イコノロジーとせんかく部分感想
エルヴィン・パノフスキー「イコノロジー研究――ルネサンス美術における人文主義の諸テーマ」美術出版社
美術関連の専門書なんて読むのは初めてだったのでとても難解だった。なにが難しいって、まず訳本独特の表現方法。それから話題が抽象的だということ。
著者の考える抽象的な概念を、正確に正確に言葉で伝えようとしているのはわかるんだけど、2度3度読まないとほとんど解らなかった。けれど3度目くらいには頭の中がまとまって、それからまとめの表を見たら「分かりやすい!…かも!」と思えたから、…まずまず読めたのかな。
しかし序論にこんな体力を使うなんて、本論読みだしたら大変なことになっただろうなぁ。
ありがとう先生、課題はここまでにしてくれて。
原田禹雄「尖閣諸島 冊封琉球使録を読む」榕樹書林
冊封史録の口語訳からおもしろかったもの↓
< 夏子陽・王士楨『使琉球録』 >
海図(絵)プラス航路の記述と、その航海に関する日記。二つをちゃんと見比べてみたら、日記の文中に海が荒れたという記述があった場所では、図にもちゃんと渦巻きがぐるぐる描かれていた。概してテキトーな図だと思っていたのでwちょっと感心。
この航海図、「○○という島を目標にしてどの方向にどれだけの距離を行った」ということを羅列しているだけなんだけど、その文章が海の波間に書かれているのがオシャレ。しかも一直線じゃなく、波間を漂うようにうねうね書かれているのが、雰囲気を伝えようとしているようで素敵です。
でもこれらの絵、船の航路を一直線に見立てて描いているから、方向や距離が何も反映されていなくてまったくわからない。あえて絵にする意味ってあったんだろうか…
< 胡靖『琉球図記』一巻 >
おもしろいこと①フリーダム胡靖(コセイ)さん
航海中に起こったことや見たものがすごく具体的に書かれていたので、「あれ?今までの琉球使録と違うなー」と思っていたら案の定、注の(6)で笑ってしまった。
「(6)胡靖は、従客という気楽な身分なので、標識島のことなど、全然、気にしていない。」
なるほどね!だって島のことなんて何も書いてないもんね!どんな魚がいたかってことのほうが重要だったんだね!
…胡靖さんかわゆし。それと著者の書き方も冷静で笑いを誘う。
おもしろかったこと②龍王の参朝
胡靖さんの筆がおもしろいように滑った魚たちの大集合。これが尋常じゃなかったので、偉い人に意見を求めたところ、造船を担当していた将校(だから海にも詳しいんだろうか?)である督造官が、それは冊封船(…皇帝の詔勅が奉安されている)に対して龍王があいさつにやってきたのだ、と言う。で、その海の荒れを治めるために何をするかっていうと、
「参朝しなくてもよいという『免朝』の文字を書き、船首にかかげる。これを免朝牌という。異変除けのマジナイのひとつである。」
だそうな。
それで「あ、あいさつしないでいいんだ!」ってなるわけだから龍王かわゆし。そしてそれをやれば海が鎮まるというのもすごい話。
読んでる/読まなきゃの本追加分
- 水野敬三郎『奈良・京都の古寺めぐり』岩波ジュニア新書89、岩波書店
- ルース・ベネディクト(著)、ジェイク・ロナルドソン(リライト)『ラダーシリーズ The Chrysanthemum and the Sword 菊と刀』IBCパブリッシング
sen.kaku
p22~
「過溝」について
海が荒れたりしたときに、それを鎮めるためにおこなう儀礼のひとつ。中国の海と琉球の海の境にあると(中国人が)信じていた「黒水溝」が、海の難所として特に恐れられていたそうな。
確かに、海の色が変わったら「なんで!?」って思う。そこに割れ目があって水が逃げていくって考え方だったら本当に怖かっただろうな…
その過溝の法の説明中に疑問
・「降箕の法」とは何か?
……「日本のコックリサンと同様の」と説明がされているけど、日本のコックリサンは明治以降西洋起源のものらしいし。気になる。降箕の法は日本に入ってこなかったのかなぁ。入ってきそうなのに。
ぱーっと読んだけど、著者の井上清に対する怒りでおなかいっぱい。毒舌っぷりが笑える。
結局尖閣諸島がどこの領土に属するかについては、著者は何も述べていない。(と思う)
少なくともこの本の冊封資料を読んだだけでは、中国とも琉球とも日本とも言えない。だってそんな記述がないから。
というより、昔の人にそういう領土観念があることを期待しても無駄なんだと思う。
だから領土問題は、あくまで現在のファクターだけで考えるべきだと思うんだけどな~
とりあえず
本当に本を読まないので、自分の尻を叩くつもり。
しかしアメーバって広告多いな!
とりあえず今読んでる/読まねば/読みたい文章
- エルヴィン・パノフスキー「イコノロジー研究」…の、序文
- 原田禹雄「尖閣諸島 冊封琉球史録を読む」
- 宮崎市定「科挙 中国の試験地獄」
- 鈴木旭/石川理夫「面白いほどよくわかる世界史」
