2、練習方法とその目的 −1

練習方法は、7回弾く
その目的は、間違えずに弾く

まず、先にお話しした、「弾き切る」ことに最初に取り組みますが、どの様な形でも、とりあえずは最後まで弾く自信が持てない頃は、止まろうと、弾き直そうと、和音を1音1音拾おうと、とにかく最後まで「鍵盤を押さえ」ます。

当然、時間はかかります。

曲によっては何ヶ月もかかるかもしれません。

この段階は、いわゆる「譜読み」です。

ピアニストやピアノを長い時間かけて練習してこられた方々は「譜読み」は、曲にもよるのでしょうが、数時間程度で終えられる様です。

これは、先にお話しした1万時間以上の練習をピアノに費やしてこられたから、数時間で済むのであって、ピアノを弾き始めた方、ピアノを練習途中の方が「譜読み」に何日も、場合によっては何ヶ月もかかることは、極々当然のことです。

ここでは、誰もが持つ「記憶」を利用してピアノを弾くことを考えているので、この、「鍵盤を押さえるだけ」でも最後まで弾き切ることは、「鍵盤を押さえたことがある」という「記憶」、しかも、「無意識の記憶」として残ります。

「このフレーズを弾いたことがある」は、「弾ける」ことが条件になるので、誰にでも可能なこととは言えないのですが、「このフレーズ、押さえたことがある」は、丁寧に1つ1つの音を拾っていけば誰にでも可能です。


数ヶ月から数年かかるかもしれませんが、「弾き切る」ことが当たり前になったら、最初に弾き切ることにこだわる必要は無くなります。

その場合、いきなり「練習」に入ることもアリだと思います。

そして、その「練習」の目的は、「間違えずに弾く」ことですが、ほとんどの場合、当然の様に最初はイメージ通りに弾けません。

ピアノの場合、楽譜の音を認識し、実際の音に変換していくのですが、これは88の鍵盤の中から正しく、楽譜に指定された音を選ぶことを意味します。

この作業にかかる時間は、当然経験に左右されますが、持っているイメージよりも1音1音の変換にかかる時間が
長くかかる場合、「ゆっくり弾か」なければいけなくなります。

つまり、経験が浅い段階で、最初は弾く速さを落として弾くことは至極当然のこととなります。

「ゆっくり弾く」こともできないので、ピアノが弾けないとなるのでしょうが、ここでは、弾けないのではなく、適切な手順を踏んだ練習をしていないと考えます。

つまり、適切な手順を踏めばピアノは誰でも弾けると考えることができると言うことです。

「ゆっくり弾く」ことについては別項を設けることとして、今回は「間違えずに弾く」ためにはどうするかです。


「間違えずに弾く」練習はズバリ、「7回弾き」です。

7回という回数は、人にも、曲にも、練習する箇所にも、練習の進み具合にもよりますが、±2回、つまり最低でも5回、最高でも9〜10回と考えます。

この7回には無条件と条件付きがあります。

いずれの場合も間違ったまま、また、上手く弾けないまま7回弾くことは厳禁です。

上手く弾けなくても、間違えずに正確に弾くのはアリです。
難しいところを、極端にでも遅くして正しい音を弾くのもアリです。

情報として、「楽譜上の音」、「その音に対応した鍵」が正確に処理、つまり、「弾けて」さえいれば、速さ、リズム、音価などは後に修正できます。