『つれなき美女』

ウォルター・クレイン

(1865年)

 

 

 

***2019年12月7日の日記***

 

 

そんな美大の彼女に、

想いをよせる男の子がいました。

 

 

彼もまた、

美大の彼女やパートの彼女と同じく、

オープニング・スタッフのひとりで。

 

フリーターでした。

 

年はたしか、

美大の彼女よりも、

少し下だったと思います。

 

 

彼もまた、

目指していたものがあり。

 

それは、

ミュージシャンでした。

 

たしか、

ギターを弾いていたのだったと

思います。

 

 

彼は、

誰に対しても感じが良く。

 

目上の人に対する礼儀も、

しっかりしている子でした。

 

 

・・・と同時に。

 

どこか掴みどころのない。というか、

飄々としている。というか。

 

そんな感じの子でも

ありました。

 

 

そして。

 

あのお店の中では唯一、

店長が気を許している存在でも

あったような気がします。

 

 

あの店長は。

 

女癖が悪いわりには、

どこかで女性を怖がっているように、

 

私には見えていました。

 

 

女性に対して、異常に強気で。

やたら、態度が大げさで。

 

なんだか。

 

女性に対して、

何かコンプレックスでも

あるのかしら?

 

・・・なんて、思っていました。

 

 

なので店長は。

 

私と話している時でも、

なんだかいつも。

 

どこかで張り合ってくるというか、

虚勢を張っているような

ところがありましたが。

 

その、

ギターの彼の前でだけは、

 

店長は若干、

自然体でいるような感じが

していました。

 

 

ギターの彼も、

そこらへんの自覚があったようで、

 

他の人が言えないことを、

店長に言ってくれたりすることも

あったようですが。

 

かと言って、美大の彼女のように、

店長と一緒になって、

他の人に辛く当たる。

 

・・・ということは一切なく。

 

周りの子達からも慕われ、

頼りにされていました。

 

 

そんな中。

 

あのパートの彼女だけは、

 

「あの子は、

本当に気がつかなくて。

 

長くやってるのに、

仕事が出来ないんだから」

 

・・・と、

よくブツブツ言っていました真顔

 

 

彼女は彼のことを。

 

完全に、

子供扱いしていたようでした。

 

 

*******

 

 

ある日の休憩室で

ギターの彼と会うと、

 

彼は、こう言いました。

 

 

「Lyricaさん、知ってました?

俺、Lyricaさんと同じ高校出身

なんですよ」

 

 

・・・と驚き

 

 

なんと彼は、

私の高校の後輩だったのです。

 

かなり年の離れた

後輩でしたけどニコニコ

 

 

そのあと彼は、

 

「〇〇君も、同じ高校出身ですよ」

 

・・・とも言っていたのですが、

 

私はこの「〇〇君」の

顔も名前も。

 

今はまったく覚えていなくてにやり

 

 

その子とも、

結構長く一緒に働いていた

はずなのですが。

 

なぜか今、

その子に関する記憶が、

まったくないのです真顔

 

 

あまり接点はなかったとは言え。

 

こんなに綺麗さっぱり

忘れてしまっているのには

びっくりです真顔

 

 

自分の記憶の中に。

 

鮮明に残っている人と、

まったく残っていない人。

 

この差はなんなのだろう?

 

・・・と、よく思います。

 

 

それはともかく。

 

そのことがキッカケで、

ギターの彼とはその後も

よく話すようになり。

 

彼もだんだんと、

自分のことを話してくれるように

なっていきましたおやすみ

 

 

*******

 

 

ギターの彼もまた、

悩みを持っていて。

 

それは、

美大の彼女と同じように、

「将来」のことでしたが。

 

彼はまだまだ、

夢を諦めたくない。

 

・・・というか、

まだ必死で追い続けていたい。

 

・・・みたいな感じでした。

 

 

「悩み」と書くと、

重々しく感じますが。

 

でも彼も、美大の彼女も。

 

どこか、

清々しかったのを覚えていますおやすみ

 

 

ギターの彼も、

美大の彼女も。

 

そして、あの店長も。

 

彼らはそれぞれに、

何かを目指して。

 

ちゃんと、

頑張ってきた人たちでした。

 

たとえその夢が

叶わなかったとしても。

 

その夢を追いかけて、

そこを目指して頑張ってきた人が。

 

私は好きみたいですにっこり

 

 

そのギターの彼が。

 

あの美大の彼女のことを好き。

 

・・・ということは、

実はもう周知の事実で。

 

美大の彼女本人も、

そのことは知っていたようです。

 

 

美大の彼女やギターの彼と話すとき、

 

私はお互いから

それぞれの本音を聞いていたので、

 

少しやりづらかったりもしましたにやり

 

 

そしてその話に関して、

私が普通に相談できたのは、

 

意外にも店長で。

 

 

そう言えば店長は。

 

「あいつ(ギターの彼)がもっと、

強気で押せばいいんだよ。

相手に気を遣ってばかりじゃダメだ」

 

・・・なんて。

 

すごくじれったそうに

話していたっけ。とおやすみ

 

 

「そんなこと言うけど。

 

じゃあ、店長だったら、

どういうやり方でいくんですか?」

 

・・・と、あえて訊いてみたら、

彼はすごく饒舌に語りだし。

 

私の休憩時間は、

それですべて潰れて。

 

訊かなきゃよかった。

 

・・・と、後悔したものですニコニコ

 

 

*******

 

 

パートの彼女は、

 

「あの子のどこがいいのかしら?

彼も見る目がないわよね」

 

・・・と言っていました真顔

 

 

やっぱり。

 

彼女だけは少し、

 

物の見方や感じ方が、

私達とは違うタイプだったなぁ。と。

 

こうやって思い出しながら

書いていると、

 

それをしみじみ感じます。

 

 

そういう質の違いを、

 

「火と水の違い」

 

・・・という風に、

シンプルに喩えられてしまう

占星術って。

 

ある意味、

すごく便利だと思いますニコニコ

 

 

持っている質(フィルター)が

違えば、

 

物事の見え方もまた、

変わってくる。

 

 

だから。

 

この同じ出来事を、私ではなく。

あのパートの彼女が

書いたとしたら。

 

それはまったく、

違う物語になるのだろう。と。

 

そんな風に思いますおやすみ

 

 

つづく

 

 

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