原処分主義がわからないと嘆くあなたへ
4月&5月の開講情報
渋谷駅前本校における4月&5月の開講情報です。
4月23日15時30分 合格講座一般知識・諸法令第1回
5月5日14時 合格講座民法(債権家族)第1回
5月16日19時 合格講座憲法第1回
全て無料体験受講できます。
詳しくは渋谷駅前本校(0334645001)までお問い合わせください。
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10条2項
今年から出題が復活する行政書士法。
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そして5月3日はGW恒例のあの道場です。
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お申し込みは5月2日までです。
さてこちらの条文をご覧ください。
あ、これは行政事件訴訟法10条2項です。
処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
何を規定している条文かわかりましたか?
そうですね。
「原処分主義」に関する条文です。
ただぱっと見読み取りにくい表現だなと感じる方は少なくない。
そういうときは具体的に考えてみましょう。
Aの申請に対して建築主事が建築確認(処分)をだした。
ただ周辺の住民Bらは建築確認には違法性があると考えている。
Bらはひとまず建築審査会に審査請求をしてみることにしました。
建築審査会はBらの主張を認めず、棄却裁決が出されました。
この場合、建築基準法上、国土交通大臣に対する再審査請求をすることもできますが、それをやらずに取消訴訟を提起しても構いません。
そこでBらは取消訴訟を提起することにしました。
ただ、取消訴訟には、処分の取消しの訴えと裁決の取消しの訴えがあります。
建築基準法に取消訴訟に関して特別な規定は特に置かれていません。
Bらはせっかくなので両方使ってみることにしました。
改めて行政事件訴訟法10条2項を見てください。
処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
冒頭の「処分の取消しの訴え」は、この事例の場合建築確認の取消しの訴えです。
「その処分についての審査請求。棄却した裁決の取消しの訴え」は、建築審査会がだした棄却裁決の取消しの訴えです。
どちらも提起はできますが、だからこそ使い分けないと、同じことをバラバラにそれぞれの訴えで審理することになりかねません。
そこで、こんなルールを置いたのです。
・処分の取消しの訴えでは、処分がおかしいだろ(処分の違法性)を扱う
・裁決の取消しの訴えでは、裁決がおかしいだろ(裁決の違法性)を扱う
つまり、両者で扱う内容を分けることで、審理の重複を防ごうとしているというわけです。
その結果、10条2項は「裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない」と規定しているのですね。
「混ぜるな!危険⚠️」ということです。
もちろん、審査請求前置が求められている場面で、なおかつその裁決に対してのみ取消訴訟ができると期待されているとき🟰「裁決主義」が取られているときは、「混ぜるな!危険⚠️」は気にする必要がありません。
たとえば地方税法434条1項が「裁決主義」のひとつの例です。
固定資産税の納税者は、固定資産評価審査委員会の決定に不服があるときは、その取消しの訴えを提起することができる。
固定資産税の課税処分に不服がある人は、まず固定資産評価委員会に審査を申し立てなければなりません。
委員会の決定に不服があるときは、決定の取消しの訴えを提起してくださいと規定するのが、この条文です。
このときは、決定の取消しの訴えしか提起できませんので、審理の重複とか判決の矛盾とか心配しなくて良いわけです。
ですから、決定の取消しの訴えでは、原告は課税処分の違法性も、決定自体は違法性もどちらも主張が認められます。
まぁ今回の課税処分が裁決主義の対象かどうかなんて一般の人はわからないと思われます。
そこで、行政事件訴訟法46条2項の出番です。
行政庁は、法律に処分についての審査請求に対する裁決に対してのみ取消訴訟を提起することができる旨の定めがある場合において、当該処分をするときは、当該処分の相手方に対し、法律にその定めがある旨を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
課税処分をするときに、相手方に今回は「裁決主義」があるよと教示することが求められています。
処分を口頭でするときは、教示は不要です。
おまけ
円安がとまりません。
インバウンドは好調なんでしょうけれど、国内の製造業は息の根を止められるレベルの円安です。
単独で為替介入したところで、効果はたかが知れています。
政府に危機感がみられないのも懸念材料です。
共同親権に関する民法改正は後回しでも良いはずです。
いまは円安対策に力を入れる姿勢を見せないと、取り返しがつかないことになります。