1番にはなれないし、なりたくない。
「ねえ、今日俺の家来るの?」
彼がそう私に聞く。
少し子犬っぽくて、撫でればそっぽ向くけど本当は嬉しいって言うのがわかる、そんなカワイイ系男子。
「んー、明日早いから行けないかも…ごめん!」
そう言えば少し悲しそうな顔をして。
「たぶん、週末は行けると思うんだけど…行ってもいい?」
…ほら、顔が嬉しそう。
そんなに私といるのが嬉しいの?
可愛い子。
でもそんな生活にも飽きた。
なぜ私があなたのご機嫌取りをしなきゃいけないの。
手懐けるまでが楽しかったのに、手懐けた瞬間興味をなくした。
最近こんな恋愛ばかり。
気がつけば誰よりも恋愛経験をしていた。
純粋な気持ちなんてどこぞの空。
考えるのは、あの子はこういうこと言われるのが好き、こうしてあげれば好き、こういう仕草が好きでしょ?
そんなことばかり…。
私は結局、愛される自分が好き。
相手の1番でいるのが好き。
だから、2番目なんて考えたくない。
だから私は、呪いをかけてあげる。
「私は飾り物なんて嫌なの。
使ってくれる消耗品になりたい。」
そう言うと大抵、
「消耗品にもさせないし、飾りでとどまらせない。
僕の(俺の)隙間を埋めてくれるピースだよ。」
これで、貴方は私のモノ。
大学に入って私はモテたわ。
誰よりも告白が多い女の子だったの。
だから私がこの学校で一番だと思っていた。
誰よりも可愛いし、誰よりも美しい。
素敵な女性なのって。
でも誰かが言ってた。
『あの子がいちばんかわいい』
…それは、告白される回数も少ないし、お淑やかで清楚で黒髪で世間にはじき飛ばされたようなド真面目ちゃん。
でも不思議と惹かれるものがある、そんな変わった子。
その時
私の価値がわかったの
誰も私のことが好きなんじゃなくて、告白しやすくてノリが良くて可愛くもなければブスでもない中途半端な存在で…たくさんある。
そう、あの子は高嶺の花なの。
私みたいにハードルが低くて、付き合いやすい。
そんな子じゃないの。
私は男性の、立派なお飾り物だったのよ。
それも、高級と謳ったツボのような。
悔しかった。
泣いた。
喚いた。
叫んだ。
呪った。
…憎んだわ、こんな私を。
勘違いで舞い上がる消耗品だって。
結局、男性のステータスの1部だった。
それからもう何もわからなくなって、ただ惰性を貪る日々を過ごした。
男を手玉に取って転がして遊んであげて寝て飽きたら捨てる。
抜け出したいのに抜け出せない薬物のような生活。
私に光がさしたのは、私でなくなりそうな時だったわ。
〜fin〜