★「宝島」(真藤順丈・講談社)祝、直木賞! | 天空で昼食を

★「宝島」(真藤順丈・講談社)祝、直木賞!

宝島」(真藤順丈・講談社)。直木賞選考で圧倒的な票を集めたという。近所の書店では売り切れ、Amazonでも28日迄入荷待ち。読んだ人のレビューは熱量が凄い。紙の本が好きな自分だが待ちきれずkindleで読んだ。

 

 

 

感想→ 【すべての人に読んでほしい】

終戦直後から本土返還までの沖縄が舞台。20年を経て警官・教師・テロリストになった3人の幼なじみが、姿を消した彼らの英雄を探し求める物語。

 

≪あえて言葉にしなくても、沖縄人たちは知っている。

中国の冊封体制下にあった琉球王国の御代から、ヤマト世、アメリカ世と支配体制が変わる中で、そのつどの苦難を「なんくるないさ」でしのいできたからこそ、この世の摂理はどんなときでも移り気で、不変のものなんてありはしないと知っている。kindle No.1984より)

 

現在も続く基地問題、数々の実際起こった哀しい未解決事件、実在した日本の政治家や米国の高等弁務官も出てくる。しんどい内容ではある。しかし時々、茶々を入れ、ユーモアあふれる語り部の文体によって、明るくさらさらと読めてしまう。

 

そして最後まで読み進めたあかつきには素晴らしいギフトがあった。No.8671からが、そのギフト。特にNo.8707から最終頁迄は、暗唱したい位。本を閉じたあと、目の前に美ら海が広がる。たくさんの、沢山の人に、この頁までたどり着いてほしい。

だから、ぶ厚い546ページであろうとそんなの「なんくるないさ」! 読み終わった後を共有したい、心からそう思った。

 

優れた小説は幾通りもの読み方が出来る。この本も「謎解きエンタメ」「家族物語」「英雄と叙事詩」「恋愛小説」「教育もの」「警察もの」「国際スパイ」「リゾートライフ」「中央と地方」等、切り口を変えて読み直す毎に新しい感想が生まれるとも思う。祝直木賞!