ふふふ。まあた、わたしにむざむざエサをやるような企画を。
ええ、がっちり食いついて差し上げましょう。

続きを書いてということなので、書いてみました。

題して『続きを書いたぞな アンディの小説ブログ第1話』

わたしのは、『青柳ういろう詰め合わせバージョン』となっております。
言えるもんなら言ってみな、白黒抹茶上がりコーヒーゆずさくら……ですね。サービスで小豆入り。(^m^)

ひあ うい ごー!





というのがお題。

一応、テキスト部分を書き出しておきますね。

********* ここから *********

「う、う~ん・・・暑い・・・!」
アンディは、じっとりとした暑さを感じて目が覚めた。
「・・・?ここは・・・どこ?」

まだ完璧に開かない目の中に入ってきた光景は、いつもの自分の部屋のそれとは違うものだった。

狭い部屋に、ベットとテレビと冷蔵庫。そして1通の手紙。手紙の中身は、弱々しい文字で1行だけ。
「僕の夢を、一緒にかなえて」

僕って・・誰だろう?とりあえずこの部屋から出なければ。


********* ここまで *********


改行だけ、ちょい調整してあります。では、参りましょう。(^^)/




(1)白バージョン

 僕はベッドから降りて、部屋から出ようとドアを探した。

「どこにもないじゃん……」

 ドアどころか、窓も排気口もない。いつの間にか、密室に閉じ込められてしまってる。途方に暮れてベッドに腰を下ろし、頭を抱え込んだ。どうやって僕をこの部屋に入れたんだろう? 僕は梨入りのお酒か? いやいや、まじめに考えよう。文字になっている手がかりは、あの手紙だけ。

「僕の夢を、一緒にかなえて……か」

 夢を叶えれば、ここから出られるって解釈するしかないよね。じゃあ、出口より『僕』を探せばいいってことだ。手紙を書けるんだから、『僕』はここにいるんだろう。

「うーん」

 どう考えても『僕』は僕だよな。じゃあ、ここを出たいっていう僕の夢を一緒に叶えてくれるのは僕以外のもの。冷蔵庫、テレビ、ベッド……のどれか、ね。僕がそのどれかにプロポーズすれば、ここから出られるんちゃうかな。でも冷蔵庫は冷たそうだし、ベッドは四角四面で融通が利かなそうだ。無難にテレビってとこか。

「あの、僕はあなたにプロポーズしたいんですが」

 テレビに向かって話しかけてみる。電源の入っていなかったテレビが突然点いて、画面にかわいい女の子が映し出された。

「うれしいわ。あなたが、わたしをここから出してくれる勇者なのね?」

 僕は速攻で電源を切って、テレビを床に叩きつけた。

 がしゃっ!

「あんたのことなんかどうでもいい。僕がここから出たいんだってば!」

【おしまい】



(2)黒バージョン

「僕の夢を、一緒にかなえて……か」

 体のいい脱獄の誘いにうんざりする。この部屋が自分の部屋でないように感じるのも、この刑務所のプログラムの仕業だ。

 僕は、大量殺人の罪を犯した受刑者として独房にぶち込まれている。禁錮1200年だから、一生どころか何度生まれ変わってもここからは出られない。この国の刑罰には死刑がないので、国はただ飯食いのろくでなしをずっと飼い続けなければならない。それを快く思っていない連中がいっぱいいるんだろう。

 そいつらはテレビを使って僕らを洗脳し、脱獄させようとする。脱獄を図るやつは、看守や他の受刑者に危害を加える恐れがある危険人物。治安を乱すので、管理権限で『強制排除』していいらしい。毎日、所内のどこかここかで銃声が響いてる。それって……事実上の処刑じゃん。死刑制度廃止の意味なんかどこにもない。

 僕はベッドに体を投げ出す。テレビによる洗脳に気づいた僕は、テレビの電源をいつも切っている。だから、手紙を使うなんていう古典的な手段にしたってことか。こんなちゃちなトラップでも騙されるやつがまだいるんだろう。だって、僕は連中の手口を受刑者全員にタレこんでるのに、毎日銃声が聞こえるから。

「夢は。僕がここにずっと居続けることさ。一緒に……は要らないな」

【おしまい】



(3)抹茶バージョン

 狭いだけでなくて、どうにもクラシックな部屋だなあと思っていたら、どこかですうっと戸を引く音が聞こえて。

 これまたクラシックな服を着たおっさんが入ってきた。どっかで見たような顔……も、もしかして千利休!? ま、まじっすか!?

「茶を点てるが、飲むかの?」

 うおう! 利休直々に点てたお茶!

「ぜひ!」

 お茶を点てるおっさんの仕草はすごく洗練されてたけど、お茶は……げろまず。僕のげんなりした表情を見て、おっさんが済まなそうに言い訳した。

「金がなくてのう。それは乾燥青汁じゃ」

 どて。

「儂の夢は、抹茶を買うて茶を立てることじゃ。おぬしと一緒に叶えたい」

 な、なんて貧乏ったらしい夢! 千利休って、堺の豪商じゃなかったっけ?

