基礎練習は大切です。

 

基礎練習と言えば、ハノンを一番に思い浮かべます。

私見ですが、ハノンは専門家向けの基礎訓練書だと思います。

 

前半のとっつき易さと「均等に」弾指が動くためという魅力的な言い回しから、練習の初期段階から弾いていらっしゃる方も多いと思います。

もちろんハノン自体は目的と効果を理解して使えば素晴らしい本だと思いますが、惰性で弾ける分、基礎練習をしている気分になりやすい点に注意が必要だと思います。

また、ハノンの前半はハ長調で書いてあり、全調とリズムの変化まで指示があります。ハ長調はピアノの曲の中では特殊な調です。白鍵だけで弾く曲は商業目的の曲しかないと言ってもいいかもしれません。

また、前半のハノンは上昇、下降の1小節目の指使いと手の形をそのまま使うので、場合によっては考えずに弾けてしまいます。

仮に十分に使いこなせるようになったとしても、プロが弾いても1時間半かかると聞くこの本は、適切な指導、考え無く毎日の基礎練習に採用するには、適していないと思います。


大人になってピアノを始める際に、大切なことに練習時間があります。

私は、1日30分、週4~5日を目安に考えています。これはできるだけ無理なく確保できる時間という面もありますが、集中が持続できる時間を考えています。ヒトが集中できる時間には諸説ありますが、大人が始めるピアノでは、出来ないことの練習が主になるので、出来ないことに集中するのは15分程度と考えるのが妥当だと思います。この15分を核にした30分が1日の練習時間と考えると、基礎練習は10分程度です。

 

この10分での基礎練習にハノンを選ぶには、はっきりとした目的、指導が必要だと思います。

 

では、私のおすすめは、ショパンエチュード10-1か10-3です。もちろん、最初の段階からです。