ピアノを「記憶で弾く」ときに、もう1つ押さえておく大切なコトがあります。
それは、「記憶には段階がある」コトです。
この段階を、ピアノの練習にあてはめると、
1、 弾いたことを覚えている
2、 楽譜があれば思い出しながら弾ける
3、 楽譜があれば思い出さずに弾ける
4、 自然に弾ける
となります。
ピアノの練習に限ったことではないと思いますが、
物事の練習を始めた頃は、つい完成形に目が向きがちです。
しかし、素晴らしい完成形であればあるほど、そこまでに費やされた時間と労力は膨大で、到達までの道順は千差万別です。
そして、その練習が、どの段階にあるかをなにかしらイメージできることは、海図なしで大海原を航海することに比べれば、どれだけの助けになるかは、容易に想像できると思います。
たくさんある海図の1つが、この「記憶には段階がある」コトです。
1、 弾いたことを覚えている
これは、その曲の、その部分の練習をしたこと自体を覚えているかどうかということです。
その部分が練習をしたことで弾ける様になったかどうかではなく、ただ弾いたかどうかという意味です。
前回の練習でその部分を練習したこと、8小節目まで練習したのであれば、8小節目までは弾いたことを覚えていて、9小節目以降は練習していないので、この第一段階での記憶は、「8小節目までを弾いたことを覚えている」となります。
特別なことは何ひとつ言っていませんが、この事は意外と大切です。
きのう、数日前はともかく、数十年前でもその曲を「弾いたことがある」という記憶に思い当たりがありませんか?
弾けたかどうかではなく、「弾いたことがある」かどうかです。
「記憶で弾く」ピアノの練習はすべてここから始まります。
次はもちろん、どうやって「弾けるようになるか」です。