書いたことがあったんだけど。

どうしても書きたかったもう一つのこと。

なぜ、性被害の後遺症は長い年月苦しむほどの重度になることがあるのか、ということにもつながる話。


どんなに説明しても想像がつかない、という方がほとんどかも知れませんが。


想像できなくはない体験がある方もいらっしゃるかも知れないので。







自分の話から。

後遺症で苦しんで、少なくとも7年から8年ほどは、かなり強い希死念慮がありました。


20年くらいは前までの話です。


いつ、どこかから飛び降りてもおかしくない状態が続きました。


あまりにも自己肯定感が低くなり過ぎて、後始末を考えると、そんな迷惑をかける価値すら自分にはないと思って実行できないという、おかしな袋小路にいましたよ。


泡のように消えられたら、と願うばかりでしたわ。


そんなある日、母とのちょっとした会話の中で、自分がお腹の中にいた頃の話が出て。


その当時、近所の奥さんから「男の子が二人もいるんだから、もう要らんでしょうが。大変なだけだよ、堕ろさんね」と言われたと。


うちの母には珍しく、苦しんでるおいらを励まそうと思って「そんなことを言われたけど産んだんだよ」的なことを言ってくれたんでしょうね。


その「堕ろさんね」話を聞いた瞬間、自分でもビックリするほど、頭にカーッッッッ!!と血が昇って。


自分でも「何じゃあこりゃぁ!?」だったのだけど。


よくあるキレるとか、感情的になるとか、そんなレベルじゃなく。


魂の底から怒りがグワワワーッッッ!!と沸き上がってくるみたいな。


怒髪天みたいな。



たまたま、ものすごく「死にたい、自分はいなくなるのが正しい」とすら思う気持ちでいっぱいだったからこそ、この感情のほとばしり、というか、生命の、魂の叫びみたいなものが自分の中にあるのを知ったことで。


ああ、本当は死にたいわけじゃないのか、と、自分自身の本当の意志や願いを感じられて、納得。そのままそのことで荒れることはなかった。


たまたま着地点があったわけです。


希死念慮が強い状態になかったら、これに翻弄されて、わけわからず苦しんでいたかも知れない。いいタイミングだったのでしょうね。


回復していく過程はいろいろ、いくつもの積み重ねがありましたけど、この時の体験は大きかった。

この件で爆発的にすぐ回復、するわけはなかったけど、後から思い出してもかなり大きな支え、取っかかりの1つでした。


この頃の数年の間に不思議と、似た話を聞くことが多かった。

近くに住む従姉妹から、長男が最近、自分が産まれる前の、親(彼には祖父)がめちゃめちゃこのデキ婚に反対して腹を蹴って堕ろせと迫った話を大人になってから聞いて頭に血が昇った話を聞かされたり。

(しばらく荒れたけど、後はちゃんと愛されてると納得して落ち着いた)


この従姉妹が離婚した時、親に「世間体が悪いから周りには隠せ」と言われて大きなショックを受けて、どんなに会いたくても、1年以上実家に会いに行くことができなかった話を聞いた。

本人には何の落ち度もない離婚だったにも関わらず。

ズタズタ状態の時に、味方だと信じて疑わなかった両親に味方してもらえなかった、恥と言われた、と感じて、大きなショックにつながった。


朝ドラ「てっぱん」の頃、NHKの番組で、養子縁組とかで血がつながってないと出生の秘密を初めて聞かされた本人が、どんなに愛されていても、のびのび育って温和だった人でも、ショックを受けて荒れて、まったく人が変わったようになることがある、という話の特集をやっていて。



