日が落ち、月に代わる、わずかの間。
 私は夜気に当たろうとして、ふと家を出たのでございます。

 月は何処かと頭(こうべ)を巡らしたところ、まだ暮れ残る薄闇の中、白い薄衣(うすぎぬ)を纏った娘が二、三人。私からひっそりと顔を背け、門の近くに佇んでおりました。



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 さてもこの辺りでは見ぬ女子(おなご)よと思いながら、その横を通り過ぎようとしたところ、娘の一人に呼び止められました。

「もし」
「何用かな?」
「わたくしども、この辺りに頼れる伝(つて)がまるでのうございます。不躾なお願いですが、一夜の宿を頼めませぬでしょうか?」

 薄衣のみの年頃の娘らが知らぬ土地をさまようなど奇怪極まりなく、さては狐狸の仕業かとも思いましたが、たかが娘。庇を貸すくらいで何の災いのあろうことよ。

「私は何もお構い出来かねまする。それでよろしいかな?」
「軒を貸していただけるだけで充分でございます。ご厚情に感謝いたします」

 色白の娘は、そう言うとほんの少しだけ儚げに微笑みました。

「離れをお使いなされ」
「ありがとうございます」

 私に深々と頭を下げた娘は、くるりと振り向くと大音声で呼ばわりました。



「おっけーっ! 泊まっていいってさー!」
「らっきー!」
「どれどれどれどれっ」
「わあい」
「宴会だあっ!」
「早く行ってよー。後ろつっかえてるしー!」



どやどやどやどやどやどやどやっ!!



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(^^;;




 ええ。庇を貸して母屋を取られるなんてのは、日常茶飯事です。
 いいですか? どんなに色白で儚げな美女だと言っても。



 外人さんの不法侵入、不法滞在は許しませんっ!!(^^;;




 ああ、もちろん、草花のお話ですよ。(^m^)

 ミドリハカタカラクサ
 南米原産の外人さんですね。そんなに凶暴じゃないんちゃうの?
 花を見た人は、みんなそう言うんですよ。

 でもミドリハカタカラクサは、本家ツユクサと違って多年草。節部から根を出して、いくらでも増え広がります。むしってもむしっても小さな破片から再生しますので、根絶が極めて難しくなります。決して、見た目に騙されてはいけないんですよ。(^^;;

 外来生物法では、要注意にランクされていますね。ご用心、ご用心。(^^;;




  転宅や籐椅子猫のものとなる

 無季句。




Because I Told You So by Jonatha Brooke