いつだから分からないが、透き通るような薄い夢。
1人水の上に立つ私は綺麗で、何もかも許されていた。
この先に何が待っているのか想像を許してくれる大きい青空。
クリアブルーに塗られたそれは手が届きそうで、されどギリギリのところで届かない。
なんとも無邪気に笑ったものだ。
ーいつかお前に届く。
この小さな手が大きくなるんだ!
そんな淡い夢。
飽和していくように溶けだし、ついには足元も綻ばせる。
無邪気に笑っていた顔は忘れたように翳り、崩れた足場に目もくれず、従って落ちた。
流れ揺蕩う波紋に逆らう意思もなく、夢見た大空はいつの間にか、濃い弁柄色を写すようになった。
こんなはずでは…。
憂う心の色は何色なのか、流す涙の色さえ懐かしいクリアブルーだというのに。
血の色は?
目の色は?
吐く吐息の色、発する言葉の色、動かす度に伝う感情の色。
もはやそれすらもがみな等しく、深紅色なのかもしれない。
そんな夢。
だから私は今、見分ける力を持つために…。
足先に広がる波紋。
透明で、濁りもなくて、いつも素直でいてくれる。
足先に絡まって教えてくれるそれは、私が絡め取られても知らないと言ってくれた。
それがまた、心地いいのかもしれない。