昔誰かが言った。
僕は、目の前にいる子を愛せない。
それは誰かが言った言葉が原因だった。
その言葉はとても残酷で、現実を突きつけられた気分にさせられた。
確かにその言葉は理に適っていた。
僕は人を愛することができる。
そう思ったのに、信頼は元からなかった。
愛とはパートナーと一緒に育むもの。
拒絶せず、信頼し合い、一緒に成長していくものだと、違う誰かからに言われた。
でも、空っぽだった。
信頼してないし、ときおり僕は彼女を拒絶する。
あの子は、僕にこう言った。
「指先を合わせているだけ。
指先が重なり合っている時だけ心はお互い触れ合うことができるんだ。
でも、離れてしまうともうわからない。
可哀想な話だね。」
とても悲しいその言葉は僕の胸中を抉った。
本気の恋とは、どのように感じるのだろう。
それでも僕は、他人とわかりあうこともなく拒絶を続けた。
いつも近くにいたいと思っていた。
けれども君は、ここに留まるなんてそんなことはしない。
誰にも縛られることなく、自由気まま、天真爛漫な姿で可憐に去って行く。
それがたまらなく欲しくなる。
手を伸ばして掴んでしまいたい。
だけども、僕の手でその羽を手折ることなどできない。
君は君のままでいて欲しいから。
安易に手を伸ばして掴んでしまっても、僕には縛ることしかできないのだから。
でも、胸が焦がれる想いは止まらない。
手折りたい気持ちと手放したい気持ちがせめぎ合い、苦しくなる。
これも君のせい。
こんなに悩むのは、君のせい。
太陽のような笑顔が、僕は大好きだよ。
だから、僕の手元に、箱の中に閉じ込めてしまいたい。
そんなどす黒い気持ちの中で、一筋の光が降り注いだ。
顔をあげて目を細める。
そこには、僕の大好きな君の笑顔があった。
どうか、そのまま枯れないで。
好きだよ。
