10年前に少食に興味を持ち、厳密な一日一食を5年ほど実践したことがあります。

 

昼だけの一日一食で、他の時間は何も食べないか、野菜ジュースなどを飲むという生活です。

 

運動もよくしていて、合気道を習っていましたから、毎日2時間くらいは運動をしていました。

 

その頃の体調は非常に良くて、風邪をひくこともほとんどありませんでした。

 

 

このような食生活をずっと続けていたのですが、ある時から、食事を極端に制限するのは、体に良くないのではないかと思い始めました。

 

運動をしている割には筋肉がつかず、明らかにタンパク質が不足していると思ったからです。

 

このような食生活は本当に健康にいいのだろうか、と疑問を持ち始めたのです。

 

 

そこで、一日一食と決めずに、食べたい時に食べてみようと思いました。

 

一日二食だったり、一食だったり、その時の感覚で自由に変えることにしました。

 

そのように変えてからは、痩せ過ぎるということはなくなりました。

 

ただ、明らかに体調が悪くなっていったのです。

 

 

これは、長年の少食に体が適応したせいだと思い、また普通の食事に慣れれば、体調も安定するだろうと思いました。

 

そう思って、一日二食や、一日一食を繰り返していましたが、やはり一日二食にすると体調が悪くなります。

 

この5年くらい、そのような観察を続けていたのですが、少なくとも私の場合は、食事を減らした方が体調が良くなるということがわかりました。

 

それは食事制限でミトコンドリアが活性化したり、オートファジーの作用で細胞の老廃物が処理されるといった生理的な作用もあるでしょうし、心因的な影響もあるのかもしれません。

 

また、私の体質の影響もあって、インドの伝承医学であるアーユルベーダの体質論では、私はカファという体質です。

 

カファ体質は、太りやすいので、食事制限をすると体調が良くなるそうです。

 

他の体質には、ヴァータやピッタという体質があるのですが、ヴァータ体質の人は、食事制限をすると体調を崩しやすいようです。

 

 

このような経緯で、少食に関して探求してきましたが、もう一度、少食に関する著書を読み直して、私の経験と照らし合わせながら知識を整理したいと考えています。

 

そこで、まずは私が10年前に少食に興味を持ったきっかけになった著書をご紹介します。

 

 

 

この著書は、少しメタボだった著者が、玄米食で一日500kcalの食生活を、一年ほど続けた体験談です。

 

食べたものや体重の変化、健康診断の結果など、かなり厳密にレポートしているので、非常にリアルで、説得力もあります。

 

結論から言えば、この著者の場合、様々な不定愁訴が改善し、劇的に健康になりました。

 

食生活のスタイルとしては、一日三食、玄米食、量はかなり少ないです。

 

玄米、煮物、きんぴら、しらす、味噌汁といった内容です。

 

動物性のものは、小魚程度のようです。

 

 

この方がすごいのは、一気に少食にするのではなくて、段階的にシステマティックに少食にしている点です。

 

数値を重視していて、科学的に検証しようという姿勢が強いのです。

 

まず、少食のレベルをいくつかのステップに分けます。

 

・1400~1500kcal

・1200~1300kcal

・800~900kcal

・400~500kcal

 

最初の半年間は、1400~1500kcalを続けます。

 

この期間に、なぜか物忘れがひどくなったり、急に皮膚炎になったり、健康どころか、むしろ不健康になったのではないかという兆候が現れます。

 

それでも、健康診断の数値は正常値です。

 

 

ところが、半年後から体質が変化し始めて、睡眠時間が4時間になり、疲労感を感じなくなり、頭の回転が早くなり、記憶力も良くなるのです。

 

6ヶ月目には、1200~1300kcalにして、7ヶ月目は、800~900kcalという、かなりの少食にしていきます。

 

そうすると、長年の持病が改善し、なんと白髪まで黒くなり始めるのです。

 

 

8ヶ月目には、400~500kcalにするのですが、6時間のウォーキングもできるほど元気になってしまいます。

 

9ヶ月目には、真冬なのに、全く寒さを感じなくなり、寒さが快適に思えるほどになります。

 

ここでかなり痩せてきたので、再び800~900kcalに戻すのですが、血液検査にも異常はなく、体調も良好です。

 

このようにして12ヶ月の少食を続けるのです。

 

 

この方の少食は、玄米と野菜が中心なので、明らかにタンパク質が不足していると思います。

 

それなのに、血中のタンパク質の数値は、多少は低いものの、それほど問題ではなかったようです。

 

きっと、腸内細菌がタンパク質を合成していたのか、腸内細菌自体がタンパク源になっていたのでしょう。

 

良質な野菜を摂取すれば、そのようなことも可能ではないかと思います。

 

 

私が注目したのは、最初の半年は、あまり調子が良くないのに、それに適応してくると、どんどん健康になっていく点です。

 

著者は、最初の期間に、好転反応が起こったのではないかと考察していました。

 

そういうこともあるでしょうが、きっと少食に体が適応する過程で、ミトコンドリアが活性化していったのではないかと思います。

 

その結果、体が省エネモードになり、少しのエネルギーで活力が湧いてくる状態に変化したのかもしれません。

 

食事を少なくするというのは、人間にとっては大変なストレスなのですが、それを乗り越えたら、体質が変わってしまうということですね。

 

 

このような少食は、万人に勧められるものではないですが、少食療法の効果については、非常にわかりやすいドキュメントになっていると思います。

 

多くの人は、食べないと不健康になると思っていますが、むしろ人間というのは、少食に慣れていけば、食べないことで健康になっていく可能性もあるのかもしれません。

 

それは、ある種のショック療法のようなもので、体が危機感を覚えて、生まれ持った野生の力が引き出されるのかもしれませんね。

 

ということで、健康法に興味のある方は、参考にしてみてください。