「ああ、誰か私に美味しい紅茶をいれてくれないかな」
「茶渋がこびりつくまで飲まされてきたじゃありませんか。もう十分ですよ」
「そうか……」
「それでも、たまにはうまい紅茶をいれてもらいたくなるだろう?」
「無理ですよ。私たちにはもうお茶が入りませんから」
「そうなんだよな……」
「私たちが二人でいるから、おいしい紅茶を飲みたくなるんでしょ? それでいいじゃないの」
「はっはっは。確かにそうだな」
割れ砕けてしまったカップ。その破片にお茶が注がれることはない。
割れる前の「望まなくても注がれてしまう」悲しさと、割れた後の「望んでも注いでもらえない」悲しさ。どちらがましなのだろう。
私の詮ない繰り言を聞いて、彼女がくすっと笑った。
「割れても割れなくても、わたしたちはただの陶器よ。お茶の味はわからないわ。わからないものをいたずらに想像するから、悲しくなるんじゃない?」
割れ椀の底に紅葉の色残る
息遣いの感じられるお写真と文章がとてもキュートな夏色インコさん。そのクリスマス特別企画に参加させていただきました。もっとも、わたしはへそ曲がりゆえ絶対に直球は投げへんので、こんなところで堪忍してくださいまし。(笑
あ、紅茶は自作できます。ぜひお試しあれ。(^^)/
Tea For Two by 小沢咲希トリオ
《 ぽ ち 》
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