【随想】小説を書き始めて五か月、ある結果と予想外の景色。
アルファポリスの『第9回ライト文芸大賞』の結果が公表されました。公式データに基づく事実の記録は、noteに置いてあります。アルファポリス『第9回ライト文芸大賞』の結果の記録|水井伸輔|言葉のオクターブ――インターバルの物語、世界の未規定性への接続アルファポリス『第9回ライト文芸大賞』の結果が発表されました。 私の短編小説『「しんすけ!」』は、受賞には至りませんでした。まずは、この結果をご報告いたします。応援してくださった皆さまに、心より御礼申し上げます。 今回のライト文芸大賞には、全1,682作品が応募されました。 『「しんすけ!」』は、私が2月に小説を書き始め、4月に執筆した短編作品です。5…note.com結果を受けて痛感したのは、私の作品がそもそも「ライト文芸」という枠組みには収まらないものだった、ということです。たとえるなら、ファストフードの選手権に、松花堂弁当を持ち込んでしまったようなものかもしれません。私の文体は、登場人物の感情や内面を書かない写実文体です。動作と情景だけを積み重ね、読者がそこから登場人物の思考や感情を読み解いていく。これは、純文学の世界でも、かなり尖った書き方です。ましてやネット小説の世界では、むしろ真逆のベクトルを向いています。皆がファストフードを楽しもうとしている場に、松花堂弁当を出してしまったわけです。正直言えば、応募した段階で、ほぼ評価されることはないだろうと思っていました。ところが、ふたを開けてみると、最高順位12位まで上がっていた。私には、大変興味深い現象でした。松花堂弁当だから誰も食べなかったのではなく、ファストフードのコンクールで、読者投票がそれなりに入ってしまったという事実です。一切の組織票も固定ファンもない状態で、1,682作品の中でその順位まで届いた。これは、行間を能動的に読み解くことを楽しんでくださる方々がネットの世界にも確かに存在する、ということです。この予想外の景色が、自分の作品への大きな自信になりました。本格的に小説を書き始めて、まだ五か月です。現在連載中の『エラーコード:愛』の完結後は、『「しんすけ!」』の地続きとなる続編『宮島』の執筆に入る予定です。たった一日の出来事を、徹底的に深く掘り下げる作品にしようと考えています。これは私にとっての新たな挑戦です。そのモチベーションを与えてくれたという意味で、「ライト文芸大賞」に応募して良かったと思っています。今後は、自分の写実スタイルが本来向かうべき場所――文芸誌の新人賞へ向けた執筆にも注力していくつもりです。改めて、作品を支えてくださった読者の皆さまに、心より御礼申し上げます。「しんすけ!」 | ライト文芸小説 | 小説投稿サイトのアルファポリス僕を下の名前で呼ぶのは、君だけだった。 ――昭和59年。広島。 小学四年生の「僕」は、男たちの粗野な集団が苦手だった。 ひんやりとした六角形の図書館の片隅で、ただ一人、世界のノイズから逃れるように本を読んでいた。 そんな僕を、土埃の舞う眩しい世界へと引っ張り出す友達がいた。 大人になる前の、あの無防備で残酷な季節。 …www.alphapolis.co.jp