<一部加筆しました>旧高根町の水道料金に関する条例にまつわる判例 | 横溝慎一郎行政書士合格ブログ  

<一部加筆しました>旧高根町の水道料金に関する条例にまつわる判例

旧高根町(現北杜市)は清里高原という有名な避暑地があるところです。

この町で昭和63年に「高根町簡易水道事業給水条例」が制定されました。この条例が平成5年に改正された際にちょっとした問題が起こりました。

というのは、別荘所有者など住民票登録がない契約者の1か月の基本料金が3000円から5000円に値上がりしたのに対して、住民票登録のある契約者の1か月の基本料金は1300円から1400円に値上がりしたにとどまっていたからです。そりゃ別荘所有者は怒りますよね。

ということで、このような状態に対して、
① 本条例の無効確認請求(行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟です)

② 別荘給水契約者に係る改定後の基本料金と改定前の基本料金との差額分に関し、未払水道料金の債務不存在確認と支払済みの水道料金相当額の不当利得返還又は不法行為による損害賠償請求等

に関する裁判を起こしたのです。

この裁判の最高裁判所の判決が平成18年7月14日にだされました。

まず①無効等確認訴訟に関しては、条例は特定の人にのみ向けて条例制定行為には処分性が認められないとして、訴えは却下されるべきであるとしています。条例制定行為は抗告訴訟の対象としてふさわしくない(「処分性」がない)ということです。

また②水道施設のような「公の施設」については、住民票登録していない別荘所有者に対しても、地方自治法244条3項(「普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。」)の適用があるともしました。

そして今回の条例改正による水道料金の改定は、地方自治法244条3項に反し、無効としました。
その結果、未払水道料金の債務不存在確認と支払済みの水道料金相当額の不当利得返還又は不法行為による損害賠償が認められたのです。

ちなみに②については2010年問題21(3)で出題されました。

「公の施設の利用関係において、一定の地方税の負担をしているような「住民に準ずる地位にある者」には、住民と同様に、不当な差別的取扱いの禁止を定めた地方自治法244条3項の規律が及ぶ」

もちろんこれは○ですね。



ペタしてね