自分の体験から、その時、その人の中で何が起こるのか、を想像することができた。


自分の存在が揺らいで、気持ちの持って行き場、というか、納得のいく着地点が見つかるまで、腹落ちするまで、自分の中で暴れる何かに振り回され続ける。

短期間で済む人もいれば、長い長い期間苦しむ人もいる。


頭で考えられるレベルじゃないことが、その人の中で起こる。

生命に。存在そのものに関わること。

自分の生命は自分で守っているからこそ、揺らぐのだなと感じた。


1人で勝手に産まれてきて、そのまま自然に育つわけじゃない、安心、安全を守られてることが、自分の存在、生命を支えている。


何事も無ければ、バランスが取れた安定した状態で、大きく揺らぐことはない。

それが誰にでも当たり前だろうと信じて疑わない人は、横並びにして考えて、想像がつかないから、苦しんでる人を軽視したりする人もいる、ということなのかも。

でも、どんなに大人になっても、安定したメンタルの持ち主であっても、そういう体験はあるのだと、従姉妹の話から知りましたよ。





しばらくは、着地点になった、頭に血が昇ったあの体験と、性被害の後遺症は別物のように考えていたけど。


1人の意思を持った生身の人間として扱われない、性被害に遭った時、2次被害を受けた時の衝撃は、理不尽であればあるほど、ショックも大きく納得はいかない。

着地点など見つかるものではないから。


恐怖や怒りや悲しみや、いろんなものが駆け巡り、生命を守るために、神経のいろんなスイッチがオフになったり、わけわからん症状に振り回されて疲弊したり。

どんどん無力感でいっぱいになっていく。


元がどんなだったかも、わからないくらい別人になったりする。


着地点なんて、見つけようと思って見つかるわけじゃない。

いろんな積み重ねを経て、その人のタイミングでいくつもやってきて、後から気づくもの。


ものすごく時間がかかるわけで。


そこからも時間を積み重ねていくわけで。


そんな酷いことされなきゃ、そんな時間を過ごすことはないわけで。


ちょっとやそっとの傷ついた話でもなければ、根性で乗り越えられるレベルの話じゃないし。


不幸自慢でもないですよ〜(笑)


陰謀論とかと結びつけちゃう人は、ただ軽視してるだけなのがバレバレっすよ〜。



加害者は平気な顔で当たり前に日常を送り、被害を受けた方はありえないような長い地獄のような日々を送るわけで。


そして、そういう犯罪が減るどころか増える一方で、裁かれることも少なく、刑も軽いことを知ると。


何とかしたいと思うのは当然。


突然、こういう流れになったわけじゃない。


めちゃめちゃ長い歴史がある。


近年、かなり研修しているとは言え、警察に届けても、まともに扱われることは少ない。


まともに扱われた人がいるなら、どこの署かを明らかにして「これがスタンダードになるといい」と発信して下さったら助かりますよね。


権力がある人が相手だと、だいたいは潰されてきたわけで。


今のこの流れがあるから、需要があるから、週刊誌も取り扱うし。

そして、ものすごく勉強してなかったら、ものすごいツッコミが入るわけなので。

これに関しては、しょーもない無知な人は書けんと思います。


あの、完売したという号は、おいらも買っちゃいましたよ。


で、開いて目次見た瞬間「あ〜、しまった週刊誌やったわー」となりましたけど(笑)


結局、例の記事しか読んでなくて、その後どこに行ったかもわからん(笑)


その記事しか、読む必要がなかったし。


ネットで見た内容と大差なかったので。


後は買わんでしょうね。


加害した人に、消えて欲しいとは思わない。

消えるかどうかは、いろんな意味でご本人さん次第なのだし。


裏切られた、みたいに思うほど、イメージがよかったわけでも、大好きだったわけでもない。


ただ、誰かが番組で言っていたけど「今後のお手本になるような対応をして欲しい」は同感です。


これまでのような、加害者がヘラヘラ逃げおおせるパターンになるなら、そういう流れを無理矢理維持しようとするなら、それなりの結果になる気がする。


娘の父親だからこそ、当時とは変化があるのかな、と思うので。


ジーッと見てますよ。


やたら感情的になるでもなく。