『人間失格』太宰治 | 夕焼けのむこうの国

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昔から読んでみたいと思いながらなかなか手が出ず、このほどようやく読みました。

 

主人公はあまりにも人間としてダメな「ダメンズ」でした…(((^_^;)

 

太宰と重なる部分がかなり多いようで、太宰を投影した主人公のようですが、どこまでが太宰で、どこからが創作した人物なのかなと思いました。

主人公の思想や人間性は、かなり太宰を映しているんでしょうか。

 

主人公の葉蔵は、いくら田舎の大地主の息子とはいえ、あまりにも生活力が無く、いつも女のところに転がり込んで、アル中、薬中の放蕩三昧…。

実家から絶縁されてからはお金も無く、貧乏暮らし。

 

この貧乏の惨めさがすごく過酷に表現されていて、読んでいて辛くなりました。

 

同じ太宰の『走れメロス』は、太宰にしてはかなり前向きな内容の小説で、この『人間失格』と比較すると、ちょっと意外な気がするんですが★

 

 

『人間失格』を読むと、どうしても太宰治本人をいろいろ考察せずにはいられません。

 

最期は愛人の山崎富栄さんと入水自殺をしますが、「自殺」っていうと世間一般にはものすごくセンセーショナルで、どうして自殺なんかしたんだ!理由は?っていう感じで、すごく衝撃的なこととして受け止められがちですが、太宰にとっては生きることも死ぬことも、大した違いは無かったのかなーと、なんとなく思います。

 

太宰はもともと、生きる意欲が薄い人だったんじゃないかな、と。

 

富栄さんとの心中も、太宰は死ぬ気が無かったんじゃないかとか、富栄さんの無理心中では?という話もあるようですが、しかし、最初に富栄さんに「死ぬ気で恋愛してみないか?」と誘ったのは太宰の方だし、真相はどうあれ、心中の原因を作ったのは太宰じゃないか~という気はします。

 

太宰と出会わなければ富栄さんはこんなに早く死ぬことは無かったかもしれないし。

 

太宰と心中した後、富栄さんは文壇から「太宰をたぶらかした悪女」のようなレッテルを貼られたそうですね。

あまりにも気の毒…((-_-。)

 

富栄さんも、気性の激しい人だったのかもしれないし、太宰に夢中になるあまり、周りが見えなくなっていたのかもしれませんが。

 

しかし、山崎富栄さん、写真を見るとものすごく美人なんですよね。

しかも、女学校を出ていて美容師として働いていて、きっとすごく聡明な人だったんでしょうね。

 

それが、アンニュイな雰囲気の人気作家に恋を仕掛けられて、夢中になってしまったのか…。

 

太宰はまったく罪作りな男ですね…!!

「魔性の男」か!って感じですよ。

 

でも、太宰の他の作品も読みたくなってしまいました。

太宰の足跡なんかも調べちゃったりして。

 

私も太宰の魔性の魅力に憑りつかれた一人になってしまったのか…?(笑)