雪組「CITY HUNTER-盗まれたXYZ-」
齋藤吉正(脚本・演出)
キャスト
・冴羽 獠
彩風 咲奈(新人公演)縣 千
・槇村 香
朝月 希和(新人公演)音彩 唯
・ミック・エンジェル
朝美 絢(新人公演)彩海 せら
・槇村 秀幸
綾 凰華(新人公演)眞ノ宮 るい
・海坊主【伊集院 隼人】
縣 千(新人公演)壮海 はるま
・海原 神
夏美 よう(新人公演)一禾 あお
・野上警視総監
奏乃 はると(新人公演)汐聖 風美
シティ-ハンターは原作マンガもアニメも見たことはないので内容は知らない。
ポスターを見てなんとなくコメディなんだと思ってはいた。
そして先日初観劇!
ほぼコメディだった。
原作のペーストを全く知らない者にとってはこのコメディが辛かった。
私がこう言うタイプのコメディが苦手だから
齋藤先生のオタクらしいこだわりで原作を忠実に再現しているのか?
私には原作もこんなおふざけなのか知らないので、どこまで齋藤先生のオリジナルかはわからないが、なぜこれを彩風咲奈のトップお披露目に持ってこなければならなかったのか?
お披露目作品は違うタイプの物にして欲しかった。
コメディタッチは全体的に大きい比重ではないかも知れないが、それは私にはそこばかり強調されたように感じてしまった。
私がこの手のコメディタッチを嫌いでなければ全隊的には良く出来た作品なのかも知れない。
どうしても好き嫌いで作品の善し悪しを語ってしまいがちになる。
咲ちゃんは研一の時から抜擢されていて「この子はトップになる為育てられていくんだろう」と思った。
だが抜擢されてライバルもいない状態でスター街道を歩む者が陥りがちな穴に落ちて、中々這い上がってこなかったように思えた。
途中彩凪翔にまで抜かれて「咲奈危うし!」と思ったが何とか巻き返し翔くんの上に出られたあたりから、やっと心構えができたのか少しづつ変わってきた。
舞台人にとってこの「心の在り方」が大事だ。
その心の持ち用で舞台映えが全く違うことに気づいて欲しい。
何はともあれあの咲ちゃんがとうとうトップになった。
なんかすごく長い道のりだったように思うのは、咲ちゃんがスター街道を歩んでいるのに中々先に進まないように見えた日々が長すぎたからだろうか。
トップになってその立場になって初めて見えてくる景色があるだろう。それをしっかり見据えてこれからきっと彩風咲奈として大きく花開いていく事を期待する。
「シティ-ハンター」としてはどうなんだろう?
マンガ原作を舞台にする場合原作の持つ雰囲気を壊さずいかに原作を忠実に再現するかに重きを置くのか、原作をベースに宝塚らしいエッセンスを加えて独自の作品に仕上げるのか。
ベルばらは後者の方だろう。
ベルばらファンにはかなりバッシングを受けたが原作者をして「宝塚のベルばらは別物」と言うような事を言わしめ独自のの世界観で宝塚のベルばらを確立した。
原作ファンとしては色々思うところはあるが、宝塚のベルばらはもう別世界でキャラを借りているだけと思いながら見ている。
ルパン3世も後者?
ルパン3世は内容を知っているからかコメディタッチであるのは分かっていたが、全然苦にならなかった。
コメディタッチの部分は程よいエッセンスで、全体的にあのルパン3世を良くここまで宝塚での舞台化にしたと感嘆もした。
コメディという部分をいかに処理するか、そこからどう宝塚の舞台で色付けされるのかで作品が大きく変わってくると思う。
こう思うのは私がコメディのこういう処方が嫌いなだけで、他の方の作評を見ると概ね好評価であるからこの作品はけして悪くないんだろう。
やっぱり原作を知っているか否かで評価はわかれるんだろうな・・・
作品内容は原作を知らないから比較できないけど、雪組生も咲ちゃんも伸びやかにやっていた。
咲ちゃん、希和ちゃんもトップお披露目という気負いもなくこの作品の中でしっかり息づいていた。
あえて言うなら朝月希和さんに関しては花組時代から地味な印象だったので、無理して若作りしている感が拭えなかった。
原作はどうであれ希和ちゃんらしくもう少しお姉さんの役にしてもよかったんじゃないかな。
原作ファンばかりが見るわけじゃないんだから、宝塚で上演する以上そこが料理の仕方だと思える。
希和ちゃんが地味だからあえて払拭する為若い作りにしたのか?
朝美 絢ちゃんはせっかくの容貌を生かしきれていないように思った。
色気より子供っぽさがでてしまいあーさの課題はそこかも。
だから男役として二番手としてこれから大成していかねばならない時期の、バウ主演作があの魔法使いになったんだろうと思ってしまった。
あの作品自体の評価より時期的にこの時期の朝美 絢にさせるべき作品だったのかと私は思っていた。
「Fire Fever!」
稲葉太地(作・演出)
稲葉先生だから期待していた。
でも今思い返そうとしても、どれもぼんやりして思いだせない。
なんだろう自分にとって想いが乗せられるかどうかでショーも自分の中に入ってきて残ってゆく度合いが違うのだろう。
私きっとあの日は受入れ態勢が出来てなかったんだと自己判断する。
フィナーレで大階段を皆に迎えられて大羽根を背負って下りてきた咲ちゃんを観て感慨深くちょっとウルっと来てしまった。
良くここまで育ってトップになってくれてありがとう。