目を白黒さ
せた。

絵美ちゃんは、容姿が姉貴そっくり。
今から成人後が予想出来る美幼女だ。

「絵美ちゃんも、どんどんかわいくなってきたよなあ」

「目の中に入れても痛くないよ」

フレディが、でれでれと目尻を下げる。
血の繋がりがないと言っても、フレディにとっては大事な娘。
下の息子、玲(れい)との分け隔ては一切していない。
いや……してるか。娘の方にやや多めの愛情、だ。
まあ、それでうまいことバランスが取れるってことだろ。

姉貴は、子供達を連れてうちによく遊びに来る。
梅坂ばあちゃんの激辛指導に時々悲鳴をあげ、息抜きしに来
るってことだ。
うちの二人の子とは、男女の順序が逆なだけで年回りが全く
同じだから、気兼ねなく家族ぐるみで付き合えるっていう感
じだ。ただ……上二人の性格が正反対なんだよな。

うちの隼人は、今からもう自己主張が激しくて、その上やん
ちゃだ。ひろの方の血が、恐ろしいくらい強く出た。
それに比べて、絵美ちゃんは大人しくておっとり。ぼけっぱ
あの姉貴似だな。
なので子供二人だけにしておくと、隼人が絵美ちゃんに何こ
そしでかすか分からん。

隼人のしつけや教育は、これからどんどん難しくなるだろう。
隼人の思春期に大きな苦労が待っていることを、しっかり覚
悟しとかないとな。
今までは人ごとだった、子供絡みの諸々のトラブル。
それが……我が身のことになるだろう。頭が痛いよ。

「さて。そろそろ……」

「ああ、例のか」

「そう。開所したここの、最初の試練だ」

「ねえ、みさちゃん。いきなり事件なの?」

姉貴が無遠慮に口を挟もうとしたから、軽くいなす。

「まあな。重大ではないが、重大なこと。気が重いよ」

「なにそれー?」

姉貴が呆れている。いや、そんな風に達観出来ればいいんだ
けどさ。

「じゃあ、俺たちは席を外すよ。また、ゆっくり」

「ああ、ありがとなー」

賑やかにフレディの一家が退出して、事務所は静けさを取り
戻した。

「ふう……子供絡みの案件は、どう転んでもいろいろあるん
だよ」



AD
いいね!した人  |  リブログ(0)

テーマ:
$いまじなりぃ*ふぁーむ-tle




第三部 第一話 新装オープン


(2)



さすが正平さん。すぐに見抜いたな。

「その通りです。人件費をまかなえるだけの仕事量を確保し
ないとならないのに、そう出来る保証はない」

「ああ」

「とんでもない大博打ですよ」

ふうっ。
俺が、打って出るのを躊躇しない大雑把な性格ならアレなん
だがな。あいにく人並み以上に慎重なんだよ。
本当なら、こういう博打は絶対に打ちたくない。
でも俺の場合、なにか大きなきっかけがないとライフスタイ
ルを変えるってことが出来ないんだ。

思い返してみろ。
最初のでかい契機は、ブンさんの突然の死だった。
あれがなければ、俺はまだ沖竹に残ってひいこら走り回って
いたかもしれない。
フレディと知り合ったのも、ひろと知り合ったのも、俺に
とっては大きな案件がきっかけだった。

外からのアクションで強制的に動かされないと、自分の生き
方が変わらないこと。
俺は、それにずっと甘んじてきたんだ。

今、それなりにまともな生活が送れてるっていうのは、単に
運が良かっただけに過ぎない。

まあ、これまでのことはいいさ。
でもこれからは、それじゃもうまずいんだよ。
きちんと覚悟して、自分で青写真を描いて、自分のケツをし
ばき倒さないとだめだ。
この野郎、いい加減にしやがれってね。

今実行できなかったら、俺にはもう一生不可能だろう。

そう、これは俺に起きた事件なんだ。
それを解決することこそが、俺の一生を懸けた大仕事になる。
ぶるってる場合じゃない!

「人のあては、もうあるのかい?」

正平さんの声で、はっと我に返る。

「ええ。ただ、どうなるかはやってみないとまだなんとも」

「そうか。特殊な仕事だからなあ……」

「実務を私がやるにしても、普通の会社では求められない特
殊な制限や義務があるので、そこがね」

「そうだね」

「もちろん、どういう風に仕事してもらうかってだけでな
く、こっちでお給料を払える形に出来るかどうかってのもあ
るので」

「おいおい」

正平さんが、困ったような顔で笑った。

「じゃあ、まだしばらくは仮営業って感じなんだね」

「そうです。家内が育休の間は、家事と育児の分担があるの
で、私の事務所は半閉鎖状態だったんです。友人の経営する
調査会社にアルバイトって形で雇ってもらってたんですが、
そんなに長いこと無理を言えないので」

「なるほど」

「これから家内が正式に職務復帰するので、それに合わせて
こっちも本格始動になりますね」

「それまでは慣らし、か」

「はい。独りだった私は、仕事と家庭の区分……オフィシャ
ルとプライベートの区分を自由に動かせた。これからはそう
いうわけにいかないので、私自身も新しい勤務形態に慣れな
いと」

「でも、中村さんは、会社員経験があるんだろ?」

「あります。修業時代もアルバイトで友人の社に通っていた
時も、立場は会社員なので」

「それなら、すぐ慣れるんじゃないのかい?」

「そうは行かないですよ」

はあ……。

「これまでは被雇用者、これからは雇用主。責任の重さが全
然違いますから」

「ああ、なるほど。そらあ、大変だわ」

ぎゅわっと眉を吊り上げた正平さんの口調が、ぐんと重く
なった。

「大工の棟梁もそうだよ。使われの時は気楽なもんさ。へま
をやっても、頭(かしら)がなんとかしてくれる。だが棟梁
になったら、全責任を負わないかん」

「ですよね……」

「だから、まだ腕は錆びてないのに引退したんだ。俺が全部
はカバーできないからね」

……さすがだな。

「ですから、いきなりよーいどんは出来ません。私も一緒に
やるメンバーも、ご破算前提の慣らしでまずやってみて、行
けそうならぼつぼつって感じになりますね」

「そうだよなあ」

くうん……。
正平さんが抱いていたロンが、俺の顔を見上げて心配そうに
鳴いた。
犬にまで心配されるなんて、情けないことだよ。とほほ。

「さて。それじゃあ」

「ああ。何かあったら言ってくれ。なんでも手伝うからよ」

「助かります! お世話になります」

「がんばってな」

「はい!」


           −=*=−


母屋に下がった正平さんを見送り、それから見かけだけは新
品になった事務所を改めて見回す。

「側が新しくなれば、それで中身も自動更新てのがいいんだ
けどなあ……」

ははは。世の中、そんなに甘くはない。
新装中村探偵事務所の第一案件は、もしかすると永遠に未解
決になるかもしれん、どでかいネタだってことだな。

「まあ、やってみるしかないな。こればかりは、俺の力で全
部解決ってわけにはいかないからね」

腕時計で時間を確認する。そろそろ来るはずだ。
開所を祝う人たちがみんなでわいわいと……ならいいんだけ
どな。
逆だ。最初から、かなり厳しい削り合いになるだろう。

だが、俺はそれをなんとかこなさないとならん。
全てはそこから、だ。







ms05
(ジニア)






Open Minds by Jean-Luc Ponty



AD
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。