僕はここにいるよ
僕はがらくたじゃない
ちゃんと生きてて
ここにいるよ
君が見つけてくれたなら
それは僕には
半分嬉しくて
半分嬉しくない
君がそっと見守ってくれるなら
僕は見つかって嬉しい
でも君が僕を捕まえたり
追い払ったりするなら
僕は嬉しくない
だから僕は
隠れている
君に見つかるように
そして
見つからないように
枯れ草の間に潜むようにして。ツチイナゴがじっとうずくまっていました。動かないと、一見してそこにバッタがいるとは分かりません。見事な隠れ技です。
バッタの仲間にもいろいろいるんですが、ツチイナゴには分かりやすい特徴があるので、わたしのような素人にも比較的見分けがつけやすいですね。
そう。彼らは泣いてるんですよ。目の下に、涙の跡のような黒い筋模様があるのが特徴なんです。
涙を乾かせる日が来るのか。それは、長い冬を無事に越せるかどうかにかかってきます。日本のバッタの仲間は、ほとんどが土の中に産みつけられた卵で越冬しますが、ツチイナゴだけは親が冬を越します。
隠れて、隠れて。厳しい冬の王の目をくぐり抜けて、春の女神の手を取れるか。
……がんばってね。
早贄(はやにえ)の足だけ残り蹴る明日
Oblivion by Al Di Meola