異国の王子はあの一夜を過ごしたお妃様を忘れ去ることはできませんでした
あの夜を過ごした温もりはまだ残っているようでした
寝ようとも思い出す寝付けない夜
まったりとした絡みつくような匂い
また味わいたい香り
ずっと見ていたい感じていた顔
ほどよい肉付き身体
いい声を出す喉笛と口
どれをとっても美しい
まさに理想の妻だ
しかしあのお方はすでに既婚者だ
手は出せない
それならば、娘の白雪姫を娶ろうじゃないか
そうすればあのお方は私に振り向いてくれる
白雪姫か
そうと決まればすぐに行こうではないか
王子はお城の兵の目を免れ、お妃様のお城へと向かいました
1分でも1秒でも早く会うために馬を走らせます
息は高揚と高鳴らせ、力を与えてくれました
しかし、行ってみても城はもぬけの空
誰もおらず人の気配もありません
城の扉だけは開いていました
王子は少し躊躇いながらも入りました
そこには惨殺された兵士の姿が多く見受けられました
血なまぐさい臭い
散らばっている臓物
吐きそうなほど惨いこの城は人っ子一人いるわけも無かった
誰かに襲われたのか
それともあのお方がやったのか
わからない
わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない
何も思考が働かない
今はただただ佇むしかない
この状況を見ていたくはないものだった
怖い
王子はそれでも前へと進みました
お妃様の安否を確認するために
そして見てはいけない物を見てしまいました
心臓に突き刺さった1つのナイフ
嫌に存在感のあるものでした
心臓の血は辺りに飛び散っており、赤黒い血の跡が見受けられました
さらに奥へ進むと異様な威圧感を放つ鉄の扉がありました
開けたらそこは、真ん中に居座る大きな釜がありました
中の液体はゴポゴポ音を立てて煮詰まっていました
釜の周りには人骨や死体が多く横たわっていました
そしてリンゴが積み上げられていました
もうここにはいられないと思い、急いで外に出ました
お妃様は城の中にはいないと確認し、外を確認することにしました
町の人たちに変わった様子やお妃様のことを聞いて回りました
町のほとんどの者がリンゴを小脇に抱えたお婆さんが森へ向かったと言いました
リンゴをたくさん見たあの部屋
しかし見た者ほとんどが醜い姿をしていたと言っていた
お妃様は美しいはず
ならばなぜ、みなは醜いという
確認するためにはその森へと行かねばなるまい
王子は馬に乗り颯爽と森に向かいました
馬を早く走らせ風のように駆け抜けました
しばらくすると、小人達の祈りの姿が見えました
王子は小人達に近づきました
近づくのが僕の過ちだったのかもしれない
-続く-