司法権の判例について判例変更がありました
本日最高裁大法廷において、従来の判例を変更する内容の判決が言い渡されました。
具体的には、「部分社会の法理」に関するものです。
もともと内部ルールがしっかりしている組織である部分社会については、外部と関わる問題(「一般市民法秩序」といいます)でなければ、その自主的自律的判断に委ねる立場を最高裁は採っていますね。
地方議会は、部分社会の具体例のひとつです。
除名処分は一般市民法秩序と関わる問題ですから司法審査は及びますが、出席停止処分は内部問題なので、及ばないとするのが従来の最高裁の立場でした。
最高裁は、この出席停止処分の取消しや、出席停止処分にもとづき減額された報酬の支払いを求める裁判において、従来の判断を変更し、出席停止処分について司法審査の対象になるという
判断を示しました。
以下簡単に判決文を要約します。
・出席停止の懲罰は,住民の代表としてその意思を当該普通地方公共団体の意思決定に反映させるべく活動する責務を負う公選の議員に対し,議会がその権能において科する処分である。
・これが科されると,当該議員はその期間,会議及び委員会への出席が停止され,議事に参与して議決に加わるなどの議員としての中核的な活動をすることができない。
・その結果、住民の負託を受けた議員としての責務を十分に果たすことができなくなる。
・このような出席停止の懲罰の性質や議員活動に対する制約の程度に照らすと,これが議員の権利行使の一時的制限にすぎないものとして,その適否が専ら議会の自主的,自律的な解決に委ねられるべきであるということはできない。
・そうすると,出席停止の懲罰は,議会の自律的な権能に基づいてされたものとして,議会に一定の裁量が認められるべきであるものの,裁判所は,常にその適否を判断することができる