あんたがたはよくわからないな。

「それは、あんたが俺たちをちゃんと見ていないからだよ」





(アーティチョーク)


 まだ、なのか。

「まだ、だ。咲くにも食べるにもね」





(シラキの雄花)


 まだ、なのか。

「いや。ちょうど今だ」

 咲いているようには見えないが。

「これでいっぱいいっぱいだからな」





(ケヤキ)


 まだ、なのか。

「もう終わってるよ」

 いつ咲いたんだ?

「知ったところでしょうがないだろ。咲く前も、咲いている時も、咲いたあともずっと地味だからな」





(シキミ)


 まだ、なのか。

「なに寝ぼけたこと言ってんだ。とっくに終わってるよ」

 咲いているように見えるが。

「実だよ。あんた、眼科に行った方がいいぜ」

◇ ◇ ◇

 花がいつ咲くのか、咲いたのか、咲いた後どうなるのか。何も知らない。わからない。我々は、驚くほど無知を自覚していないのだ。
 なのに。ほんの一握りの花を見て、全てを知っているような気になってしまう。

 ああ、どうしたものか。




  咲く花も散る花も見ず梅雨に入る





Not Yet by Jenn Bostic


《 ぽ ち 》
 ええやんかーと思われた方は、どうぞひとぽちお願いいたしまする。(^^)/


にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ
にほんブログ村