読書ノートの210回め。近況と読書状況をさらっと書き置いておきます。

 とりあえず、組み物をどどっと読めたので、今年の出足は順調かなと。ただテーマがどっしり重いものもあったので、すっきりというわけにはいかなかったですけどね。

 畑野さんの『罪のあとさき』は、しんどくてさっと読み飛ばした部分を拾う形で再読することになると思います。読み取る内容が変化することは多分ありません。自分の中でどう組み立てるか。そこが変化するかな。読後に突きつけられる葛藤の重さを、自分の創作の中にも組み込んでいきたいなあと。
 読むごとに組み上がる光景が変わる。深まっていく。それが、読書の奥深いところだなあとしみじみ感じ入っています。

◇ ◇ ◇

 で、次にどのようなものを読み進めていくか、なんですが。やはり現実に重く悲しい出来事があったということを考慮して、しばらくは軽め、短めのものをチョイスしていくことになると思います。それと、あまり文学的過ぎないものを。
 修辞の整った名文はもちろん素晴らしいんですが、それをきちんと味わうには相応の努力が要ります。心の余裕のない時には名文が重いだけでなく欺瞞の塊に感じてしまい、味わえないんです。
 もともとわたしは平易な文章の積み重ねの奥から大事なものを拾い上げさせる文章の方が好きですし、わたしもそういう風に書きたいんですよね。

 とか……いろいろ考えながら、次に読む本のセレクトに勤しんでいます。






 そうそう。キンドルアンリミテドの仕様がこっそり変わっていますね。これまで、書庫に収めておけるのは十冊までだったんです。単独の作品であれば、読み終えたものを返却して入れ替えるのはそれほど面倒じゃないんですが。組み物を揃えて読むのはちょっと骨だったんですよ。その収蔵上限がいつの間にか二十冊になっていました。

 全利用者対象の変更なのか、公式の変更なのか、そのあたりのことはよくわかりません。でも、本棚の横幅が広がったなら、組み物をぶちこみたくなるじゃないですか。速攻で、荻原規子さんのRDG(レッドデータガール)を六巻まとめて取り込みました。うひひ。僥倖、僥倖。

◇ ◇ ◇

 読む方とは対照的に、書く方はペースを落としています。えとわがもうちょいで1400話到達になるので、第28集の書籍化に向けてブラッシュアップするのと、次のフェーズをどうするかなーってとこですね。

 中・長編はまだ何も考えていません。『ファイブ・デイズ・グレイス』の次を早く書きたいなあと思っていますが、現時点ではノープランです。最後の大型在庫である『あるばいと・まはと・ふらい』公開の方が先かなあ……。

 それと、アナウンスを一つ。しばらくペンディングにしてあったえとわの未刊行分を昨年後半に電子本化しました。第26集、27集です。
 えとわの総目次からアマゾンの製品版ページに飛べますので、ぜひ製品版を読んでやってください。(^^)






 さて、現時点での読書進行状況を。読了分だけ。電子本が多いです。

 加納朋子さんの『いちばん初めにあった海』。心に負った深い傷のせいで生き方が窮屈になった二人の女性の再生記。とてもいい話なんですが、ちょいと凝りすぎ感が。

 乾くるみさんの『北乃杜高校探偵部』。電子本読了。乾さんにしてはひねりの少ない、軽めの学園ミステリーもの。いたいけな少年少女向けという印象。

 住野よるさんの『麦本三歩の好きなもの 第一集』。電子本読了。ちょっと抜けてる司書の女の子の脱力系日常小説。主人公のキャラを楽しめるかどうかですね。

 小野寺史宣さんの『太郎とさくら』。少しだけ歳の離れたあねおととの心の交流を描いた話。太郎の造形がとても自然で、いいなあと思いました。

 碧野圭さんの『凛として弓を引く』。電子本読了。これがまた、絵に描いたような王道青春小説です。弓道ガール誕生のお話ですね。うむうむ。

 柴田よしきさんの『あおぞら町 春子さんの冒険と推理』。電子本読了。プロ野球二軍選手の妻が主人公の日常系ミステリー。ほのぼのに見えて、真っ黒けでした。

 桜井美奈さんの『居酒屋すずめ 迷い鳥たちの学校』。電子本読了。居酒屋がフリースクールを兼業するというおもしろい発想の人情話。やや軽め、かな。

 大崎梢さんの『四つ屋根の下』。壊れていない家庭なのに、なぜかばらばらに暮らすはめになった家族のつながりの話。ちぃと家族間のエゴベクトルの向きがばらけすぎな感じ。

 加納朋子さんの『月曜日の水玉模様』。加納さんの作品には軽重いろいろあるんですが、これは軽い方ですね。お仕事小説風の味付けあり。まあ、これはこれでありかと。


 次回の読書ノートは、加納朋子さんの『いちばん初めにあった海』です。





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