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梅雨寒  予告



 一葉館シリーズの新作を『目に青葉』としてお送りしましたが、引き続いてもう一つ駒を進めておきましょう。

 第三者から見える行動部分の改善が著しいトシですが、じゃあそれに心がちゃんと付いていってるんでしょうか? こればかりは、たみの視線では分かりません。

 ですので、第五部となる本話では『梅雨寒』と題してトシの心情を書き出してみようと思います。

◇ ◇ ◇

 『目に青葉』は五月。そして本話は六月のお話になります。からっとした晴天に青葉が映える五月と違い、六月は梅雨の影響で雨がちになりますね。

 蒸し蒸しじめじめのイメージが強い梅雨時ですが、前半は気温の乱高下が激しくなります。肌寒いを通り越して、春先の温度まで下がってしまうことも珍しくありません。それが梅雨寒ですね。当然、そういう気温や湿度の大きな変化は体に大きな負担をかけることになり、気分も体調も不安定になりがち。わたしも苦手です

 ここまで、まるで何かに取り憑かれるように生活改善に取り組んできたトシですが、悩み解消、視界良好で元気はつらつのたみと違って、ひっきー体質の根強いトシはちょっと息が切れ始めてます。新しい自分と古い自分に挟まれた、脳内梅雨前線。トシのそういう鬱屈した心情を、梅雨に重ねて描写します。

 これまでの話の中で、もっともコンパクトで動きの少ない話になります。このパート単独で読むというより、これまでの話の流れからちょっと引いて一休みする、間奏曲のような意味合いが強いかもしれません。

 そして、ナレーターがぐだぐだかつ薄味のトシですから、明るくぱりっとした話にはなりようがありません。まさに、カビが生えそうな内容です。(^^;;



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 五章立てですが、どの章も短いのであっという間に終わります。二週間くらいかな。一日に2アップはしません。

 湿っぽい話になりますが、梅雨時の雨は生命を育む慈雨。停滞の間に癒されるもの、整理されることも多々あるでしょう。そういう生暖かい視線で、一見情けないトシの心情を覗いてやってください。

 雨をイメージさせる画像と音を、併せてお届けしてまいります。

 本話は、こことカクヨムで同時展開します。カクヨムには画像や音を持っていけませんが、活字を追うのは向こうの方が楽かもしれません。お好きな方でお読みください。(^^)/





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