上村松園をモデルにした宮尾登美子の小説「序の舞」。たしかどこかのミュージアムショップの本棚で見つけて数年積読にしていました。最近の文庫はだいぶ文字が大きいものが多いですがこの中公文庫の「序の舞」は字が小さい!ページも700ページほどあったので、惹きこまれる内容ではあったものの、遅読なこともあり読み終えるまで1か月半位かかりました。
上村松園の師匠の一人である(小説で知りました)竹内栖鳳の爐邊(ろべ)もこちらで展示されていました。可愛らしい2匹の犬が描かれた作品です。日本画には可愛い動物が描かれるものもあるんだなと思って眺めていました。
「序の舞」は上記のような人々が登場する宮尾登美子先生の小説です。登場人物は実在の人物を連想できるような架空の名前になっていますが作品については実在の作品名です。実在の人物をモデルにした小説は、集めた情報という点を作家の想像力で線をつなぐような感じなのかなと思っています。表面的には物静かな方であったとしても、あの作品を残し当時の時代背景の中で女性初の文化勲章を受賞する人物というのは、自分ではどうしようもないほど内にものすごいエネルギーを持った方だったのだろうと思います。正直、この小説の中にかっこいい男性は登場しませんが(笑)ものすごくかっこいい「おかあちゃん」が登場します。
今年4月に日本橋高島屋で上村松園・松篁・淳之の展覧会が開催されました。
この作品も小説の中に登場します。「花がたみ」は畳一畳位ある大きな作品です。全体は優美で美しいのに、狂気を孕んでいて目が離せなくなりました。小説がどれくらい事実と近いのかは置いておいて、これらのような絵を描くに至った気持ちがあったのだろうなと思います。きっと描くのにすごい熱量が必要だろうからその時の気持ちにそぐわないと力が出ないもんなのではなかろうかと勝手に思います。
(写りが悪いですが展覧会で買った花がたみの絵葉書)