<世田谷区、ついに待機児童ゼロ!>は本当なのでしょうか。

 

5月27日の福祉保健委員会にて、令和2年度4月1日現在の保育待機児童ゼロとの報告があり、また、同日夕方の区長記者会見でも発表されました。




NHKは夕方のニュースですぐに流していましたが、その内容は不十分だと感じました。

翌日の朝日新聞の記事が今回の待機児童ゼロの実態を表していると思います。

 

世田谷区、待機児童「ゼロ」 「潜在」474人

 

東京)世田谷区、待機児童「ゼロ」 「潜在」474人:朝日新聞デジタル待機児童数で全国ワースト1位の常連だった東京都世田谷区は27日、今年4月1日現在の待機児童数がゼロになったと発表した。育児休業の延長を希望し、すぐに復職の意思がない人を国の基準に沿って待機児童から外…リンク朝日新聞デジタル

 


 記事を読むとお分かりの様に、本当にこれで「待機児童ゼロ!」「もう保活しなくて良いのね!」ということにはならないとすぐ理解できますね。

 

大きな理由は2つ。

待機児童算出の内訳表を確認します。




1.今回の数値には育休延長を希望する人(不承諾通知が必要で保育園を申し込んだ人)を申込時点で把握し、その人数、328人分は4月1日時点では保育の必要性がないと判断したこと。つまり、待機児童数から引く。


→上記画像の上のマーカー箇所。

 

2.「自宅から30分未満(半径2㎞以内)で登園可能な距離の特定教育・保育施設等に空きがありながら入所出来ていない児童数」が474人もいること。この人数も待機児童数から引く。

 

→上記画像の下のマーカー箇所。

 

 

 

朝日新聞の記事タイトルにもある「474人」はこの表を根拠にしています。


その「474人」の内訳を確認すると、6割が指数100に満たなく、求職中の方や勤務時間が短い人が多いようです。

 

私は昨年の第2回定例会においても「多様な保育」の必要性を訴えてきました。

フルタイム勤務でないと入園できない状況は働き方改革に逆行します。

保育園に入るために無理にフルタイムを選択させるような「制度に合わせた子育て」から、「子どもの育ちに合わせた働き方」が選択できるような整備を目指すときではないでしょうか。

 

世田谷区は、これまで必死に認可保育園整備をしてきました。

今回、初めて「待機児童ゼロ」をまずクリアできたのであれば、次のテーマ「多様な保育ニーズに応える保育園」の整備と調整を進めていくべきです。

 

そして認可園整備をこれで止めてはいけないと考えます。


なぜならば、これは私の予想ですが、新型コロナウィルスの影響により、家計を担うために共働きを選択するご家庭も増える可能性があると考えます。多くはほかの保護者同様、認可園を希望するでしょう。


さらには、今回の新型コロナウイルス対策による登園自粛要請の際、様々な点で認可園の方が優遇されていました。


たとえば、下記のようなことが実際にありました。

・自粛で登園しなかった場合、認可園はすぐに保育料減免のお知らせがあったが、企業主導型をはじめ、認可外はその適応がすぐになされなかった。

・消毒薬やマスクの配布も認可園、または、それに準ずる区の補助を受けている園に配布されたが、上記同様、企業主導型をはじめとする認可外は配布されなかった。

 

ご相談を受ける中でも「やっぱり認可園がいい」と感じた方は少なからずいらっしゃいました。

先日、やっと国の内閣委員会でこのことを指摘した質問が野党側から出されましたが、認可園の対応と比較して遅れていることはまぎれもない事実です。

 

世田谷区には、「多様な保育」のスキーム作りに早急に着手するよう、より一層強く求めていきます。