ええ。
猛暑の夏に涼しくなる話を書かなかったのは、わたしがからからに干からびていたからでございます。秋の長雨でふやけてだいぶ身が戻ってきましたので、時期外れの幽霊話ばかり七発ぶちかましました。いひひ。(^m^)
え? みさちゃんのは黒かったから、今度は白いの言うたやんかって?
ええ。ちゃんと白かったと思いますが。いひひ。(^m^)
最初のいんちき祓い師に言わせましたが、幽霊というのは紛うことなき人造物です。もしほんまにそういう存在があったにしても、それを証明することも見世物にすることも出来てへんわけですから、あくまでも我々の想像で形と概念を与えられた人造物なんです。
そういう前提で幽霊を精査すると、連中がなぜいつも白いのかという疑問にぶち当たります。別にショッキングピンクでも蛍光イエローでもかまへんやん。でも洋の東西を問わず、白が多いんですよね。なんでやろ?
ってことで、このシリーズではあえてその『白』を軸に据えて、コンサバ(保守的)な幽霊話をぶちかましてみました。
でも、幽霊が白くなくてはならないという法則なんかどこにもないわけで。七話に登場したひゅーどろろんの色は、タイトルとはうらはらに様々だったと思います。
わたしたちが、幽霊に実体がないとか、白いとか、下半身が透けているというイメージを持つのは、実在するものとの区別が判然としていないと都合が悪いから。逆に言えば、見ている人が幽霊であると認識しない限り、幽霊は実在する物と区別が付かないんです。
七話を通してわたしが幽霊に象徴させたのは、意思疏通の極端なアンバランスです。
生者は幽霊からの意思の投影を受け取って、自身の思考や行動に反映出来るんですよ。それが言葉を伴わなくても、幽霊としての存在そのものが意思の表れですから。
でも幽霊は、生者から投げかけられた意思を受け取れないか、受け取れたとしても自分を変えることが出来ません。せいぜい、消滅するか幽霊であり続けるかくらいしか選べないんです。
# 青天白日の将軍、白紙に戻すのベンさんの言葉が分かりやすいんじゃないかなーと。
意思疎通に極度のアンバランスが生じるシチュエーションは、現実としてうんざりするほどあります。ある以上、そこにはいつも幽霊がいるってことなんですよ。それが生身であってもなくても、白くても白くなくてもね。(^_-)☆
あなたは幽霊になっていませんか? 出さずに飲み込んだ言葉が誰にも届かず。掛けられた言葉で自分を動かせず。ただ、黙ってそこにいる幽霊に。
……なっていませんか?
さて。このあとえとわでは、秋らしい微熱感のある話を三つ続け、その後戴いたリクエストにお応えしてから、レギュラーの作話に戻ります。(^^)
『コスモス』とクレヨン描きの無人畑
誰かいるの?
はじまりの唄 by 安藤裕子