10月14日「北朝鮮工作員の背乗りについて」と題し、特定失踪者問題調査会 荒木代表によるショートメッセージが配信されました。

 背乗りとは、工作員が実在人物に成りすますこと。英語ではlegalization(リーガリーゼーション=身分を合法化する)と表現され、ソ連のKGBがよく使った手法といわれます。

 

 北朝鮮による工作活動で具体的な例として昭和55年、大阪在住で政府認定拉致被害者の原敕晁さん(当時43歳)を騙し、宮崎県青島海岸へ連れ出し拉致したのち辛光洙(シン ガンス)が、原さん名義の旅券を作り、原敕晁として堂々と生活し、工作活動を行っていました。

 背乗りされても分からないようにするために、身寄りがない等の条件が整った方を拉致対象とすることから、他にも背乗りが目的で拉致されたと考えられる方々が複数おられます。

では、どうしたら背乗りが発覚するのかといえば工作員が何らかの失敗で逮捕された場合であり、成功している限りそれが浮上することはありません。つまりどこかで背乗りした人物が存在し続けている可能性が大ということです。

 

 はじめにKGBがよく使ったと書きましたが、荒木代表の話では日本映画「陸軍中野学校 開戦前夜」で出て来るそうで金正日はこの映画が大好きであったことがヒントになった可能性もあるとのこと。

 また、荒木代表は政府が拉致被害者全員の帰国実現をスローガンとしていることは政治メッセージとしては確かにそうですが、全員の帰国を実現したとすると背乗りで拉致された方が存在することによって日本に潜伏する、その方に成りすました工作員を炙り出すことになり、北朝鮮がわざわざ自国工作員を炙り出すことをすることはあり得ないと考えることが普通であると指摘。

 つまり我が国としては表向きメッセージと併行し、背乗りの実態をとことん調べる必要があります。そういう意味では、国勢調査の在り方も含めアンテナの拡げ方も再考が必要だと思う次第です。

 

参照:特定失踪者問題調査会 荒木代表ショートメッセージ

https://youtu.be/MS6jRVZmqqU

 

 

参照:警察庁 辛光洙(シン ガンス)事件