『手紙』 | 夕焼けのむこうの国

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東野圭吾さんの小説を初めて読みました。

とても文章表現が巧みで、引きこまれました。

さすが人気作家さんだなーと思いました。

 

犯罪者の家族のその後にとても興味があったので、非常に興味深く読みました。

 

この小説を知って、最初に頭に浮かんだのは秋葉原通り魔事件の犯人の弟さんのことでした。

兄が通り魔事件を起こして、弟は突然「犯罪者の家族」になり、引っ越しても仕事を変えても、いつのまにか周りの知るところとなって、結婚もできず、挙句に自殺してしまうという。

 

犯罪者の家族はみんなそういう思いを抱えて生きているのだなーと思い、とても考えさせられる重いテーマでした。

 

秋葉原の事件があったから、東野圭吾さんはこの小説を書いたのかなと勝手に思ったのですが、この小説の方が書かれたのは全然前なんですね。

だとしたら東野圭吾さんは、秋葉原の事件の弟さんが自殺したというニュースをもし知ったとしたら、どう思ったんだろうと考えてしまいました。

 

ただ一つ、剛志が弟の直貴に、被害者家族の家に行って自分の代わりに線香をあげてきてくれ、としきりに手紙で頼むのですが、それはちょっと直貴にとっては酷な依頼なんじゃないのかな~と思いました。

 

まだ親が代わりに謝りに行くっていうのなら話もわかるんですが、兄弟姉妹が代わりに行くのは、正直言ってあまりに可哀そう。

私だったら絶対できないし、兄弟姉妹がそこまでしなきゃいけないんだろうかと考えてしまいました。

自分が剛志の立場だったとしても、兄弟姉妹に行ってくれとはとても頼めないです。

被害者遺族にしても、「君が殺したわけじゃないんだから君に謝られても仕方ない」と言われそうですし。

 

この小説は、剛志が出所しても、誰もハッピーエンドにはならないんですよね。

ただ、直貴とその家族の辛い生活が続くだけというか…。

ほんとに辛くて重いです。

 

妻はまだ理解して結婚しているからいいけれども、「犯罪者の親族」として生まれてきた直貴の子どもは、この先どんな思いで生きていかなきゃならないのかなーということを考えて、答えの出ないテーマだなと思いました…。