花を咲かせる準備をいつから始めるかは、植物によって様々ですね。生育サイクルの短いものはすぐに花穂を上げようとしますが、樹木の場合はゆっくり仕込むものが多いように思います。

 その中にあってとても変わっているのが、早くから準備万端にして本番をゆっくり待つミツマタです。





 前年の初冬には、もうご覧の状態で蕾をセットしていて。サイズ的にもいつ開花してもおかしくないんですが、このまま冬を越し。





 二月末〜三月初旬に、花房の外側から中央に向かってぼつぼつ咲き始めます。







 咲き終わった外側は褪色していきますが、いっぺんに咲いていっぺんに散るという咲き方ではないので、比較的長く楽しめますね。

◇ ◇ ◇

 かつて重要な製紙原料であった樹木である、コウゾ、ミツマタ、ガンピは、生産力の乏しい山村の重要な換金作物として各地に植栽されていました。需要が減った今では管理放棄されたところも多いんですが、植えられた木が消え去らずに結構しぶとく残っていることがあります。

 もし山中でミツマタの花が見られたら、それは人の営みの痕跡かもしれません。彼らの生き方は、人間よりもずっとゆっくりのんびりなのでしょう。




  日が上り日が沈む如 三椏の花





Steadily by Luca Young


《 ぽ ち 》
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