『RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~
(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートビーム~)』
Based on SS Rajamouli’s ‘RRR’.
脚本・演出/谷 貴矢
レビュー・シンドローム
『VIOLETOPIA(ヴィオレトピア)』
作・演出/指田 珠子
星組も3月に観劇した。
「RRR」は映画を見ていたので宝塚でどう料理されるのか楽しみだった。
私の主義として原作物はその原作を見るなら出来るだけ、観劇後に見る事としている。
それはどうしても最初に見たイメージが出来上がってしまうからだ。
だが意図せず私が先に本を読んでいたり、映画を見ている事が半分以上ある。
なるべく先入観を捨てて観るようにしているが、やはりイメージというのは中々ぬぐい去れない。
この映画はかなり男性路線であるので、これを宝塚で上演したいと思った谷先生は凄いと思った。
礼真琴、暁千星がガッツリと組んで魅せる。
二大スターの共演と言う感じで良く出来ていた。
ビームを主役としたのは、ムチで打たれながら歌う感動的なシーンがあるからだろう。
内容的には遜色ないが、なぜ舞空瞳のジェニファーとのロマンスに仕上げなかったのか?
なぜそこを変える必要があるの?
最初はビームがジェニーに惹かれて行くのだが、
ジェニーにとってはあくまで「大切な友達」止まりで恋人未満でもなかった。
これって舞空さんが次ぎで退団が決まっていたから、相手役との恋愛を強調したくなかったの?
別に恋に発展したからって、まだこれで退団する訳じゃないし良いと思うんだけどな。
礼真琴&舞空瞳コンビになってから、トップコンビがラブラブな作品って少ない。
トップになる前はどんな素敵なコンビになるだろうとワクワクした。
私は宝塚のロマンスをトップコンビが素敵に魅せてくれる作品が好き。
かつて雪組の早霧せいな&咲妃みゆコンビが人気だったのは、
二人のコンビネーションが絶妙で、二人一対で魅せてくれたからだ。
そういう流れを期待していたけど、今の星組ではそれを観ることは殆ど無かった。
次回作もコメディぽいし(原作は知らない)三谷作品でロマンスなんてかすめもしない感じがする。
なんて勿体無い、コンビを活かしきれていない作品ばかりで終わってしまう。
星組の後花組を見て改めて違いを感じたのは、
柚香光のダンスは宝塚の男役として魅せるダンスであり、
礼真琴のダンスは礼真琴として魅せるダンスではないかと。
芝居の中でのダンスシーンは男役としてみせるのではなく役として踊るから、
礼真琴のダンスの凄さをそこでより感じる。
最初のステップからハッとするなにかを発していて、いつも胸をわしづかみされたような感じになる。
でもなぜかショーでのダンスはそれ程の感動がないのはなぜだろう。
礼真琴の素質を活かした作品に中々巡り会っていない気がする。
このトップコンビの星組ならではの作品が観たかった。
「VIOLETOPIA」は何をテーマにしているのかわからなかった。
舞空瞳に燕尾を着せたのに、あのシチュエーションはなに?
意味不明だった。
プログラムで説明しなければわからないようなショーってどうなの?
最初から作者の作りたい物ありきで、観客は置いてきぼりにされている気がした。