「あんた、ほんとに『りきゅう』なの?」

「違う。わしゃあ、としやすじゃ」

【おしまい】



(4)上がりバージョン

 そうか。一緒に夢をかなえるっていうのは、人生ゲームだな。つまりこのちょーつまんない部屋はスタート地点で、パートナーを募ってそいつと旅をして、たっぷり儲けて豪邸にゴールする。それって、悪くないじゃん。パートナーって言っても、同性ならビジネスパートナーってことなんだろう。

 でもゲームを始めるには、資本金と出た目だけ進むためのルーレットが要るよなあ。僕は何度も部屋をチェックしてみたけど、そんなのはどこにもなかった。おかしいなあ。

 ガイダンスかなんかあるかなあと思って、テレビを点けてみた。画面に何か文字が並んでる。なになに?

『あなたはすでに上がっております。封筒に入っている景品は、あなたが事業を始める時にお書きになった初志です』

【おしまい】



(5)コーヒーバージョン

「でさあ。そんな部屋にいられるか、ぼけぇ、つて壁をどかどか蹴ったら、ぼこっと穴が開いて、ここに繋がってたん」

「ほほー。そんなことがあったんだ」

 カウンターの向こうで、品のいいマスターがコーヒーカップに淹れたてのコーヒーを注いだ。芳しい香りが一面に漂う。

「わけ分かんないのはさあ。僕と一緒に夢をかなえてとかいう変な書き置き」

「変?」

「だってそうじゃん。部屋には僕しかいないのにさー」

「ふうん……」

 マスターは僕を見て顔をしかめた。

「それじゃあ、私は別のパートナーを探さないとなあ」

「へ?」

「ここは閉鎖空間で客が来ないから、呼び込みのチラシを作ったんだ。でも、君はコーヒーを飲み散らすだけで何もしない。商売上がったりだよ」

 はっと気づくと、僕はあの部屋に戻っていて。ベッドの上には僕が飲み倒していたコーヒー代の請求書がいっぱい散らかっていた。

【おしまい】



(6)ゆずバージョン

 僕は一心不乱にお願いしたんだ。神様、この不条理な状況をどうか解消してください。それが僕の夢です。神様、どうか僕と一緒にその夢をかなえてくださいって。

 僕が目を開けたら、床からにょきっとゆずの芽が生えてた。そうか。これが僕の夢をかなえてくれるってことだな。じゃあ、一緒にがんばろう。

「おまえは、今日から僕の相棒だ。よろしく頼むぜ」

 そして月日はずんずん流れ。ゆずのばかたれ三十年ということわざ通り、やっと大きくなったゆずの木が天井を突き破って、僕は外に出られるようになった。でもなあ……。

「僕ももうトシだし。それに、この部屋快適過ぎて出たくない。ごめん、相棒」

【おしまい】



(7)さくらバージョン

 こんなに早く、一緒に夢をかなえる相棒が見つかるとは思わなかったよ。

 僕は、何か相棒を探す努力をしたわけじゃない。現状打破の協力者が欲しいなあと思っていたら、彼が現れたんだ。あまりにご都合主義の展開だとは思いつつ、早く部屋を出たかった僕は彼を歓迎した。でも……。

 やつは応援はしてくれるけど、ちっとも脱出方法を探す手伝いをしてくれない。全然一緒じゃないじゃん!

「おまえさあ、一緒に夢をかなえてって言ったよな?」

「言ったよ。でも、僕の夢と君の夢は違う」

「は?」

「君の夢はここを出ることだろ?」

「そう」

「僕の夢は君と一緒にいることさ。もうかなったんだ」

「はあ!? じゃあ、夢がかなったのに、なんでここにいるの?」

「君のところにいないと、また夢が夢に戻っちゃうからだよ」

「むー……。じゃあ、僕の手伝いくらいしてよ」

「それは僕の夢には入ってない」

「けちぃ」

「しゃあないやん。しょせん僕は運営が差し向けたサクラなんだし」

【おしまい】



(8)小豆バージョン

 間違いなくピンチだ。ここは密室で、ほとんど何もなくて、わけの分かんない書き置きしかなくて、僕は無力だ。

 こういう時には誰か正義の味方が駆けつけてくれて、僕の窮状をなんとかしてくれるんじゃないのか? 無駄だとは思うけど、一応試してみようか。

「誰かー。お願いー。僕をここから出してー」

 どろん。変な音がして。テレビでしか見たことのないものが、僕の目の前に突如現れた。変な服着たじいさんの妖怪だ。

「おい、それがおぬしの夢か?」

「そうですー」

「では、そこで待っておれ」

 おおお! この妖怪、見かけによらず、やるときゃやる系? らっきぃ!

 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃか……。

「てか、あんた、何やってんの?」

「見て分からぬか。小豆を洗っておる」

「それで、僕がここから出られるの?」

「おぬしの夢はおぬしで叶えよ。わしは小豆洗いじゃ。どこでも小豆を洗う。それだけじゃ」

 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃか……。

【おしまい】




ady


そんなところで何をうろうろしてるんだ、アンディくん。(^m^)





Electric Gypsy by Andy Timmons